あらすじ
読売、日経、ヤフー、波乱のメディア三国志!
大幅加筆400字70枚でここに完結!
インターネット上で巨大化しているプラットフォーマーたちに、今日の競争政策はうまく機能していないとして、独占禁止法の強化を主張する思潮が全世界を覆う。日本に独自に成立しているプラットフォーマー、ヤフーにも公正取引委員会のメスが入ることになる。だが果たして新聞の凋落はプラットフォーマーだけのせいなのか?
著者は、日経、読売、ヤフーの三社のみならず、ニューヨーク・タイムズ、英エコノミスト誌から鳥取のローカルメディアにいたるまでを、丹念に調査し、「持続可能なメディアとは何か」を、30年にわたるメディアの興廃史の中から掘りさげていく。
文庫書き下ろし新章 新聞VS・プラットフォーマー
大きくなりすぎたヤフーに対して公正取引委員会のメスが入る。「国境なき記者団」にネットの言論空間正常化のためのシステムを依頼された村井純は、読売の山口寿一に会う。
※この電子書籍は2019年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2019年の単行本を文庫版で再読。4年経って紙の新聞の衰退はさらに進んでいます。新聞協会のHPでは新聞発行部数は2019年の37,811,248から2022年の30,846,631へ、700万部の減少です。日本の人口減少が2019年から2022年で160万人なので人の減り方では語れない新聞の衰退が見て取れます。今回、再び読んだのは文庫のために付け加えられた新章「新聞vsプラットフォーマー」を読むため。現在進行形の「オリジネーター・プロファイル」について取材しているからです。信頼できるコンテンツを認証する、というプログラム、やっと動いたか、という期待もありますが作者は少々懐疑的な視線を投げかけます。それは本書でのメインストリー、「あらたにす」の挫折があるからでしょう。成長の時代に激しく販売競争してきた新聞社の呉越同舟がいかに難しいかを描いてきた著者ならではの感覚です。ただ文庫版の締め切り直前まで交わした著者と読売新聞社山口社長との生々しいやりとりはそれだけでも必読です。単行本の時には2050年まであと31年でしたが文庫の今年はあと27年…リアル「2050年のメディア」はどうなっているのでしょうか?
Posted by ブクログ
子供の頃、夢中で小学生新聞を読んでいた私が30歳を超えて新聞を取っていない。(一時期取っていたが価値を感じられない&古新聞が溜まるのが鬱陶しくてやめた。)
それだけでも紙の新聞の苦境は不思議なものでも何でもないと感じる。
本書は読売新聞、日経新聞、Yahoo!の3者を軸に新聞社とプラットフォーマーとの戦いをスリリングに描いたノンフィクション。文庫で500ページ超の大作だが、読み始めたら止まらず一気に読んでしまった。
アテンションエコノミーに振り回されずより良質な情報を得るか、情報消費者である私たちの振る舞いを考えさせられる一冊だった。
Posted by ブクログ
文章はちょっと好きになれない部分もあったが、なかなか面白かった。
情報は無限になり、読者が独占されているということに公取的な発想でどう立ち向かうのか。表現の自由とのせめぎ合い。それは、自由経済の限界を画す独禁法の発想に確かに親和的。考えさせられる。