あらすじ
プロ野球スター・プレーヤーの子供が誘拐された! 身代金は一千万円。警視庁捜査一課の吉敷竹史刑事は、犯人の指示で赤電話から赤電話へ、転々と走り回る。が、六度目の電話を最後に、犯人は突然、身代金の受け取りを放棄、子供を解放した。釈然としない吉敷。犯人の目的は何か?――従来の誘拐物の類型を脱し、野心的な着想で挑んだ会心の長編推理力作。
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Posted by ブクログ
吉敷竹史シリーズ
巨人の投手・川口の息子誘拐事件。犯人に言われるまま身代金を持ち駆け回る吉敷。突如として取引の中止を宣言し息子を解放した犯人。自分の町を周る白いライトバンが気になった甲斐佳子。夫に相談するが関心を持たない。ある日夫が会社やめたと知らせて来た阿佐田と名乗る男。ライトバンを運転する夫・留広を目撃。誘拐事件と留広の関係を疑った吉敷と小谷の訪問。逃亡しようとしマンションから転落死した留広と死の原因を作った隣人の磯田憲子の自殺。野球賭博と事件の関係。
2007年3月23日初読
Posted by ブクログ
犯人が身代金受取を放棄するというのは新しく、"保険のための誘拐"というのも面白かった。
ただ、白いバンに関しては無理矢理つけ足した感が
否めず、あまり驚かなかった。
内容としては可もなく不可もなくといったところだが、それでもこれだけ読ませるのはやはり島田氏の圧倒的筆力によるものだろう。
また、著者は『北の夕鶴2/3の殺人』では情熱的な吉敷を描いているが、今回は吉敷はドライに感じられる。
本格ミステリーは、「人が描けてない」と言われることがあるが、おそらく、ある程度の筆力が伴った推理作家の場合、"描けない"のではなく、"描いていない"というだけだろうと感じた。