あらすじ
宿泊に訪れた人たちのくだらない謎に隠された秘めた想いとは――?
東京の出版社で編集をしていた櫻井は、これまでの日常から遠く離れた場所――徳島を訪れた。彼女は、元刑事の阿久井が営む一日おひとりさま限定の宿、秘境温泉『かくれが』に宿泊予約をしていたが――その宿に泊る条件は『世界一くだらない謎』を用意することだった!?
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Posted by ブクログ
非常に評価が難しい作品。
なんというか、「続編を書く気満々だったのに、おじゃんになってしまった作品」という感じが否めない。この一冊で完結させるつもりなら、明かしていない展望と設定が多すぎるように感じるし、タイトルの回収は最後辺りで大急ぎで終わらせました…といった感じ。続編があるなら読むだろうが、それは面白さで是非読みたいというよりは、結局どういうことだったんだろう?という観点から。読みやすい作品ではあるので、こういうジャンルの入門としては良いのかなと思う次第。
Posted by ブクログ
自分から見てどんなに「くだらない」ことでも、相手にしてみれば「くだらない」とは限らない。
宿泊する条件として「くだらない謎」を用意しないといけない旅館の利用客は結局みな、決して「くだらない」と一蹴できるような謎を持ってきた訳ではなかった。
人は死なない、怪我人すら出ない、それでも利用客にとっては大切なものだ。
いや、「大切なものなのだ」ということに気付かせてくれる。
そんな一泊を用意してくれるのが、この物語の舞台である。
場所は徳島。
かの有名なかずら橋の近く。
あの橋、本当に怖い……お金払って怖い思いするのだから割に合わない(個人の感想です)
他にもジップラインや小便小僧など観光ネタを織り交ぜつつ、本編は前述通りの「くだらない謎」を解く元刑事の探偵(?)阿久井が営む旅館での物語。
主人公入れ替え制かなと思ったら、最初の話に登場した櫻井女史が読者側に近い視点で物語全体を俯瞰するスタイル。
彼女も元編集ということもあり、阿久井さんほどではないにしろ、なかなかの観察眼や推理力をお持ち。
ゆえに、時々読者をミスリードに誘うが。
特に4話目のは自分も遺骨かと思ってしまった。
やられたがね。
阿久井さん自身も「くだらない」と言いつつ、決してくだらなくはないトラウマ的過去をお持ちの人。
行く当てをなくしてしまった櫻井女史に執着する理由がはぐらかされたようにも思うし(多少語られたが不十分な気がした)彼女の連泊はまだまだ続く。
つまり彼女を伴った謎解きの日々は続くということで、物語自体が続く余地ありということだろう。
そのときは、阿久井さん自身の掘り下げにも期待したい。