あらすじ
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日常の中に無限にある「楽しみ」の中で、ラジオにしかできないことってなんだろう? TBSラジオ「JUNK」統括プロデューサーのラジオに捧げた25年が詰まった初の書き下ろしエッセイ。ラジオとの出会いから、プロデューサーになるまでのエピソード、人気パーソナリティたちの魅力まで。極楽とんぼ、おぎやはぎ、バナナマン、ハライチ、アルコ&ピース、パンサー向井慧、ヒコロヒーとの読み応え抜群のロング対談も収録。
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Posted by ブクログ
蛍原さんがクレイジーモードに入るとき、必ず宮迫さんは「常人」としてリアクションしてくれる。それゆえ言動の異常さやずれ具合が際立って、リスナーの視座が守られる。宮迫さんと一緒になっておもしろがることができる。
宮嵜 これからは僕を育ててくれたように、七三を育ててほしいなって思うんですよね。なんか気づいたことがあったら言ってほしいです。
矢作 違うんだよ。七三を直接育てなくていいのよ。七三はこれまでのヒゲちゃんと同じように、「おぎやはぎを俺がどうにかしなきゃ」って思わなきゃいけない(笑)。俺たちがアドバイスなんかすることないよ。
小木 別に俺たちはヒゲちゃんを直接指導したわけじゃないからね。
宮嵜 僕は育てられたと思っていますよ?
矢作 七三もちゃんと自覚してくれないとさ。「お前にかかってるんだぞ」って。
小木 だから、七三に言いなよ。「小木やはぎを育てろ」って。「なんとかしてあげてくれ」って。
バナナマンLIVEを初めて観たのは二〇〇二年の「ペポカボチャ」。以来、ありがたいことに毎年観劇させてもらっている。バナナマンのコントにはいつも必然性がある。登場人物の行動や言葉にしっかりとした道理がある。たとえどんなにシチュエーションがすっ飛んだ異世界的な場所でも、その場所においての必然がある。だから話について行けないとか、意味不明でも置いてけぼりになることがない。僕はお二人の作るネタが大好きだ。
バナナマンのラジオもそうだ。起こった出来事、生じた疑問を曖昧なまま終わらせない。「わかる奴だけわかりゃいい」なんて気持ちがない。“バナナマン劇場”に入場しさえしてもらえれば誰も置いていかない。
平子 僕が一番覚えているのは、宮嵜さんと直接喋ったことじゃないんです。何かの飲み会の席かな打ち上げかな、覚えてないんだですけど、近くで宮嵜さんが誰かと喋っていて。酔っ払ってたと思うんですけど、「俺はね、ラジオはパーソナリティが何を体験したかじゃなくて、そのとき何を思ったかだと思うんだよ」って言ってたんです。僕はそれまでの『オールナイトニッポン』でも体験報告が苦手で。そこで自分がどう思ったのかを大事にしたいけど、「これってリスナーに届いているのかな」とか、「もっと派手に喋らなきゃ」なんて考えてしまっていたんです。ホントは手の届く範囲内のことを深く喋りたい人間だったから、体験話ができる人はすごいし、体験のこともホントは広げて喋りたいんだけれど、今の方向で大丈夫なのかと言っていたら、宮嵜さんがたまたまパチコーンってハマる話をしていて。それで、「ああ、いいんだ」って昇華されたんです。悩んでいたことを言語化してくれたっていうか。直接は言われてないけど。
宮嵜 そいつすごいね(笑)。
酒井 あなたですよ!
宮嵜 ハライチとの対談でも話したんだけれど、普通に生きてたら、そうそう毎週、超絶おもしろいエピソードなんてないじゃない? しかも、ラジオって、その人自身を聞くメディアな感じがするから、話がおもしろいから聞く人もいるだろうけど、一番はアルコ&ピースが好き、平子君が好き、酒井君が好きだからなんだよね。そこで話すことはその人そのものが出る話で十分足りるというか、その人を介さないと出てこない考え方だったり、意識だったり、物の捉え方を出せる場所なんだから、ラジオってそれでいんじゃないかってずっと思っている。