【感想・ネタバレ】流れ星が消えないうちにのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の姿は、私の2年前の姿と重なった。
とても受け入れ難い出来事を、受け止めようとして心が壊れた。歪なかたちでしか受け止める事が出来ずに多くのものを手放しかけてしまった。
この本は、大切になっていく本だと思う。出逢えて、よかった。

『手を伸ばしたら、ちゃんと触れられる人がよかった。なにも考えず、ただまっすぐ歩ける人でなければ、私は耐えられなかった。』

『ふいに感情が波のようにやってきた。押し寄せては引き、また押し寄せて...そうして私という砂浜を絶えず洗っていく。』

『彼と過ごした日々の記憶があまりにも美しく、そして過ぎゆく時間と共にますます澄んでいくものだから、私は加地くんをそのままきれいな場所に置いていきたかった。加地くんの姿も、思いも、純粋さも、届かぬ星の光のように輝き続けて欲しかったのだ。』

『立っている場所が変わると、同じ風景でも違うように見えるものなんだ、それは加地くんの言葉。覚えていた巧くんが、お父さん似言った。そして今度は、お父さんがわたしに言っている。言葉や思いは、こうして巡っていくのだ。』

『最愛の恋人を失うのは、とても辛いことだった。この一年半、わたしは呼吸をしていただけで、ちゃんとは生きていなかった。思い出そうとしても、まるで陽炎のようにしか記憶は蘇って来ない。多分、一度、私の心は壊れてしまったのだと思う。不幸なんて、いくらでもある。珍しくもなんともない。けれど、ありふれているからと言って、平気ですごせるかといえば、そんなわけはないのだ。じたばたする。泣きもする。喚きもする。それでもいつか、やがて、ゆっくりと、わたしたちは現実を受け入れていく。そしてそこを土台として、次のなにかを探す。探すという行為自体が、希望になる。とにかく、終わりが来るそのときまで、わたしたちは生きていくしかないのだ。たとえそれが、同じ場所をぐるぐるまわるだけの行為でしかないとしても、先を怖がって止まっているよりは何百倍も、いや1万倍もましだ。だから、わたしは進もうと思う。恐れながら、泣きながら、進もうと思う。』

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2023年12月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

死んだ恋人の親友と、新たな恋を始めた奈緒子。
死んだ加地の親友であった巧と奈緒子の間には
いつも加地がいて…。というお話。

死別の悲しみや切なさを乗り越えて、新たに再生してゆく
心を描いたラブストーリーですが、私は加地くん、生きてても
別れたと思うのです。

死んだ時となりにいた見知らぬ女性とキスした。

その彼女とは加地くんは付き合わなかったかも
しれませんが。

揺れたってことは、どこかで奈緒子との関係に
ヒビを入れたと思うのです。

だけど。

死んじゃったから、良かった時間はいっそう綺麗で。

でも、いない人間なんて、どっちにしろ、時に呑まれる。

その健康で残酷な事実が、奈緒子と巧には
救いと知りながら、私は、

「ああ、なんだかんだ言っても加地くんのことは、
言っちゃなんだけどどうでも良くなるな。」

って、綺麗なお話なのに、寂寥と、意地悪さを覚えました。

加地くんが、他の女とキスをしたのと同じに、
奈緒子と巧には、加地くんのことがどうでも良くなる日が
かならず来る。

おあいこの寂しさを、突然山ほどの質量でぶつけられて
星にでも渡して、幸せになるほうがいいってことなのだと。

初めは奈緒子たちがかわいそうだったんですけれど
圧倒的に勝者は彼らです。かわいそうではないの。

加地くんに未来はないのですし
いつまでも若いだけの彼など、
二人に追い抜かれるに決まっているから。

おあいこの、ヘビィで綺麗な、恋の勝負。
そういうふうに、思います。

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2014年09月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人は生きているうちにいろいろ抱えていく。
簡単に忘れられること、たぶん一生忘れられないこと。
それでも終わりが来るその時までは、そういったものを抱えて生きていかなくてはならない。
主人公を始め、登場人物たちもそれぞれ、その人なりにいろいろなものを抱えている。忘れたくても忘れられない思い出を抱えている人もいる。耐え切れずに逃げちゃう人もいる。
そういったものを全て受け入れて、それでも前を向いて歩いて行ける強さを持ちたいと思える作品でした。

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2012年09月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

彼にとっては親友。彼女にとっては恋人。そんな大切な人が亡くなり、その出来事に折り合いがつかないまま恋人になったふたり。今に幸せを感じながらも、毎日彼を思い出す日々。

なんだかちょっぴり切ない気持ちになりました。忘れることはできないものを、抱えて生きてゆくと決めた時に未来はひらける。そういうことって誰もが経験するんじゃないかな。

加地くんがとても魅力的に描かれていて確かにああいう人と深く関わったら忘れられないだろうなぁ、と。

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2013年07月15日

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