あらすじ
弘法大師・空海さまの御誕生1250年を迎え、1000年の時を超えて、いまを生きる私たちに届いた大切なこと。「弘法大師」という名は、仏の教えを世に広めた業績から、空海に与えられました。仏教の教え、空海さまの教えは、宗教を超えて、私たちの不安や悩み、迷いを晴らし、力を与えてくれます。病気になったり、お金のこと、家族のことで困ったり、人生は厳しいことの連続、と感じるときもあるかもしれませんが、そんなときこそ、空海さまの言葉が心を癒やし、あたためてくださる。それを感じていただける本になりました!
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Posted by ブクログ
著者は、東京の弘法寺で尼僧をされている小田海光さんー小田恵理さん。
出版の2年前に出家し、それによって与えられた戒名が海光(かいこう)とのこと。
空海の漢詩文集である『性霊集』や、その他の著作に収められた言葉を、著者の具体的無い経験とともに紹介されている。
8世紀、真言宗の開祖とされる空海は、若い時からたくさんの著作を出していると知る。
30歳で遣唐使として中国に渡り、サンスクリットや密教、その他最先端の学問などを学ぶ。32歳で帰国し、その10数年後に高野山に金剛峯寺を建立。
という歴史はとくに焦点を当てられてはいないのだけれど、
あらためて、私たちの知っている空海は、何を言っていたのか、をかみ砕いて学ぶことができる本。
「水外に波なし、心内すなわち境なり。」『吽字義』
思い通りに行かなかったり、不安や不満で落ち着かないとき、自分の心が波立っていることが原因であり、その波を静めること。
外に波が立っていなくても、つまり、一見うまくこなしていても、自分が本当に望んでいることができていないと本当の幸せを感じることはでいない、とのこと。
先日読んだ、セネカと同じようなことを言っている。
「智鏡心に処すれども、縁なくばすなわち利物の力を欠く。」『性霊集』
何かに長けていたり、知っていても、それを実践する縁がなかったら意味がない。貢献する他者がいて初めて、自分が活かされる。
哲人、仏、その言葉を知ると、実践することの間を少しでも埋めよう…。