あらすじ
大好きだった彼が死んでしまった。わたしではない女の子と一緒に――。それからわたしは玄関でしか眠れなくなった。辛くて、悲しくて、泣いて、喚いて……もう自分は二度と笑えないのではないかと思っていたのに。彼が死んでから一年かそこらで、わたしは他の男の子と付き合い始めた。待つと言って送り出したのに待たなかった。だって生きていかなきゃ――。深い悲しみの後に訪れる、静かな愛と赦しを描く、苦しいくらいピュアなラブストーリー。
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Posted by ブクログ
死んだ恋人の親友と、新たな恋を始めた奈緒子。
死んだ加地の親友であった巧と奈緒子の間には
いつも加地がいて…。というお話。
死別の悲しみや切なさを乗り越えて、新たに再生してゆく
心を描いたラブストーリーですが、私は加地くん、生きてても
別れたと思うのです。
死んだ時となりにいた見知らぬ女性とキスした。
その彼女とは加地くんは付き合わなかったかも
しれませんが。
揺れたってことは、どこかで奈緒子との関係に
ヒビを入れたと思うのです。
だけど。
死んじゃったから、良かった時間はいっそう綺麗で。
でも、いない人間なんて、どっちにしろ、時に呑まれる。
その健康で残酷な事実が、奈緒子と巧には
救いと知りながら、私は、
「ああ、なんだかんだ言っても加地くんのことは、
言っちゃなんだけどどうでも良くなるな。」
って、綺麗なお話なのに、寂寥と、意地悪さを覚えました。
加地くんが、他の女とキスをしたのと同じに、
奈緒子と巧には、加地くんのことがどうでも良くなる日が
かならず来る。
おあいこの寂しさを、突然山ほどの質量でぶつけられて
星にでも渡して、幸せになるほうがいいってことなのだと。
初めは奈緒子たちがかわいそうだったんですけれど
圧倒的に勝者は彼らです。かわいそうではないの。
加地くんに未来はないのですし
いつまでも若いだけの彼など、
二人に追い抜かれるに決まっているから。
おあいこの、ヘビィで綺麗な、恋の勝負。
そういうふうに、思います。
Posted by ブクログ
人は生きているうちにいろいろ抱えていく。
簡単に忘れられること、たぶん一生忘れられないこと。
それでも終わりが来るその時までは、そういったものを抱えて生きていかなくてはならない。
主人公を始め、登場人物たちもそれぞれ、その人なりにいろいろなものを抱えている。忘れたくても忘れられない思い出を抱えている人もいる。耐え切れずに逃げちゃう人もいる。
そういったものを全て受け入れて、それでも前を向いて歩いて行ける強さを持ちたいと思える作品でした。