【感想・ネタバレ】キーエンス 高付加価値経営の論理 顧客利益最大化のイノベーションのレビュー

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Posted by ブクログ

超高収入企業、キーエンスの秘密を書いた本。大学の先生が丁寧な取材で論理的に分かりやすく説明しています。例えば、キーエンスの製品を50万円で購入すると企業は100万円コストを削減できる。そういう製品を作るため、キーエンスは顧客よりも顧客のことをよく知り、顧客が想像もしていなかったレベルの製品を作り出す。考え方はシンプルだけど他の企業が出来ていないことを行っている。ビジネスをする人全てが読むべき本です。

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2024年03月23日

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『キーエンス。高付加価値経営の論理』

具体性☆☆☆☆☆
納得度☆☆☆☆☆
圧倒的☆☆☆☆☆

1)購読動機
キーエンスは、営業利益率50%、時価総額国内10位以内の高成長企業です。しかし、その経営の論理については、あまり知られていません。この本は、キーエンスを長年にわたり取材してきた著者が、キーエンス公認のもとで書いた数少ない書籍です。そのため、購読しました。

2)キーエンスの経営の基本
キーエンスの経営の目的は、付加価値(事業で稼ぐ利益)の最大化です。その方法は、顧客企業の利益につながる商品の開発・販売です。具体的には、顧客企業の売上を増やす、またはコストを削減する商品を提供します。顧客企業の利益が増えるということは、その利益が社会に還元されていくということです。

3)付加価値を最大化するための仕組みと考え方
①業績に対する考え方
キーエンスでは、組織やチームで業績を達成するという考え方があります。業績賞与があるので、会社が獲得した付加価値利益の一部が社員の給与に加算される仕組みです。そのため、社員は業績すなわち付加価値を獲得する動き方となります。

②営業に対する考え方
キーエンスの営業は、プロセスと結果の両方に注目します。過去の行動の蓄積(原因、結果)により、何をすれば結果につながるのか?が体系的に整理されています。具体的には、営業活動(いつ、どの企業の、どの部門に、どのような行動をするのか?)やデモのやり方(何を目的に実施するのか?どこに重きをおくのか?など)が明確になっています。

③時間チャージの考え方
時間チャージとは、会社が計画で稼ぐ付加価値総額を全社員の就業予定労働時間で控除した金額です。この割当てられた時間チャージ額を上回る動き方が、付加価値総額の達成に近づくという運営です。例えば、A社員の時間チャージが1万円、B社員が3万円の場合、二人が商談にいった場合は、1時間あたり4万円以上の利益が必要です。累計で50時間で受託した場合は、4*50=200万円以上の付加価値が必要です。

④資料作成時間の考え方
資料作成時間も時間チャージの一部です。そのため、資料作成にかかる時間も記述します。これは、それ以上の付加価値が見込める内容なのか?を客観的に判断するためです。

4)顧客に選ばれる理由
①機能的価値と意味的価値の訴求
顧客が商品を購入する場合、機能的価値(スペック。**が良いという領域)と意味的価値(使用・経験する価値、意義が大きいという領域)があります。キーエンスの商品が粗利益率80%で売れ続けている理由は、他社と比較して意味的価値を訴求できているからです。具体的には、その商品を入れることで、どのような利用用途で、どの程度の費用対効果が見込めるのか?を説明し、顧客に理解させています。

②商品ハンドブックの活用
意味的価値を訴求するためには、商品ハンドブックが重要です。商品ハンドブックには、商品の機能、導入方法、利用方法、費用対効果、事例などが記述されています。営業は、このハンドブックを利用して、顧客に明確に説明できます。これは、商談とは別にロールプレイを行っているからです。
なお、機能的価値は形式知であり、整理も判断もしやすいです。一方で意味的価値は、暗黙知になりやすいがゆえに重要度が高いです。そのため、この意味的価値も商品ハンドブックに記述しています。

5)すべての業務が「顧客起点」
キーエンスでは、すべての業務が「顧客起点」です。顧客にとって意味があるのか?すなわち、顧客の付加価値を増加させる内容なのか?という視点で行っています。商品、パンフレット、市場動向調査など、すべてにおいてこの視点が重心です。

①カタログ、事例の作成
キーエンスでは、カタログや事例は何度もやりなおします。顧客はどのような順番で、どのような内容を、どのような文言で説明されると、理解できるのか?顧客の利益増加につながるのか?という視点で作成します。カタログや事例は、商品の機能、導入方法、利用方法、費用対効果などを網羅しています。

②中期経営計画の不要性
キーエンスは、中期経営計画を策定しません。策定することが顧客企業の利益増加につながるとは限らないからです。市場は絶えず変化するので、計画に執着するよりも、顧客企業の付加価値増加に取り組むことが、最終的にキーエンスの付加価値増加につながると考えているからです。

