あらすじ
閉店が決まった洋菓子店で、なぜか店主と常連客のマダムがお菓子教室を始めることに。生徒はあなた一人だけ。参加条件は悩みがあること。一歩踏み出す勇気が持てない会社員にはタルトタタン、過保護で心配性な母親にはイートン・メス、失恋ばかりして落ち込む男性にはザッハトルテ……。あなたの悩みを解決する、美味しい人生のレシピ教えます。
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Posted by ブクログ
メモ
実のお母さんとはタイプが違って、色々難しかった。だけど、仕事を通じてお母さんだと思える人との関わりがあり、ぎゅっと固まったつらさがはどけていったというところに、自分自身の見方がふわっと広がりすごく助けられました。趣味の世界でもお母さんと呼べる感じの人がいるかもしれない、(直接にすごいやりとりがなくても、心の中で)そうした気づきがありました。
Posted by ブクログ
本作は、お菓子屋さんを営む店主が店を閉めて、生活のためにバイトを始めるところから始まる。そして、そんな経緯をもつ主人公である白井は、常連客であった佐渡谷とバイト先で再会する。佐渡谷は料理研究家であり、白井の作るお菓子のファンでもあった。佐渡谷の勢いにおされた白井は、閉店が決まった自身の店で、佐渡谷の料理教室らしきものを開くことになる。
ここまでの流れからは、料理やお菓子作りを軸に、人生の問題や人間関係のあれこれを解決していく、というありふれたものだが、やはり本作はどこか頭ひとつ抜けた作品だと感じている。突拍子もなく大げさな出来事や人物が立て続けに現れたり、セリフだけでページが埋まったりするものの、あくまでその進み方は現実的だ。
競合他社のお菓子の単価や品質のバランスに唸ったり、客の都合の良い言動にもやもやしたり、閉店してバイトを始めるも、バイト先に店舗経営者だとバレてからの展開などは、かなり現実的かつ世知辛い。お菓子の見た目や味や甘さは、商品として計算されつくされた存在であり、世の中にごまんとあり、それを作る生産者と経営者でもある主人公や佐渡谷が、いかに努力を重ねているのかを垣間見ることが出来る。
しかし、本作はそれを前提におきながら、そんな主人公たちと、お菓子作りとは程遠い人との交流を描いている。特に最初のエピソードでは、閉店した主人公がその先に悩む姿と、名だたる企業や国家機関で働く女性が仕事を辞めたくても辞められない姿が対比して描かれる。どちらも当然一筋縄ではいかずに、ほぼ現状維持ながらも、しかし、流されることなく自身の意思で、少しずつ自分の人生を歩もうとする。このストーリーも、お菓子作りを絡めて描かれるのだが、華やかなお菓子ほど初心者には向いていないことが分かる。しかし、それでもベテランの主人公と佐渡谷がクライアントとお菓子の思いと向き合い、工夫を凝らせば、それなりのお菓子をみんなで苦戦しながらも作り上げることができる。
その後のエピソードも同様に、一足飛びにすべてが解決することは少なく、希望するお菓子を作るのは難しいが、これぐらいまでのお菓子ならば作ることが出来る、というエピソードが多い。白井と佐渡谷を頼る人は、思ったよりもお菓子作りは大変で、思っていたのとは違う仕上がりだけど、自分で作ったものを食べるのも楽しい、という感想を述べている。お菓子や食事を作る楽しさと食べる楽しさ、そのために先生や誰かとつながり協力する楽しさを、苦労しながらも感じる様子は、読んでいるこちらが微笑ましくなる。お菓子や調理方法の名前や由来を学びながら、お菓子を四苦八苦しながら作り上げて、ほっとしながら食べる。すると、これからの生活も同様にどうにかがんばれる気がする。そんなエピソードを読むと、頑張って疲れたら、好きなお菓子を作って食べるくらいの一休みと、その大事さを感じる。
本作はドラマにもなり、続編である"バニラなバカンス"に続いて、さらに3作目も近々発売する模様。文庫版や電子書籍で手軽に読めるのもありがたい。楽しくて甘いお菓子作りのストーリーであり、同じく人生のほろ苦さもしっかりと描いたシリーズとして、ぜひ続いてほしい。
Posted by ブクログ
スイーツに癒されていく、このテーマ、内容にほっこり。
サラッと経歴詐称してるのじわじわきた。あと、潰れた理由がわからないと言いながら、リニューアルはめちゃくちゃマーケティング戦略してるやんと思いながら。
癒されたり、スイーツ食べたくなったり、色々面白かった。続きのバニラなバカンスも気になります。
サクサクと物語を引きずらない書き方があっさりしていて良かった。あくまでも作るのがメインな感じ。
Posted by ブクログ
良い。
普段食べている洋菓子が実は日本独自の洋菓子で本当の洋菓子では無い事が分かった。でもロールケーキ、ショートケーキ好きなんだけど。
厳選した材料、設備費等お金がかかる。だけど日本人には違いが判らない。
Posted by ブクログ
心に傷を負った人たちが甘いお菓子を通じて再生していく姿にほっこりしたし、お菓子一つ一つの由来や作り方などが丁寧に描かれていて、もちろん食べたくもなるし作ってみたくもなりました。
Posted by ブクログ
なんとなく読んだけど面白かった。5年間営んでいた洋菓子店を経営難で閉じることになった主人公・白井が、常連客だった佐渡谷から、次の借り手が決まるまで厨房を貸してほしいと言われて……という話。こういうタイプの小説って、夢だった自分のお店をオープンして、さまざまな苦労があって、でもそれを乗り越えて、みたいなものが多いけど、まさかのお店を閉めるところから始まり、「これからどうしよう……」という切り口はいままでありそうでなかった気がする。エンディングもストーリーの雰囲気から大きく逸れることなく、劇的でないのがまた良い。お菓子を食べたくなるし作りたくもなる話だった。