【感想・ネタバレ】魔女の原罪のレビュー

あらすじ

変死事件で暴かれる町の秘密
法律が絶対視される学校生活、魔女の影に怯える大人、血を抜き取られた少女の変死体。
一連の事件の真相と共に、街に隠された秘密が浮かび上がる。

僕(宏哉)と杏梨は、週に3回クリニックで人工透析治療を受けなければならない。そうしないと生命を維持できないからだ。ベッドを並べて透析を受ける時間は暇で、ぼくらは学校の噂話をして時間を潰す。

僕らの通う鏡沢高校には校則がない。ただし、入学式のときに生徒手帳とともに分厚い六法を受け取る。校内のいたるところには監視カメラが設置されてもいる。
髪色も服装も自由だし、タピオカミルクティーを持ち込んだって誰にも何も言われない。すべてが個人の自由だけれども、“法律”だけは犯してはいけないのだ。

一見奇妙に見えるかもしれないが、僕らにとってはいたって普通のことだ。しかし、ある変死事件をきっかけに、鏡沢高校、そして僕らが住む街の秘密が暴かれていく――。

『法廷遊戯』が映画化され注目を集める現役弁護士作家の特殊設定リーガルミステリー。

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Posted by ブクログ

現代の魔女狩りの様な話。
小さな違和感からどんどん謎が解かれていく展開は面白かった。
覚悟を決めた最後のシーンは個人的に良い終わり方でした。

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

圧巻の読み応えだった。

魔女は存在自体が悪である。
穢れの概念や血液浄化の話は、現代人からみたら非科学的で馬鹿馬鹿しいと思ってしまうけど、300年ほど前までは魔女狩りが行われていた。不安や疑念は掴みどころがない厄介なもので、人権意識の高まりや科学の発達がどんなに進んだとしても、人は非合理的な方法で不安や疑念を排除しようとするのかもしれない。

魔女の原罪
犯罪者の親から生まれた子もまた犯罪者になるのか?凶悪な少年事件が報道されるたびに、彼らの生育歴や親との関係性が取り沙汰されていて、少しでも犯罪を助長するような要素を嗅ぎつけられたら直ちに糾弾される。
今はSNSで悪い噂が瞬間的に広まる時代だから、鏡沢町の住民ほどではないにしろ、自分の子どもが道を踏み外さないようにという意識は、親なら誰しもが持っているのではないか?血液浄化なんて胡散臭いと思うことは簡単だけど、加害者家族はそんな冷静な判断もできないのか、はたまた胡散臭いとは分かりつつも、それに頼るしかないほど追い詰められていたのか。加害者家族に向けられる非難やその後の苦労は、きっと私が想像する以上に酷なものなんだと思う。この本を読んで、加害者家族のことをもっと知ってみたいと思った。

大ファンである五十嵐律人さんの小説
最後まで展開が分からずドキドキしながら読むことができるし、想定以上の驚きを与えてくれるから、
いつも最高の読書体験をさせてもらっている。
どうしたらこんなプロットが思いつくのか?
早く新刊が読みたい。

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2025年07月20日

Posted by ブクログ

五十嵐律人らしい法律ミステリ。高校がおかしい、から住んでいる街がおかしいに変わっていくところの怖さが良い。
本業弁護士の先生が教員として高校にいるのって悪くなさそう。

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2025年04月29日

Posted by ブクログ

今年読んだ小説の中で一番「えっ!!!」と驚かされる回数が多く、一番陰鬱な気持ちにもなりました。そして、考え、共感もしました。感情の振れ幅の大きい作品。なので、文句無しの星五つ。

鏡沢高校の校則はなし。ピアス、染髪、私服OK。唯一のルールは法律に違反しないこと。
鏡沢高校二年生の和泉宏哉は、学内で起きたイジメを解決するために画策することに。そして、その中で気づく。
この街は何かがおかしい・・・
そして、ある人物の死をきっかけに徐々にこの街の秘密がみえてくる・・・
といったあらすじ。

学園で起きた事件を法律を用いて解決していく系かと思っていたら、途中から様々な要素が混じり始め、言葉は悪いですが、物語は胸糞の悪い展開に。
想像していたものとは違う裏切りにあいましたが、その裏切りが満足感に繋がりました。

