【感想・ネタバレ】あつあつを召し上がれ(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

この味を忘れることは、決してないだろう――。10年以上つきあった恋人との、能登へのお別れ旅行で味わった最高の朝食。幼い頃に、今は亡き母から伝授された、おいしいおみそ汁のつくり方。何年か前に家族みんなで並んでやっとありついた、天然氷でつくった富士山みたいなかき氷……。ときにはほろ苦く、ときには甘く優しく、身も心も温めてくれる、食卓をめぐる7つの感動の物語。(解説・松田哲夫)

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Posted by ブクログ

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食にまつわる短編集。食べることと人の生死、あるいは恋と別れが結びついている。別れることになった同棲者と、最後に能登に行って松茸の天ぷらを食べる話が切ない。食、というものは生きることと結びついているけど、何にせよドラマがあるよなあと思う。中華街の豚バラ飯を食べてプロポーズする話は、海員閣のイメージで読んだ。あの2階の畳の大広間で、豚バラ飯を一心不乱に食べる2人、食の好みが合うことは一緒に暮らすためのパスのようなものだと思う。

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2025年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025.05.30-2025.05.31

小川糸の小説を読むのは、これが初めてだった。
短編集ということ、表紙がチャーミングで惹かれたことがきっかけだ。
読んでみると、不思議な体験が待っていた。頭の中で、文章がするすると自然に具現化されていく。一人称で進む小説だということもあるが、ある小説では真夏の富士山を横目に必死に自転車を漕ぐ姿がありありと、またある小説では、中華屋でとろけるような油に溺れたあと、プロポーズに心を揺らす主人公の仕草が、読んでいてまざまざと浮かび上がってくる。

それはさながら、運ばれてきた蒸し器の蓋を開けた時に、ぶわりと空気に解き放たれる湯気と香気のような勢いと場を支配する力がある。
料理を一品一品味わうように堪能できるこれらの小説は、自分の経験と重なる描写があると、つい涙を流してしまうほど入り込んでしまった。
『バーバのかき氷』では昨年の夏に亡くなった祖母の最後を重ねたし、『親父のぶたばら飯』は穏やかな気持ちになれた。

逆に、味わいがしっかりしているからこそ、『ポルクの晩餐』は読んでいて「気持ちが悪く悍ましい、浅はかで自分勝手な主人公だな」と思ってしまった。(性的嗜好のことではなく、主人公の人間性が妙に気持ち悪い。)
こうした両極端な気持ちを味わわせてくれるのも、小川の描写力あってこそだろう

私にとって一番、心が動いたのは『親父のぶたばら飯』の以下のフレーズだ。

「どうして本当に美味しい食べ物って、人を官能的な気分にさせるのだろう。食べれば食べるほど、悩ましいような、行き場のないような気持ちになってくる。」

食事に対する快楽を、ここまで共感を持って描ける作家は、なかなかいないのではないだろうか。
読み終えた後、満腹になる一冊だった。

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2025年05月31日

Posted by ブクログ

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短編集。豚の話が不思議だった。野暮だけど、豚なの?人間の男性なの?と気になってしまった。それが強烈すぎて他はあんまり覚えてないかも。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人生の様々なシーンに美味しい食べ物が登場し、身も心もホッコリする7つの短編集。
私は「こーちゃんのお味噌汁」が好きだった。亡くなったお母さんの気持ちも味噌汁にこめられている気がした。
また「ポルクの晩餐」は豚と同棲している男が心中しようとパリにやってくる設定がぶっ飛んだストーリー。
それぞれの短編が心に染み入る内容だった。

7つの短編はこちら↓↓
「バーバのかき氷」
「親父のぶたばら飯」
「さよなら松茸」
「こーちゃんのおみそ汁」
「いとしのハートコロリット」
「ポルクの晩餐」
「季節はずれのきりたんぽ」

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2025年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025.6.6
初めての小川糸。

『どうせなら、ロマンティックに死なせてよ』

最後はパーっと、シャンパン飲んで、毒飲んで終わらせよう

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2025年06月05日

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