あらすじ
日本経済停滞の諸悪の根源はコイツらだ!
日本経済が停滞して、すでに30年以上が経過した。しかし、状況は良くなるどころか、1997年の消費税増税を端デフレに陥り、異次元の金融緩和をしても財政出動を拒み、緊縮財政に突っ走った。さらに2度の消費税増税だ。不景気の時に増税など言語道断だということは経済の教科書にも載っていることだ。
なぜ、こんなばかげた政策を行うのか。岸田文雄政権前からだが、どこか大東亜戦争に酷似していないだろうか。政府が圧倒的に力を持ち、一方的に物事を決めていく。そしてメディアが「大本営発表だけ」を垂れ流して煽る。あらゆる失政は明らかににもかかわらず、誰も責任はとらないし、ひたすら日本経済は右肩下がりを続けていく。
まずは誤った貨幣観を正さなくてはならない。「国の借金1000兆円超え」「子・孫に負のツケを残すな」と一見まともそうなスローガンで増税にひた走ってきたが、そんなものはまやかしだ。岸田総理自身も「(国の借金は)政府の債務です」とようやく認め、財務省も「(日本の)デフォルトは考えられない」と対外的には発信しているのだ。そして、国債の償還ルールを採用しているのは世界で日本だけなのだ。
(底本 2023年3月発売作品)
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Posted by ブクログ
とても勉強になりました。
もう何だか日本政府が、全く逆のことをやっていることに驚いてしまい、大変なショックを受けました。
ずっと国債は国の「借金」かと思っていましたが、全く違うことを知りました。数字(情報)が増えるだけ。
2025年現在の日本においては、消費税(付加価値税)は諸悪の根源としか思えません。
消費税が無くなるだけでも、日本経済は回復するのではないかと感じました。
日本を建て直すためには、本当に何とかしないといけない。
税金は財源として必要なのではなく、国債が相殺されるだけ。
税金増収→国債減少→国民の預金減少。
本当に何をやっているのか、、、
Posted by ブクログ
【書名と著者】
日本経済失敗の本質
三橋貴明
【目的】
貨幣観というキーワードで日本の経済政策を読み解く点に興味をもった。
経済が伸びないのはプライマリバランス黒字化嗜好と(お小遣い帳の発想)政と消費税を財源にした輸出企業への還付金、個人消費の冷え込み、なのかなと思っていたが、
そもそもの主義主張によるものであるなら、それはなんなんだろうと疑問を持った。
【読後感】
【印象に残ったポイント】
・大殺戮のなかった災害史観の日本と、紛争史観のユーラシア大陸の対比
戦争に適さない抽象的で曖昧な日本語と、戦争に適した意味が明瞭なユーラシアの言語。
災害で人が死んできた日本と、紛争により人が死んで来たユーラシア。(ついでに、拷問も多様なのが後者)
日本の扉は外開きだが、その他の扉は防御しやすい内開き。
・大東亜戦争といまの日本政府がそっくり、一部の日本の会社ともそっくり
失敗を顧みない、手段が目的化、雰囲気と人間関係、責任は現場(現場の兵隊、平社員、国民)が取れ。
組織内のヒエラルキーが特権化、偉い人が貴族か何かにでもなってしまうのって不思議だがとても再現性があるなと感じた。
・過去の誤りを認めてはならないカルチャー
自分の会社にも、過去の○○が誤っていたことにしてはならないカルチャーがある。
ミスがあったことが判明したら、ミスを総点検せねばならなくなる。そんな余力はないから、ミスとしてはならない、等。
ただ、本当にあるべきは目的やリスクレベルに即して踏みとどまることなんじゃないの?って思う。
・経済の目的は経世済民、という目的志向
経済って難しい、と思いがちだがコレって経世済民的なのか?という目的間でジャッジすると、専門知識や細かいことがわからなくても、自律的に判断できそうだなと感じた。
ただ、なにかオペレーションに突入してしまうと「これをやるのだ脳」になってしまう。なので、ふと立ち返る仕組みないし自分へのストッパーをどうセットするのか、が難しく感じる。
【要点】
1.なぜ戦争が起きるのか