以前読んだ「法廷遊戯」の時にも思いましたが、小説の中で出てくる「間接正犯」や「弁護人は被疑者との関係で、誠実義務と守秘義務を負っている」などの法律用語や考え方が、法律に疎い私には新鮮で、勉強になりました。

作中に出てくる
「子どもは、親の正しさを疑わなくてはいけない。親は、子どもの正しさを信じなくてはいけない。」
が心に響きました。
小さな子どもの世界の中では親の作るルールが、遵守しなければならないルールになっていると思います。でも、親の作るルールは時に理不尽で、間違っていることもあると思います。全てに従うのではなく、時には疑問に思い、抗ってほしい。
そして、親である私は、子どもをどこまでも信じなくてはいけない。改めて、そう思いました。

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2024年12月17日

Posted by ブクログ

面白かった!

魔女、豚の血、閉ざされた街、過去、法廷、学校。
どんどん惹き込まれる。

医療や法律など専門的なことも詳しく書かれていて、程よく難しくでもとても読みやすい。

真実はとても恐ろしいものだった。子供を思う親の気持ちは時に狂ってしまう。
狂わせるほど親にとって子供は大切な存在。

絶対に守りたい。

この思いがあふれて狂って
子供を守れていないことに気づかなければいけなかった。

宏哉はきっと大丈夫。
魔女の子供は魔女とは限らない。
信じたい。

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2024年05月30日

Posted by ブクログ

ミステリィとしてのキレは今ひとつに感じましたが、法廷の描写などは現実的で、作者のバックボーンが活かされています。
また、一見特殊と思われる設定に合理的な理由が付いている点には感心しました。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

鏡沢高校が、校則はないけど法律を遵守する理由。
鏡沢町のカツテと新しく越してきた住人との、対立の理由。
女子高生死体遺棄事件の理由…
真相が早く知りたくて、ページをめくる手が止められなくなったのは久々だー。

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2024年02月18日

Posted by ブクログ

透析を受けている高校生2人、校則のない学校、元弁護士の担任、古くからの住人と新しく引っ越してきた人達の対立、豚の血を使った料理、、、
どの様に繋がっていくのか全然想像がつかないまま後半の中盤へ
ひとつが繋がってからはどんどんとこれらが繋がっていきました。圧巻。
住んでいるところを出るしかなかった加害者家族と加害者の血が受け継がれているために子どもまでもが信じられなくなってしまう
血とはいったい、、
いろいろ考えさせられました。

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2023年11月05日

Posted by ブクログ

医療従事者としてはあり得ない考え方だなと思う(現実でも実際に医療事故を自ら分かっていながら招く方もいる)反面、五十嵐先生は現代の問題を法律的に上手く描かれているなと思った。

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2023年10月26日

Posted by ブクログ

加害者家族について考えさせられる重い話。
身内が犯罪を犯したからと言って彼らの家族が生活を脅かされる必要はない。加害者家族というレッテルを貼られ肩身狭く暮らしてきた彼らが救済を求めることは仕方ない。ただ、この救済がいささかカルトチックで外部から見ると狂っているように思う。
自分も、嫌いな父親の血が流れているから大好きなママと父親の血を分別して取り除きたいと願ったこともあった。ただこれはあまりにも非現実的だったが、この夢物語を小説では描かれている。魔女の子は所詮魔女、少しでも悪いことをすると、親も親で子も子だなと考えるようになる。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

初めましての作家さん。
読みやすく、勢いもあり、でもすごく考えさせられることが多くて、時間をかけて読み終えました。

考えることが多すぎ。感じることが多すぎ。
私の考えはこれだ!と自信を持って言えない。
人間って難しいよなぁ…
血ってなんだろう。血縁ってなんだろう。
否定したり肯定したり、何が正しいのか間違ってるのか、、迷子になった気分です。

でも、こういうのを味わいたくて、読書をしていると思うので、読んでよかったなと思いました。

普通に生きていたら、考えることもないことを深く考えることができました。

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

362ページ
1700円
2月19日〜2月23日

高校2年になった和泉宏哉は、両親の経営する病院で透析治療を受けていた。共に透析を行っていた同級生の杏梨は、魔女と魔法使いの違いは何かと聞いてくる。魔女狩りについて調べていた杏梨が遺体となって見つかり、宏哉の母が逮捕された。18年前の高校生殺害事件との関わり、母が隠していた真実とは。

