あらすじ
黒幕を知れば日本社会がわかる
この国をウラで動かした16人
黒幕を知れば、この国の組織原理が見えてくる! 歴史の陰に隠れた真実を東京大学史料編纂所教授が大胆推理!
北条政子 「尼将軍」の政治力
信西 世襲の壁に阻まれ「黒幕」になった天才
海住山長房 後鳥羽挙兵に反対した実務貴族
三宝院賢俊 「錦の御旗」を持ち帰った尊氏の密使
高山左近 家康の陰謀から前田家を救った「意外な黒幕」
伊奈忠次 家康から過小評価された民政家
ほか
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Posted by ブクログ
“歴史”という壮大なドラマの「小さな伏線」とでもいうようなモノに光を当てながら、平安時代から江戸時代迄の「密かに時代を紡いだ何か」を探るような内容になっていると思う。
所謂「黒幕」だが、頻出する語句のような気がしないでもないのだが、存外に定義が難しいかもしれない。本書でもそういう辺りに言及が在る。
が、結局は「オモテの自他共に認める立場」ということでもない、言わば「ウラ」というような「非公式な権威」とでも呼べそうな何かを手にしていて、陰に陽に様々な影響を与えていたと見受けられる人物を、本書では「黒幕」としていると思う。
「例えば如何いう人物?」ということになると思う。本書で論じられているのは…宇多天皇、信西、北条政子、中原親能、極楽寺重時、海住山長房、平頼綱、北畠親房、三宝院賢俊、細川頼之、三宝院満済、黒田官兵衛、千利休、伊奈忠次、西郷隆盛という人物達である。16名挙がっているが「知らない…」という名前が多数派を占めているように思う。
上述の各人物に関して論じられているのは…平安時代の摂関政治が起こった頃に摂政や関白を排するような動きを見せた人達。院政という中で正式な朝廷の官位が無意味に近いような位置に在りながら「院の近臣」という非公式な立場で権勢をふるって活動した人達。鎌倉幕府の体制が確立する中で実は大きな役目を負っていた人達。鎌倉幕府の体制変化の中で、非公式的な立場で力を振るった人達。南北朝時代という様相の中、南朝や北朝の各々の陣営で様々な手を打った人達。室町幕府の体制の変遷の中で独特な動きを見せた人達。戦国時代に活躍した人達の、前の時代とも後の時代とも違う独特な立ち位置。例えばそういうようなことが論じられているのだが、上述の様々な人達の活動等を説くことで、「少しずつ変質、変容した体制」という「日本史そのものを考えられる材料」を与えてくれている。またここで論じられている状況が生じた背景に、「個人がなかなか越えられない“壁”」というモノが在って、そういう中で“裏技”めいた感じで生じた様子というのも在ったのかもしれない。
時代が移ろっても、或る程度“共通項”的な形で生じる「ウラ」というような「非公式な権威」というモノが在る。それは“取次”なるモノだ。最高権威者に向けて申し入れることを取り次ぐという役目に任じられる者が在れば、「何を伝え、何を伝えない」または「如何に伝える」を一存で決められるので、そこに「権威」のようなモノが生じてしまう訳だ。何か、そういうような「属人的に物事が動く」という感じは何時でも在るかもしれない。或いは?現代でもそういう一面は在るのだろうか?
或る程度通史的に、「ウラ」というような「非公式な権威」というモノを担っていたと見受けられる人物を考えてみることで、歴史が益々興味深くなる。結局、「歴史を学ぶ」というのは、年号や用語を覚えるということに尽きるのでもなく、伝えられている様々なことを材料に社会、政治、経済、文化、人生等々の様々な事柄を考えるということではないだろうか?
かなり面白いので広く御薦めしたい!!
Posted by ブクログ
黒幕だけあって、歴史好きの私でも知らない面々が多数…。
それ故、新しい発見もあり面白い。
とある天皇が黒幕(ウラ)なんて、なんて面白い観点だろうと唸ってしまいました。
Posted by ブクログ
黒幕といいつつ表にでてる人(黒田官兵衛、千利休とか)がいたり、ただ無名な人がいたりと何と表現すべきかよく分からない。
裏方仕事を頑張った人という方が適切かも。
黒幕と言われると表の支配者を超える強大な力をもつ人をそうぞうしてしまう。
Posted by ブクログ
興味のあるところだけ拾い読みしました。
黒田官兵衛、千利休、高山右近、伊奈忠次、西郷隆盛。高山右近が前田家の参謀となってお家存続に大きくかかわったあと出国したのは初めて知りました。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 宇多天皇
第2章 信西
第3章 北条政子
第4章 中原親能
第5章 極楽寺重時
第6章 海住山長房
第7章 平頼綱
第8章 北畠親房
第9章 三宝院賢俊
第10章 細川頼之
第11章 三宝院満済
第12章 黒田官兵衛
第13章 千利休
第14章 高山右近
第15章 伊奈忠次
終章 西郷隆盛
<内容>
黒幕とは、地位と実験が必ずしも一致しない日本において、ウラの存在でありながらオモテを動かした人物や地位と実権、実績に大きな隔たりがある人、重要な役割を果たしながら目立たない存在、をピックアップした本。歴史の本筋を理解していないとわかりにくいかもしれない。