あらすじ
ロンドンの医師で“心霊博士”でもあるジョン・サイレンスのもとには、超自然現象に悩む患者たちが訪れる。屋敷の悪霊に取り憑かれた作家の災難を描く「霊魂の侵略者」、前世の記憶から猫の街に引き寄せられた男の妖しい体験が語られる「古えの妖術」、旅の途中で30年ぶりに母校を訪れた商人が引きずり込まれた黒魔術の恐怖「秘密の崇拝」、青年の激しい恋情が驚愕の人狼事件へと発展する「犬のキャンプ」など、英国恐怖文学の巨匠ブラックウッドのジョン・サイレンスもの6編を完全収録した傑作短編集。/【目次】/事例一 霊魂の侵略者/事例二 古えの妖術/事例三 炎魔/事例四 秘密の崇拝/事例五 犬のキャンプ/事例六 四次元空間の虜/解説=朝松健
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Posted by ブクログ
やっと出ました。しかも完全新訳。
奇怪で奇妙、わけわからないけどなんだかゾクゾクする、
そんなホラーの名品です。
ジョン・サイレンス博士自体は、
そんなに活躍するわけではないのですが、
持ち込まれる話が奇怪なのですよ。
「秘密の崇拝」とか、あの廃墟を吹き抜ける
冷たい風を想像しただけでねぇ、
背筋と好奇心が刺激させられます。
Posted by ブクログ
作者の作品を読むのは三冊目で、どれも出版社が違い多分訳者も違い、そういう背景が違うことによって結構な印象の差が生まれる作風ではないだろうか。興味があって手に取ったはずなのたが、ひねりがなく盛り上がりにも欠け、終始淡々とした調子にて物語は進み、怪奇ハンターが呼ばれて事件を解決して帰ってゆく。別にだめじゃないむしろ好きだがなあ。地味なんだよ。もし再編集するなら、今時の若手俳優でドラマ化し、硬くなり錆び付いた箇所に潤いと艶(オバハンの興奮と汗ばみ)を与えることにより作品が活きるようにする。おしり探偵のような。
Posted by ブクログ
新訳版、読みたかった本がようやく手に入りました。いろんな人の訳文で同じ作品を読み比べるのが面白い。
古の妖術(1978年 ブラックウッド傑作選では「いにしえの魔術」)はじめとして、ジョン・サイレンスものだけを6編揃えて収録しているわけですが、こんなにも演出がバラエティに富んでいるのかと驚きました。
解説でも触れられていますが、主人公の事件への関わり方が様々で(ホームズ的に事件の依頼を受けて繰り出すケースもあれば、最後にちょこっと登場するだけ等々)よくあるシリーズモノにありがちな、話がマンネリ化しない工夫は素晴らしいし、状況描写や目に見えない「モノ」と戦う臨場感など、とにかく文章がワクワクドキドキする美しさでした。
この手の作品集はパターンが見えちゃうと読んでて飽きるので、そういう場合は1編読んでは間を空けたりしなきゃいけないんですが、この本は1冊ぶっ続けであっという間に読み切ってしまいました。面白かった。
Posted by ブクログ
正しい怪談、って感じかな。
事件簿っていうタイトルから想像するような、推理も野ではありませんので念のため。
所謂クトゥルーもの群より古い作品に当たりますので、コズミックホラーものではないのですが、ちょっとだけそんな雰囲気も匂いますね。
もちろんどっちが影響を受けたかといえば、ラヴクラフトですが。(^^;
「古えの妖術」とか「秘密の崇拝」とか、特に中世の雰囲気を色濃く残した舞台の作品が良かったと思います。