③新商品の開発
キーエンスは、新商品の開発にも積極的です。テーマが10個ある場合は、実際の価値を徹底的に調査して、どの商品に取り組むかを決めます。その際にマスカスタイゼーション(1顧客ごとに対応しながら、その需要、用途が市場の多くに適用できるか?)ができるかを検討します。

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2024年02月09日

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・商品の機能価値だけでなく意味的価値を加えた総合的価値を高めることで付加価値が生まれる。機能価値は競合に模倣される。商品を導入することで創出される顧客価値=意味的価値の大きさが重要。創出される顧客価値を具体的に数値化して提案する。顧客が何を欲しているか、より、顧客が何をしたいかを重視=ソリューション営業。顕在化していないニーズの掘り起こし。

・結果もプロセスも大事。結果とプロセスの因果関係が明確になるまでWHYを繰り返す。なぜ高額商品が売れたのか。なぜそれが顧客にとって効果が高いのか。

・若手でも積極的に自分の意見を言える環境。意見を述べる機会が多いと新入社員は一生懸命考える癖がつく。事実や論理重視の議論は中継社員も常に勉強する。

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2023年09月29日

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キーエンス 高付加価値経営の論理 顧客利益最大化のイノベーション
著:延岡健太郎

キーエンスは、イノベーションにおいて、国内はもちろん、世界をも代表する生産財企業である。過去30年間の業績を平均しても、売上高営業利益率は40%を大きく超える。そのような製造企業は世界でも稀である。規模としても2022年時点で既に営業利益は4000億円を超えている。

驚異的な利益を出す企業として、自社の利益のみを追求すうr企業ではないのかと誤解されやすいが、実際は顧客企業の生産性向上を主体として経営改善に多大な貢献をして、結果として、生まれる大きな付加価値からは、潤沢な雇用や莫大な納税も含めて大きな社会貢献をしている。

本書の構成は以下の7章から成っている。
①高付加価値経営による社会貢献
②イノベーションの源泉
③生産財のイノベーション
④顧客価値イノベーションの組織
⑤顧客価値イノベーションを支えるソリューション部隊
⑥高付加価値の新商品企画・開発
⑦学ぶべき高付加価値経営

業界平均や常識では理解できない結果を出し続けている素晴らしい企業である「キーエンス」。

特記すべきは、「継続性」。
あっと驚くような利益を出す企業はある。しかし、それが継続できるかは別問題でもある。多くの要素の掛け合わせががちっとハマることで高い成果と継続性、高付加価値の提供が可能となる。

利益の源泉は顧客に高付加価値の提供を行うことで、顧客自身が潤うこと。その潤い、感動体験を買っている。材料費がいくらで人件費がいくらでといった値付けではなく、顧客が受けた価値を軸として価格が決まっている。喜びに対しての価格設定である。

いただいた利益をさらに自社で回し、社会に回し、顧客にも回す。中長期的な高付加価値の提供のサイクルが周り続けることでそのサイクル規模拡大し、キーエンスの規模の拡大につながっている。

他社では到底真似できない、暗黙知のマネジメントの塊であるものの、本書では、細分化し考察し、ひとつずつひも解いている。

わかっても真似できないことは多いものの、細分化されたその素晴らしい取り組みへの考えを知ることで自身の意識変革には大きな意味をなすことになる。

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2023年08月19日

Posted by ブクログ

この本を読んで感じたこと

・社員の自主性を伸ばしつつ、組織的に対応できる文化を持っている
・中小企業とも付き合い、幅広いニードを吸い上げ、そのノウハウを最速で共有する仕組みがある
・販売支援、営業、商品開発に分かれており、販売支援が営業からの事例吸い上げ、会社内へノウハウを広げている
・技術的価値+意味的価値→高単価販売 をやっている。意味的価値はソリューション提供であり、上記のノウハウを元に造られる

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2023年05月04日

Posted by ブクログ

粗利8割なんて信じられないような商品開発を実現している。徹底して顧客の作業内容を調べ、顧客の想像を超えた費用対効果を実現しているからこそできるのだと思う。読み物としては、内容がアカデミック寄りで、エンタメ要素は全くない。そんな会社でも常に進化するには、課題があったり発展途上な部分もあるわけで、全てを賞賛するよりも、そんな内容やこういう経営に至る途上過程ももう少し知りたかった。

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2023年08月09日

Posted by ブクログ

キーエンス研究のために読む。
著者がアカデミックの方なので、ややかっちりとした内容。
合わせて、具体的事例が多く、製造業系の知識がないとわかりづらい部分もあり読み飛ばした。

だいたい言ってることは他のキーエンス本と同じなので、必ずしもこの本じゃなくてもいいかも、、、
(論文ベースの出典とか知りたければこの限りじゃない

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2023年04月07日

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