【感想・ネタバレ】やがて訪れる春のために(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

小さい頃から祖母と共に過ごしてきた村上真芽。あるきっかけで家族ともども祖母の家から引っ越すことに。それからは大人になっても祖母と共に過ごしてきたその家を訪れることはなかった。そんなある日、祖母が入院したとの連絡、会いに行くと、庭が心配だから見てきてくれないかと頼まれる。しかし、久しぶりに訪れたその家の庭は荒れ果てて、以前祖母が作り上げてきたお花や木々であふれていた庭は跡形もなく、家の中でさえ、信じられないほどだった…。どうやら認知症の症状も出ていると母から知らされる…、そんな祖母にまた素敵なお花や木々を見てもらいたくて真芽は幼馴染の友らとの協力を得て、庭を少しずつきれいにしていこうと決心する。やがてそれが自分が今まで描いてきた夢につながっていく。
祖母の認知症のことが他人事ではなく、年を重ねていくたび、人は記憶をなくしていくのだろうか。。こんなにも生活が乱れてしまうのだろうか…という不安も伝わってくる…。ひと(自分)は記憶でできている、その記憶がなくなってしまったら、自分ではなくなってしまうんじゃないかという不安、、、怖くなる。忘れたくて忘れてるわけじゃない…という悲痛な祖母(ハル)の言葉も心に突き刺さってくる。けれど、生きてる間に築いてきた風景や記憶は、本人だけでなく、本人が忘れてしまっても、家族や友人、お隣さんなど、いろんなところで引き継がれていくことができる。ということもこの本では教えてくれる。最後まで読み進んでいくと新しい春が訪れていた。

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2023年08月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

入院中の祖母に頼まれたことがきっかけで、主人公の真芽はかつて自分も暮らして祖母の家の庭を見に行く。
かつての姿は見る影もなく荒れ果てた庭を見ていつか祖母が帰宅する日のために庭を再生させようと決心する。

庭が再生されるにつれ、疎遠になった祖母の、幻かと思われていた生き生きとした人間関係が次々と明らかになり、それと共に真芽自身が成長してゆく姿がとても眩しかった。
未来を感じさせる終わりに希望を感じます。

「忘れたくて忘れるわけじゃないのよ。私のことを、勝手に決めないでほしい。ふつうにしてほしいだけなの」

こちらの作品、現代ならではというか、耳の痛い話もでてきます。でも見ないふりはできない部分。
祖母の時は私は真芽みたいにうまく接することができなかったので、とても心に刺さりました。

#読書記録 #はらだみずき #やがて訪れる春のために #新潮文庫 #認知症 #

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2023年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なにもおおきなことではなく、できることをやればいい。なんのためにとか、そんなことはこだわらなくてもいい。むずかしく考える必要はない。自分がやりたいことを、自分のやり方で、できる範囲でやればいいのだ。

「私だってね、忘れたくて忘れるわけじゃないのよ。私のことを、勝手に決めないでほしい。ふつうにしてほしいだけなの」

自分というものは、自分の記憶の集積によってできている。そう考えると記憶を失っていくことは、自分の一部をもぎとられていくことに等しい。未来が限られていると知る者には、それはなおさらせつない試練となるだろう。

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2024年03月12日

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