【感想・ネタバレ】サリエーリ 生涯と作品 モーツァルトに消された宮廷楽長 新版のレビュー

あらすじ

映画「アマデウス」では、天才モーツァルトを嫉妬に狂って殺した凡人として描かれたアントーニオ・サリエーリ。人気のスマホゲーム「Fate/Grand Order」でも、復讐者のサーヴァントとして登場している。

18世紀ウィーン音楽界で、孤児から宮廷楽長にまでのぼりつめ、ベートーヴェン、シューベルト、リストなど多くの逸材を育てた大作曲家であるサリエーリ。
晩年、モーツァルト毒殺の犯人に仕立て上げられた彼の「真実の姿」を、イタリア・オペラ研究家として名高い著者が、確かな検証と詳細な研究により、余すところなく描き出す。

日本で唯一と言えるサリエーリ伝。第27回マルコ・ポーロ賞受賞作品。

このたび、新たな事実を加えた充実の20ページを増補し、“新版”として復刊。
「サリエーリ全作品目録」「サリエーリ年譜」「ディスコグラフィ」など資料性も高い。

▼目次
第1章 誕生から宮廷作曲家就任までの歩み
第2章 オペラ作曲家としての名声の確立
第3章 モーツァルトとの確執とサリエーリの円熟
第4章 モーツァルトとの和解とオペラ作曲家としての危機
第5章 オペラ作曲家の終焉
第6章 教育者としての活動と晩年の日々
第7章 モーツァルト毒殺疑惑に汚された最晩年と死
補章 現代のサリエーリ復興
付録1 ヴィーンにおけるイタリア・オペラ上演
付録2 イタリアにおけるサリエーリ作品の流布
サリエーリ年譜
ディスコグラフィ
サリエーリ全作品目録ほか

※本書は紙の書籍では付録等の参考資料は逆開きでの構成でございましたが、電子書籍版では、本編の後に継続して読み進める仕様となります。付録等の資料は横書きとなります。あらかじめご了承くださいませ。

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Posted by ブクログ

復刊で話題になった時に、これは絶対面白いはずと思い購入。
遅読乱読の悪癖持ちなので少しずつ読んでる。やっぱりとても面白い。プロフェッショナルの研究者でかつ分野の第一人者の方の著書に対してこういう言い方は合っていないかもしれないけど、一文一文が誠実で、取材と研究を重ねた信頼できる言葉だと感じられる。写真や新聞記事でさえ孫引きに塗れているいま、信頼性のある文章とはこういうものだと思う。
サリエーリの生涯はドラマチックで、特に少年期〜青年期はp.21の『「アマデウス(神に愛されし者)」──それはモーツァルトよりもサリエーリのためにある言葉であった。』がぴったりだと思った。
モーツァルト毒殺疑惑の研究について読んでいると、噂・風説・フェイクニュースを多くの人々が信じ、またその疑惑を晴らそうとした人々の苦心の道筋が、まるで今起こっている出来事のように思える。

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2022年11月23日

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