【感想・ネタバレ】文豪、社長になるのレビュー

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愛すべき人。今までほとんど知らなかった。よくぞ文藝春秋社を創立した。直木賞、芥川賞を創設した。川端康成など、同時代の作家さんがたくさん出てくるのも楽しい。

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2023年09月08日

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ノンフィクションやインタビューではない、出版社創業フィクションは老舗ならでは。他の本で書かれていたことや、過去に読んだ石井桃子の自伝などともリンクして、グイグイ読めた。

ゴシップ話が大正時代になってから人気が出た、という話が印象的だった。

もちろん、同社からの出版物だし故人なので、好意的かもしれないが、それも含めてもよかった。

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2023年09月03日

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安定の門井慶喜作品。流行作家から今も続く文藝春秋を創刊した菊池寛。今や絶滅した文豪の生き様を菊池寛のほか、芥川龍之介、直木三十五らとともに描く。

新進の作家に発表の場を与えるために創刊した同人誌的な内容から日本を代表する総合誌へ。そして戦争の影。
ハズレのない門井慶喜の伝記小説は今回も安定の出来。

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2023年07月23日

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特に何か凄い事件が起こるわけではないのに、日本の近代文学史が描かれているせいか、非常にワクワクして面白かったです。

明治21年生まれの菊池寛が作家になり『真珠婦人』をヒットさせ文藝春秋社という会社を立ち上げ、雑誌『文藝春秋』を創る話です。


1話目の寛と寛(ひろしとかん)には芥川龍之介が登場します。芥川龍之介は『鼻』が認められ、文壇でどんどん名をあげていくのに対し菊池は『真珠婦人』までヒットがありません。
大正12年に菊池は『文藝春秋』を創刊します。
そして芥川は神経を病み自殺。
菊池寛の本名はひろしと読みますが、芥川は自分の長男に比呂志(ひろし)という名前をつけていました。

2話目は貧乏神
直木三十五の話です。
横光利一、川端康成などとともに直木三十五も登場します。
直木三十五の本名は植村宗一ですが、筆名の由来を初めて知りました。
直木は働き過ぎて、結核から脊椎カリエス、脳膜炎を併発して亡くなります。

この2話で、今、毎年二回必ず話題になる文学賞、芥川賞、直木賞の創設の意図がよくわかりました。

第3話会社のカネでは、社内で起きた横領事件。

第4話ペン部隊では満州事変。

第5話文藝春秋では会社の立て直しの様子が描かれます。


明治から昭和初期の文化人の名前がたくさん出てくるので(夏目漱石、柳田國男、小林秀雄、石井桃子、向田邦子他多数)その頃の文学がお好きな方には面白く読める本だと思います。

菊池寛には『真珠婦人』のヒットはありましたが、文化人というより会社人間として成功した人だったのだと思いました。
菊池寛の死因は、接待などでの暴飲暴食による狭心症でした。

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2023年07月15日

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公教育で識字率が上がり電灯の発明で夜に余暇時間が生まれた時代。書き手を集めて雑誌を創り、文学賞に亡き友人の名を冠し…。
登場する文豪たちが生の人間として生き生きと感じられて面白かった。

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2023年05月23日

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軽快で心地好い読後感。菊池寛の人生を辿った物語だが、同時に出版社・文藝春秋の成り立ちが解る。この本を介して菊池寛や芥川龍之介、直木三十五たちに逢えた気がした。

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2023年05月07日

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文藝春秋の創始者で、芥川賞や直木賞も創設した菊池寛の一代記
芥川や直木といった友人の死、社員の横領、戦争と波乱に満ちてる
読後感は、門井さんの家康や辰野金吾、おりょうのように気持ちいい感じ

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2024年04月15日

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面白かった。菊池寛という人のことをちゃんと知れて良かった。好きなことに無邪気な人が突進できるこの時代があって、今こんなに私は読書を楽しんでいる。
芥川賞、直木賞の成り立ちを知ったことで今後の受賞作にますます期待!

