【感想・ネタバレ】大江戸かあるて 桜の約束のレビュー

あらすじ

上野国(現在の群馬県)の農村に生まれた貧しい小作農の子ども駿は、物心つく前に父を流行病で亡くし、母ひとり子ひとりで暮らしていた。だが、天明3年(1783)浅間山の大噴火によって母を亡くし、天涯孤独となった。彼は同い年の親友・涼とともに文武の修業に励んでいた。ある日、病で死の淵に立つ涼の母親を助けるために、医者を訪ねる。しかし、金のない者は診察すらしてもらえない。そんな不条理に憤った彼は、弱き者を守るために、江戸一番の医者を目指す――。情けは人の為ならず! 青春時代長編シリーズ、第一弾。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

貧しい百姓として生まれ育った駿と涼。名主の娘の茜。道場の先生に、鍼灸医の梨庵。メインとなる登場人物はこんな感じです。

米を納めるのが百姓の本分であり年貢を納められない百姓は生きている価値がないと言い切ってしまう名主や侍たち、同じ村の中でも着ているものや食べるもので否応なくわかってしまう身分差の描写が胸に迫ると感じました。

農民はいくら米を作っても銭がないから富かになることができず、「銭さえあれば身分は問わずに患者を診る」と断言する、比較的平等な観点を持つ医者にもかかることができない。

身分差と貧富の差の掛け合わせで、好き勝手に年貢を搾り取られてしまう百姓の駿が、最終的に選んだ「道」に、誰もが納得せざるをえないストーリーでした。

二人の通う村の道場に限ったことですが、駿と涼は身分を問わず学問を修められる環境にありました。その土台があったからこそ、「医療の平等」という、現代の世界情勢にも関わる視点を持つことができたのかもしれません。

紛争地などに派遣される国境なき医師団と同じようなモチベーションを持つ駿を、フィクションのキャラクターではありますが、私は誇りに思います。

追記

涼ぉぉぉぉぉぉ!!!!涼ぉ!!!(泣)茜ちゃん!!!

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2023年04月04日

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