何か変な感じが町全体から感じられる。学校も防犯カメラが設置され、校則はなく、すべて法律で判断される学校。共に治療を受けていた杏梨が血を抜かれた状態で発見され、母が逮捕されるという衝撃の展開。法律や裁判の詳しすぎる話に時々辟易してしまう。

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の母親は、医療従事者だ。それなのに血液を浄化したところで、なにかが変わるわけでもないことがわからないのかなと思った。血液より、DNAでは?と。
そういえば、007シリーズにDNAを入れ替えて、別の人種に変わるという悪役がいたのを思い出した。現実にはない技術ではあったが。
加害者家族というだけでなく、人はどうしようもない苦しみを感じると、カルト的なものに救いを求めてしまうものなのだと思う。

これまで、世間を騒がせた事件の犯人の家族は、悲しい結末を迎えている人がいる。
子供の頃、近所にいた子を思い出した。父親が⚪︎人で服役中と聞いた。
昭和の田舎町のこと、嘸かし生きづらかったに違いない。
母親と共に、苦しみながらも強く生きていたのを覚えている。
決して犯罪者にはならなかった。普通に接していた人もいたから。

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2024年02月24日

Posted by ブクログ

 級友同士の高校生、宏哉と杏梨が透析をする場面から、物語がスタートし、何が始まるのだろう?と惹き込まれる。そして、杏梨が遺体となって見つかり、宏哉の母がその件に関わっているとされ、逮捕される。正義感の強い宏哉、医師でクリニックを経営する父、そこで臨床工学技士として務める母、温かく絆が強い家庭として描かれていた。そこには、母が罪を犯す要素が全く感じられなかったので、この展開がどうなるのか、どんな背景が隠されているのか、益々惹き込まれていった。
 しかしながら、自分には結末が物足りなく感じたので、残念だった。新感覚で、興味を惹きつける展開までは良かった。

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2024年01月18日

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ネタバレ

読み応えあり。独特な高校かつ独特な地域のイジメというだけでは終わらなかった。傍から見れば異常でも集団になるとおかしくなっちゃうのだろう。不安でたまらない気持ちは想像できる。

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2023年12月10日

Posted by ブクログ

作者らしさを存分に感じる作品でした。

魔女など、突飛に感じる要素もある多いので、好みは分かれそうな気はします。
ただ、芯に法律や法律に関する理に適った考察があるので、私は白けたりせずに最後まで楽しめました。次回作も楽しみです。

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2023年07月31日

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ネタバレ

透析患者の生活背景として???な部分は作者さんの勉強不足かしら…とか思って読み始めました。大変申し訳ありませんでした…

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2025年11月01日

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加害者家族の血、被害者家族の血
血に固執する住民や親の気持ちが全く理解不能だったけど、最後まで読み進めて当人にしか分からない苦悩があったんだと分かった

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2025年02月12日

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五十嵐律人さんの作品初めて読みました。2025年初作者11人目。
一部が終わるまでミステリー?という感じで進んだが、ニ部からはいろんなことが明らかになって、驚かされました。
最後まで読んでも、スッキリする終わりでは無いし、宏哉が可哀想だなぁって思ってしまいます。
でも強く、正しく生きてもらいたい!

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2025年01月21日

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「少女は生まれながらにして魔女だった」
魔女、犯罪、糾弾、ルール、血のつながり…18世紀頃に災いを起こす人のことを魔女とし、処刑する歴史を見事に現代に当てはめたという印象。物語につながりがあり、終末にはあっと驚く急展開もある。親と子どもの関係も深く考えさせられる。物語は面白いのだが、血を治療したり、血を抜いたりと、血について綴った描写が多く、血を見るのが苦手な私にとっては読むのに非常に苦労してしまった…

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2025年01月09日

Posted by ブクログ

“髪色もアクセサリーも服装も全て自由。なぜなら法律で禁止されていないから。
煙草、飲酒、ギャンブルは禁止。なぜなら、法律で禁止されているから。”

ではいじめは??