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2024年04月06日

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文藝春秋社百周年を記念しての出版らしく、多分にヨイショ感はある。菊池寛が親友の芥川や直木三十五を偲んで賞を作ったのは有名な話で、別な書籍でも詳しく書かれている。
が、ここでは、一筋縄では行かないが、魅力的で親分肌の菊池寛がよく描かれていて好感が持てた。小林秀雄、井伏鱒二、今はビッグネームの作家がゾロゾロ出ててそこも興味深かった。

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2024年02月28日

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お恥ずかしながら菊池寛の存在をこの小説で初めて知りました。
まさに文豪であり、実業家。
周りを動かす人望ここにあり。

毎年話題となる芥川賞と直木賞も菊池寛によって作られた。
その経緯を知り、また注目の仕方が変わる。
受賞者はもちろん、賞そのものも長生き。
その目標は今も受け継がれる。

亡くなり方が印象的だった。
こんな幸せなことがあるか。
最後まで文藝春秋を思い続けた彼の生き様をご堪能あれ。


He was a stubborn and devious person.
However, a lot of people loved him because he was a big brother type and bold.

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2024年01月08日

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文藝春秋創立100周年記念作品。
文藝春秋は知っていても、どうやってできたのか知らなかったことばかり。
菊池寛も流行作家だったことは知っていたが、作品は一つも読んだことなし。
へぇーって思うことだらけで、あっという間に読めました。

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2023年12月31日

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菊池寛の伝記小説。
文藝春秋を作り、芥川賞、直木賞も作った人。
無知とは恐ろしい。全然知らなかった。芥川龍之介、直木三十五、夏目漱石、川端康成。錚々たる登場人物の数々…。
幼少期から小説家になるまで、芥川龍之介との関係、直木三十五との関係。当時の様子がありありとわかる。
僕らは、日本の先人達の作った礎の上に生きてるにも関わらず、本当に何も知らないんだなぁ

伝記小説…。いいなぁ

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2023年12月10日

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まず、表紙が良い。
誰のことなのかすぐに分かった。
私のような特に学もない庶民が読書を最大の楽しみと言えるような世の中を作ってくれた人、菊池寛。
高尚も知るが民衆目線に降りることを選んだ人だ。

人の財布が気になる。
困っているのではないかと思えば、仕事を探してやりたくなる。
若くして亡くなった二人の友を偲び、芥川龍之介賞と、直木三十五賞を創設した。
若い才能の芽を摘むことなく、たくさんの作品を発表してもらえるよう、賞金と記念品で励ました。
まずは、長生きだな。
と言っていたのに、ご本人は戦後間もなく59歳で、少々早く生涯を閉じた。
しかし、充分やり切った、いい人生だったと思う。

『寛(ひろし)と寛(かん)』
夏目漱石の弟子の末席に名を連ねた。弟子たちは皆、漱石のような小説家になることを夢見ていた。
弟子の中でも可愛がられていた芥川龍之介との友情、交流と、彼の自殺。

『貧乏神』
出版を手掛けては失敗して、そのたびに借金を膨らませる直木に「文藝春秋」を手伝わせる。
彼が穴埋めに載せたちょっとしたゴシップ風文章が「文春」の行方を決める。

『会社のカネ』
かつての上司のアドバイスで、「文藝春秋」を同人組織ではなく正式に会社とする。
原稿は文筆家に依頼し、会社には編集、販売、広告などを専門にする社員を置く。
信頼していた人間の裏切りにあう。

『ペン部隊』
満州事変から急激に軍国化が進む日本で。

『文藝春秋』
終戦。
今までの価値観の破壊と再生の時期。

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2023年10月02日

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ネタバレ

菊池寛を描いた物語。

文藝春秋創刊に至るまでの文士として、戦前・戦中・戦後の社長として、社長退任後の晩年までをしっかり描かれた良作でした。
石井桃子や向田邦子も出てくるので自分の世代とも地続きだと思いました。
朝ドラの「マー姉ちゃん」でフランキー堺が演じていたのを鮮明に思い出しましたが、長谷川町子はこの小説の中では出てこなかったなあ。

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2023年09月22日

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教科書に掲載されることはないだろうけど、
文学史に多大な影響を与えた菊池寛。

