あらすじ
幽霊が見える天(てん)は、見た目は怖いけど頼まれると断れない性格のせいで、今まで何人もの幽霊を助けていた。そんな自分に嫌気がさしていたある日、コンビニの前に立ちつくすセーラー服の幽霊・陽菜(ひな)と出会ってしまう。
「お願い。あたしのお姉ちゃんを守ってほしいの」
頼みごとばかりしてくる幽霊には、もううんざりしていた天だったが、その陽菜の願いがきっかけとなり、ふたりの抱えていた切なくも愛おしい、それぞれの伝えたい想いが交錯しはじめる――。
セーラー服姿の幽霊との出会いが、天の止まっていた時間を再び動かしていく――。
感情タグBEST3
大事な人の死をどう受容れるか、そこに到る経緯も想いも、そしてどう区切りをつけるのか、想いを残すのか人それぞれ…。
この物語の様に色々な偶然が噛み合って落とし処を見付けられる人は稀なんじゃないかと思う…。
寂しいという想い…。
でも、それすらも忘れさせる時間も人それぞれで…。
Posted by ブクログ
ヤンキーのような見た目をしているが故に、皆から怖がられてしまう天君が、幽霊である陽菜から「お姉ちゃんを守ってほしい」と頼まれることから始まる青春小説。
水瀬さんの作品を読むのはこれで二冊目ですが、「青い風、きみと最後の夏」同様に、とても優しい物語と地の文でした。読んでいて心が暖まるような……そんな小説でした。
親友を失ってしまったことで深い傷を心に抱えている天君と、家族の仲を修復しようと奮闘する舞衣ちゃんを見ていると、とても胸が締め付けられるような思いがしました。誰よりも優しいからこそ、二人とも必要以上に傷ついてしまう。最後は二人とも報われる終わりだったので、とてもホッとしました。
天君と舞衣ちゃんがこれからどのように愛情を育んでいくのか……できることなら、成長した二人の姿が見たい。そんな風に思わせてくれるくらい、とても良いハッピーエンドでした。
Posted by ブクログ
幽霊の見える主人公が制服を着た幽霊と出会い、
そこから始まる切なく、心温まるストーリー。
話が進むにつれて、関わってる人たちを思う気持ちが変わってく姿が印象的でした。
辛くても前を向き1歩ずつ進んでいく勇気をもらいました。春にピッタリな作品です。