“体操着や上履きを隠したり、体育館裏でリンチに及べば、すぐに生徒指導室に呼び出されて自宅待機を命じられる”

“法に触れなければ、誰かを傷づけることも許容される。”

無視して透明人間になっている、適法ないじめが野放しになっている。




地方都市の世代間格差、カツテと呼ばれる第一世代、転入施策によって子連れで移住してきた第二世代、そしてその子ども世代である第三世代に紛れる「カツテの孫」、、、



この街はなにかがおかしい
この街の抱える秘密とは??転入してきた住民だけが共有する秘密。
知ってる当事者、知ってる部外者、知らない当事者、、、




五十嵐律人の作品、4作目
『法廷遊戯』『六法推理』『不可逆少年』
ですが、1番興味が惹かれたミステリーだった


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2024年12月28日

Posted by ブクログ

校則がなく法律を重要視する学校という設定に魅力を感じたけれど、どちらかと言えば街の秘密の方が重要であり学校の話は序章に過ぎない。
魔女とはなんなのか、魔女の罪とはなんなのか、
登場人物が明快で読みやすいと思うけれど、後半の法廷での話は少し気疲れするし、結末もそれで終わりなのかと感じた。

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2024年09月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

"魔女は、魔女とみなされた時点で悪であることが確定する" ということでの原罪についての話。章の切り換わりでの話の転換に驚きました

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2024年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SL 2024.8.4-2024.8.6
加害者家族が集う街で起こった事件。
街の秘密、主人公の宏哉自身の隠された出自。
徐々に明かされていく事実が、ある意味とても切ない。
宏哉はまっすぐで強い心を持っているから未来に希望を信じたいけど、加害者家族の置かれた現実、絶望を思うと考えさせられる内容だった

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2024年08月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

校則はなく、法律が絶対、校内の至るところに監視カメラのある鏡沢高校。校内で起きた窃盗事件を皮切りに宏哉は街の隠された秘密に直面していく…

重かったし、考えさせられたというか。加害者家族や犯罪者の子供に向けられる態度、日本と海外ではやっぱり違うんだなと思った。宏哉はいい人に育ってほしい。

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2024年05月31日

Posted by ブクログ

『彼女は生まれながらにして魔女だった』
めちゃくちゃ重い話だった。罪を犯した親から産まれた子供は、生まれた時から汚れた血を受け継いでいる。自分の親に意見を言えない子供。子供の人生を決める親。こんな関係は幸せになれない。こんな事が当たり前になっているこの町はおかしい。自分の親にまっすぐ立ち向かおうとする主人公が、事件の真相を解明していく。

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2024年03月17日

Posted by ブクログ

筆者の「幻告」の感想にも書いたが、本当に多彩な方だ。この作品も本当にびっくりするような発想を見事に作品に仕上げている。ただ、「幻告」は私の観戦に見事にヒットしたが、この作品は残念ながら私には合わなかった。深く書けないが結末がとても残念・・・

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2024年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もし、そういった犯罪気質(?)のようなものが受け継がれてしまうのだとしても、血液ではなくて脳の構造とか遺伝子の問題では?と思ってしまった。でもそういう結論に至ってしまうほどに追い詰められてしまっていたのでしょうか…。加害者家族だけを集めるという発想が目からウロコでした。

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2024年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公が通う高校は法律に違反しない限り服装・髪型を始め全てが自由な学校だが、校内中に監視カメラが有り、法律に違反した場合は学年・クラス・名前・犯罪行為の内容が全校生徒に明らかにされる。
更に、街は40年ほど前に開発されたニュータウンで、以前から住む高齢者たちは「カツテ」と呼ばれ、カツテと新しい住民とは険悪な仲であることが描かれる。

何やら訳ありな学校と街が出てきて、ディストピア小説なのか??と思いながら読み進めると、同級生が突然死体となって発見され、主人公は街が抱える秘密と向き合うことになる…

今作は誹謗中傷や悪意によって傷つけられてきた加害者家族の苦しみがテーマだ。
加害者本人とは関係ないはずなのに、家族というだけで差別され、職場や住まいを追われた人々が作った加害者家族たちが住む街。そこで行われるのはあまりに狂った行いなのだが、そこまで彼らを追い詰めたのは、マスコミ始め私たち日本社会なのだ。
犯罪者の子どもは将来犯罪者になるという根拠の無い偏見が呪いとなって人々を苦しめ、更なる悲劇を生む。

中世の魔女狩りが、現代でも無くなったわけではないと思わされる社会派ミステリだった。

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2024年01月06日

Posted by ブクログ

学校の中だけの話かと思ったら
町全体に話が広がっていき、だんだんと面白くなっていきました
謎がわかると話に入り込みやすくなった

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2023年12月14日

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