生存のために共同体を作り、生活のために分業する。この共同体間で生存のためにリソースを獲得するための紛争が発生する。
騎兵中心→銃→ミサイルに至る。国家=国民が戦争主体となる、だから総力戦になる。そこで、決め手は物資(戦争継続のためのリソースすべて)。
2.大東亜戦争期と酷似する現在の日本政府
世界にべき論を唱えるリベラリズムに対し、世界はこうなっていると現状認識からはじまるリアリズム。
たとえば、金本位制は金の総量との裏付けが貨幣に必要というリベラリズム。昭和恐慌のトリガーは1929年の世界大恐慌のあとの経済政策である金本位制、ではなぜ導入したのかというと当時の世界標準だったから。
戦争に際しては、相手が昔とは異なるリアリズムでの認識ではなく、リベラリズムで望んでしまっていた。ついでに、日本語的な抽象で解釈を現場にゆだねる指示が混乱を招いた。だから、ノモンハン事件でも日本の対応は杜撰となった。
大東亜戦争にしても、GDPが5倍のアメリカとまともに総力戦したら勝てるわけがないというのが、当時の日本の現状認識だったらしい。
とはいえ、石油を絶たれてどうするか、でアメリカに勝つには全面戦争せず西出してイギリスを叩きつつ、インドネシアで石油確保し継戦能力を維持するのだ。石油がないから待ち構えて、戦える海軍で応戦し早期講和に持ち込むのだ、というプランがあったそう。
ところが、山本五十六が暴走して、大方針から大きく外れる思い切ったパールハーバー奇襲に出てしまったのと、曖昧な指示で現場が混乱し、艦隊が損傷した。
作戦の前提が変わってしまったのに、現状を認識せず決めた通りの戦術を繰り出し、悲惨な結果に至った。
陸軍は銃剣突撃!海軍は艦隊決戦!というべき論が先に立ち、目的合理なリアリズムがなかった。失敗を顧みず、手段が目的化し、雰囲気と人間関係で重大なことが決まってしまい、責任者が免責される。
これって、今の日本と酷似してる。
3.狂った貨幣観と大本営と化した財務省
経済政策の目的は、経世済民。国民が安全に豊かに暮らせること。
生産者が財サービスを作り、家計・企業・政府・外国へ提供して対価をもらう。で、稼いだ所得は銀行へ。
生産・消費・所得の金額はすべて一致する。だから、わたしたちが豊かに暮らすためには誰かの支出が必要。
だから、政府の支出を増やさないと国民の所得が増えないし、増税したら当然に経済が伸びない。
銀行預金の発祥は、金の預かり証?金を保管してあげるサービスから派生し、現物の金を携行したくないニースから預かり証が金の代わりに流通した。しかも、実際に保管している全部が一気に引き出されることはないので、預かり証自体も実際の保管料より出してしまえと、現物資産の担保を超えた量が流通したしたのだとか。
つまり、貨幣の正体って極論、単に帳簿上の数字を水増ししただけ。
これを日本政府に置き換えると、日銀が国債を市中銀行を経由して買い取って、代わりに銀行の預金を増やす。
これだけの話なのに、なぜか世界的に見ておかしな60年償還ルールが日本にあり、償還する前提だから本来計上しなくていいはずの償還費が一般会計に積まれてしまってる。
だから、国債発行の分だけ債務償還費が積み込みされて、国民のための支出ができなくなってしまってる。
加えて、プライマリーバランス黒字化という(世界で唯一の)手段が目的化したことで、金を使わないし経済を縮小させるオペレーションになっている。
ここと密接に関連する財務省の評価の仕組みは増税や支出減らしなので、東大法学部のエリートを集めて真面目に事業として増税と支出減らしに取り組ませて今に至る。
本来は経世済民のために政府が赤字を出して国民を豊かにすべきところ、目的間のないオペレーションで民間の黒字を増やさない構造がある。
Posted by ブクログ
貨幣に対する理解。なぜ、世界史というか人類史から始まるのかなと思ったけど、こういうことか…。前の大戦で陸海軍エリートが国を滅ぼすまで方向転換できなかった「血」は確実に残ってる。主権者であっても草莽たる民はこれを傍観するしかないのか。正しい理解で世の中を変えたいものです。