実際のところ、どんな人か知らないのに、
こんな人だったんだろうと思わせる人物の描き方、
さすがの一言。
一気に読めた。

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2023年05月10日

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さすが門井慶喜、主人公が立っています。
明治生まれで人気作を数多く書き上げつつも、新人作家の発表の場を作るべく出版会社も立ち上げた人物とは、初めて知りました。
夏目漱石、芥川龍之介、直木三十五、川端康成、小林秀雄など著名な作家、批評家が名を連ね、まるで人物交流記の様な内容でもあります。
軍の独走に反発しながらも時流に逆らえず、尻馬に乗った様な紙面を作り、その機運を煽ることにつながる活動に手を染めてしまう記述を読み、いかに戦時下の時流に逆らうことが難しいのか考えさせられました。
一緒に仕事をすることが楽しいからまた文藝春秋に戻って欲しいと言われる段は、主人公の人物像を良く表しています。
本当に特異な作家だったのだと思います。





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2023年05月05日

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文藝春秋さんのメルマガで応募して当たった本です。ありがとうございます。

実は菊池寛作品読んだことがありません。
文藝春秋社を立ち上げたことは史実として知っていましたが、今回はじめて物語として読んでいて、文学と戦争について考えさせられました。
菊池寛が戦争に本当は協力なんてしたくなかったのか、ほんまのことはわからへんなーとは思います。
でも、ペン部隊のこととかはドラマで見たことあって、勇んで出掛けた作家を批判的に見るか肯定的に見るかは難しいです。
ワタシは絶対に戦争反対の立場は崩してほしくないけど、あの戦争中にそういうことを言うことが出来なくなっていたことがほんまに恐いです。
菊池寛以外にたくさん作家のひとたちが出てきてたのも面白かった。
石井桃子さんに興味を持ちました。
でもこの作品のほんまの意図はわかりませんがワタシは戦争反対についてめっちゃ考えさせられました。

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2023年04月28日

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文藝春秋社の創始者にして、大人気作家・菊池寛。
その生涯を明治以降の作家や
文春に関わる人びとを網羅して描く
連作短編から成る。

菊池寛と言えば、
少し前、いやもう二十年くらい前か、
「真珠夫人」がドラマ化され、大流行したっけ。
いつの時代も受け入れられる、ストーリーテラー。
ご本人の人生だって、そうとう興味深いエピソードに
満ちあふれている。

近代文学史好きとしては、
「おお、ここにこの人が」とか、
「なるほど、この出来事を、こう使うのか」とか、
意外なところで意外な人物が現われたり、
よく知られたエピソードを別の視点からきりとってみたり・・・
そういう意味では飽きない。
おもしろい。

でも、この人の歴史小説は、なんというか、残らない。
心を揺さぶられないんだなぁ・・・
家康もヴォリーズも、なんかエピソードの羅列というか。


なので、いつも投げてしまう。
読み通さなくてもいいや、だってこの人(出来事)、
一応知っているからさ・・となるのだ。

最後まで読み通せたのは「宮沢賢治の父」と、他数点。
(ほら、記憶にすら残っていない・・・)

賢治の父の場合も、本作と同じ事、
わたしの知っている文学者や事項を、どんな視点で描くのかなと、
気になったから。

歴史の人や事柄をうまく構築して、一つの物語にする、
その力に長けた作家さん。
自分の興味と合えば、おもしろいのだろう。
なので、本作は★4つということで♫

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2023年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

門井さんの読みやすい文体で、菊池寛という人が破天荒に生きている感じで描かれていました。
こんな風に会社が出来上がってくるんだな~と、興味深く思いました。
ちょっと独りよがりでワンマン的な、ものすごいエネルギーのある人で、それが周りの人をも動かすチカラとなっているのかなとも感じました。

有名な作家さんの名前がたくさん出てきますが、歴史上の人物のように現実味がなかったのが、さらに歴史を感じました。

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2023年06月16日

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文藝春秋をつくった男、菊池寛。文豪であった彼が何故出版社をつくったのかが分かるのが本書。100年の記念の年に歴史小説として文豪小説としても上手い書き手の門井慶喜さんが紐解いていく。時系列とともに短編形式で進行していき、芥川賞、直木賞をつくった理由や戦争の中で揺れ動く心をつぶさに描いていく。魅力ある男として菊池が描かれているのが印象的。当時の文豪はかくもこうだったのかと思われるが豪快で直線的。周りを巻き込みながらグイグイ進む。まさに土台は人望かに思える。

