【感想・ネタバレ】白装束集団を率いた女のレビュー

あらすじ

2003年4月末に突然あらわれた〝真っ白〟な集団。奇怪な装束と行動で話題をさらった千乃正法会/パナウェーブ研究所とは。彼らは何を信じ、何を求めていたのか。「教祖」である千乃裕子の生涯をたどり、その謎を解き明かす。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「パナウェーブはどう生まれたのか、どんな理由で活動していたのか」を外部の視点からしっかりと書き上げた読み応えのある本。
 教義の説明も、一般常識を持った読者にも配慮しつつ、バカにもしない形で説明してあると思う。
 教祖の女性が亡くなったことで距離を置いているけれども、教えを今も信じているという男性が出てくる。世間話をするといたって知的な会話もできる。
 私の父はパナウェーブとは別の某信仰宗教の一世信者だったが、まさにこの感じだ。ニュースや政治の解説はその歴史背景まで的確に知って答えられるので参考になる一方、メシア観とか魂の救済については一般とは全く別の信念を頑なに信じている。どうしてそうなるのか、とても不思議だ。
 だから、パナウェーブの人たちが女性教祖に振り回される様は、私も両親が自分のところの宗教の方針にいちいち振り回されているのを見てきたのでよくわかる。
 でも一方で、彼らの主張するスカラー波とか天使の事とかの教えはやっぱり滑稽に思える。だからこそ、自分がかつて生まれた別の宗教の滑稽さが、それにより相対化された。
 なんの宗教も持たない人がこれを読んで「中学受験を押してくる進学塾って、ありもしない未来の不安を煽ってくる宗教に似てるよね」みたいに現実社会を相対化できるようになればいいなと願ってるんだけど、だいたい「やっぱりカルトは変だし怖いよねー」でどうせ終わっちゃうんだろうなって、残念な気持ちになる。
 まあ中学受験の「救い」を信じてる人には信じさせとけばいいし、きっと描いたような結果にならなくても「でもあの受験のつらさがあったからこそ今がある」みたいに、信じたものを正しかったことにして行くしかないから、別にいいのか。

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2023年06月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者の調査量に圧倒され続けた本だった。千乃裕子さんの創造力、言語化する力、意志を貫く強い気持ち、自分にはない物をたくさん持っていて大きな組織をまとめる人はすごく力強いと思った。
正法の内容は理解できないことが多く、精神障害者の頭の中を覗いているような気持ちになった。本の最後あたり、宮野さんのように自分が情熱を向けたものを信じるようになる、という部分はとても納得感があり、宗教を信じる人の心理が理解できた。

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2025年01月25日

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