あらすじ
「確かにこの日、私は定住の場を回復して、〈ハウスレス〉ではなくなった。しかし、〈ホーム〉という言葉が家族の存在を前提とするのだとしたら、私はまだ〈ホームレス〉の状態を脱したわけではなかった」――安息の住処を獲得した作家は借金返済と仕事に専念しようとしたが、想像を絶する悪夢に直面し、苦悩する。綱渡りの日々の中消えてしまった身重の妻と幼い娘、はたして再生の道は……? 恐怖に怯え、仕事も上手く進まないが、穏やかな生活を夢見て、もがく日々を描いたホームレス作家のその後。――渾身のノンフィクション!!
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Posted by ブクログ
『ハウスレス』の状態から何とか脱出した著者ですが、また新たなトラブル等が舞い込んできて、懊悩の日々が始まります。一度転落するとなかなか這い上がることの出来ない闇があることを実感させてくれます。
「お前、野垂れ死にする覚悟があるか?」
昔、何かの弾みである人にこう問いかけられたことがある。かつて一度、この本に書かれていることに近しい経験を僕はしたことがある。具体的なことは、精神的なダメージがひどいので書けないけれども、野垂れ死にする、ということはゆっくりとしかし、確実に死に向かっていくことに他ならない。
話がそれてしまったが、一度、路上生活に身を堕とした者が社会復帰をするまでにどれだけの障害が立ちふさがっているのかをもの本はまざまざと浮き彫りにしてくれました。特に印象に残ったのは、子供や家族ををめぐって品川区と壮絶なバトルを展開するくだりでした。往々にして役所の対応というのはここに書かれていることと大同小異なものですが、それにしても、このくだりには読んでいて大変な不快感がこみ上げてきました。
そして、彼と家族との関係も、ズタズタになっていくさまが描かれています。これにはさらに続編があるそうなので、引き続き読んでいこうと思います。