【感想・ネタバレ】異性装 歴史の中の性の越境者たち(インターナショナル新書)のレビュー

あらすじ

衣服によって性の境界を超える異性装。古くは男装で戦う巴御前から、男女のきょうだいが入れ替わる「とりかへばや物語」、歌舞伎「三人吉三」、シェイクスピア「ヴェニスの商人」など、異性装は歴史の中の物語に多く描かれてきた。それらにはどのような意味が込められているのか。また、現代のアニメ、マンガ、映画、演劇、BLなどの文化にどう生かされているか。物語に描かれた異性装を軸にジェンダーの社会的、文化的な在り方を多様な分野の研究者八人が論じる。

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Posted by ブクログ

風光る、とりかえばや、ベルサイユのばら、読んだなあ。登場人物が男装してても、ジェンダーとか考えなくてもいい程、違和感なかったから、そんなに気づかなかったけど、異性装だよなあ。
昔、一般人は異性装ができなかったのは…、少し辛そう。(私がそこにいればのお話)

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2024年11月15日

Posted by ブクログ

ジェンダーの在り方とは何か。

古典だけではなく『花ざかりの君たちへ』(2023年10月21日にご逝去された中条比紗也先生、この作品大好きでした)などの漫画、タイのドラマ、コスプレなど実に多面的に読み解いている。

『とりかへばや物語』は異性装を語る上で何度も登場する。
これを下敷きにした男女入れ替えの物語は何度も語り直される。
それは、時代を投影させる不思議な物語であると同時に、「自分とは何か」という人の変わらぬ問いを投げかけるからだろう。

巴御前の話が個人的には大変興味深い。
大好きな手塚治虫の『火の鳥 乱世編』が出てきたのには興奮した。
女を連れていたのが恥なのか、それとも同志としてあるいは想い人として生き残ってほしくて去らせたのか。
その捉え方は、現代に近づくに連れ変わってくる。
共に死ねなかったことよりも一人でも生きる、という強さが強調されてきたという指摘(162頁)は興味深い。
真実はわからないからこそ、そこに女武者としての矜持を見、愛を映してみている。

歌舞伎や宝塚に言及する際、これまた今はマリにハマっている『かげきしょうじょ!!』が登場する。
これもまた興味深い。
歌舞伎も宝塚も、今揺れに揺れている。
夢の世界は努力と苦労があってこそ造られている。どうか、健全に夢を見せてほしい。
そして、そのために、ファンも、過剰な期待をするのは禁物だ。

最後に語られる「男の娘」についてはかなりマニアックな内容で、正直よくわからなかった。
しかし稲垣足穂の研究を指摘したり、聖性を見たりという点は面白い視点である。

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2023年11月19日

Posted by ブクログ

中根千絵氏他7人の学者による文学作品を元にした異性装への考察.
とりかへばや物語をはじめとして異性装の意味付け,その時の社会との関わり方など興味深かった.

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2023年08月10日

Posted by ブクログ

<目次>
序章   古典の中の性の越境者たち~物語、演劇に描かれる異性装
第1章  異性装を解いた彼ら/彼女らはどこへ向かうのか
第2章  装いと身体~変奏する『とりかへばや物語』
第3章  異性装の恋~異性愛と同性愛が交わる場所
第4章  巴 「女武者」像の展開
第5章  歌舞伎、異性装、そして「なりたい」女たち
第6章  シェイクスピアのオールメイル上演の愉しみ方
第7章  稚児と「男の娘」

<内容>
「なるほど」の部分と、ちょっと待っての部分が錯綜した。日本の古典の『とりかえばや物語』や歌舞伎の話は、納得の部分もあったが、男女を入れ替えた芝居や近年のBLややおいの小説の話を分析されてもちょっとな…であった。この話は、ジェンダーともつながり、考えなければならないのかもしれない。

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2023年02月21日

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