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2023年05月19日

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文藝春秋を創刊し、文藝春秋社を興して社長となった文豪・菊池寛の伝記小説。
恥ずかしながら菊池寛の名前は知っていても作品を読んだことはないし、文藝春秋との絡みも知らなかった。芥川龍之介や直木三十五との交流、それが縁で芥川賞・直木賞を創設したこともぼんやりとしか知らなかった。なかなかに破天荒な人物だったようだが、ユーモラスに描かれていて好感がもてた。
気になったのは、「海外小説を原文で読んで要約を書く」「その要約をもとにして自分の小説のストーリーをこしらえた」という箇所。えっ、盗作ってこと?
また「もう六十一なんだから」という記述はなんだろう? 59歳で亡くなったはずだが?

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2023年05月01日

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文藝春秋発刊100周年で刊行されたと思われる。「忠直卿行状記」「恩讐の彼方に」「藤十郎の恋」あたりは今読んでも傑作で、本人が自分の冠賞を作るのは流石に厚顔だと思ったか、直木賞になっているがこれが菊池賞でも全然問題ない。
作家としても大家だが、企画力・編集力はそれの上をいくアイデアマン。経営は散々だが。菊池寛と文藝春秋の周辺小説だが、目新しい解釈はなく小説としては凡庸。ただ菊池を知らない人には伝記として読んでもいいかもしれない。

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2023年04月26日

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読み終わった後で、出版社見たら文藝春秋。なら、この内容仕方ないが、門井さんに些か失望。菊池寛の肉声“作者(火野葦平)が出征中であるなどは興業価値100%で、近来やや精彩を欠いていた芥川賞の単調を救い得て充分である”などとのたまい、火野さんに芥川賞。さらにペン部隊を組織して中国戦線に送り出し戦争礼賛。それが「戦争嫌いでありながら、その戦争を雑誌のためには積極的に利用した」現実主義者程度の認識で前向き評価。門井さんの軽妙なタッチ好きだけど、あまりにヨイショしすぎ!間違った人物像植え付けてしまう罪は大きい。

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2023年04月07日

購入済み

文豪の耐えられない軽さ

保身と忖度がこれほど作品に二重写しになってしまうのかと、直木賞作家の値打ちにまで疑問符がついてしまう。この作品で描かれる菊池寛はナイーブで消極的に戦争へと巻き込まれたのだと印象づけようと必死だが、かなり無理がある。むしろ菊池寛は堂々と戦時下の日本が勝ち馬だとギャンブルを張って敗れたのではないのか。朝日新聞も文藝春秋も、当時の姿勢を真正面から受け止め、作家も真摯にそこを逃げないで書かないと、同じことを繰り返しますよと、言いたくないことを言ってしまう。文豪があまりに軽いので、次の100年に耐えられるのかと勝手に心配してしまう。
ちなみに、菊池寛の文章はどれも面白く、短編小説のハズレは少ないし、話の屑籠などの随筆も読める。そんな中、例えば満鉄外史を上梓した心持ちはいかようだったのか、この小説でのキャラ設定では解決が導き出せない。史実を下敷きにした小説だとしても、作家と編集者は削った数々の挿話との整合性や均衡を考慮して、もう少し紙に印刷する重みを考えてくれないと、文豪が草葉の陰から苦笑してますよ。よくぞ、書いてくれたと先人に言ってもらえる作品の刊行を期待します。わかりやすければ良いという風潮が、このような文体になるのかと、それを歓迎する出版界と迎合する作家の共犯関係にダークな沼へ闇堕ちした商業主義を強く感じましたなぁ。奇しくも史実を下にした小説の面白さは、菊池寛そのものにこそ宿っています、読者にはぜひ菊池寛作品を読んでもらいたい。

#怖い #ドロドロ #ダーク

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2023年06月13日

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