あらすじ
自らの戒めと内省こそが、共生への道となる。
名君と名高いローマ皇帝が、自己の内面と徹底的に向き合って思索を掘り下げ、野営のテントで蝋燭を頼りに書き留めたという異色の哲学書。困難に立ち向かう人を勇気づけ、対人関係に悩む人へのヒントに満ちた不朽の名著を、『嫌われる勇気』で知られる岸見氏がやさしく解説する。書下ろしとなるブックス特別章も収載!
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『自省録』
「ローマ皇帝の日記」から学ぶ、自己省察と成長の教訓
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【序章: 古代ローマの智慧】
約2000年前、ローマ帝国の16代皇帝マルクス・アウレリウスは、哲学者としての道を歩むことを望んでいましたが、運命は彼を皇帝の座に導きました。彼の日記「自省録」は、自己反省と内省のための彼の個人的な書き込みを集めたものです。
【第1章: 自己省察の重要性】
アウレリウスは、自分自身の心に集中することの重要性を説いています。他人の心や考えを完全に理解することは不可能であるため、自己の内面に目を向けるべきだと彼は主張します。
【第2章: 社会との共生】
人間は共同体の一員として存在し、互いに助け合うべきだとアウレリウスは述べています。怒りに任せるのではなく、教え、示すことが大切です。
【第3章: 評価と自己認識】
他者からの評価と自分自身の存在意義や役割は別物であるとアウレリウスは考えています。起こることはすべて正しい理由があって起こると彼は信じています。
【第4章: 人格の形成】
毎日を最後の日のように生きることが、人格を形成する上で重要だとアウレリウスは述べています。自分の義務に集中し、それを果たすことが彼の生き方でした。
【結章: 未来への展望】
アウレリウスの教えは、現代にも通じる普遍的な価値を持っています。私たちは、他者と共同体であるという解釈が、心を穏やかにし、安全、安心な世界のしるべとなります。
また、自分に起こる事象を受容し、過去でも未来でもなく、今生きることの大切さを認識する必要があります。
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<本書より>
・自分の心に集中をすること。他者の心・考えを読み切ることはできないから。
・人間は互いのために存在すること。共同体であること。
・怒らず、教え、示せ。
・他者からの評価と自身の存在意義・役割は別個のものである。
・起こることは正しく起こる。
・つらいと感じるは当然である。なぜならば、明日が今日よりもよくなる過程だから。
・人格。それは毎日を最後のようにすごすこと。
・私はわたしの義務を果たす。それだけに集中する。
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SNSで『自省録』が紹介されているのを見て読んでみたいと思ったが、その前に一度手助けとなるような本を読みたくて選んだ。
全く知識がない状態で読んだが、マルクス・アウレリウスがどのような人生を辿り、どういう状況で『自省録』を書いたのか、ざっくりと知ることができて良かった。
『自省録』を読むのがさらに楽しみになった。
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自省録の原本は難しくて読めなかったが、この本で考え方を知れた。自分がする判断によってその後の考えが変わることは当たり前のように思えるが、新しい視点ができた。ストア派の実践を大事にする思想についても面白いと感じた。
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この本は、マルクス・アウレリウスの『自省録』をもとに、「他者と共生するために自分は何を大切にすべきか」を問いかけながら書かれている。アドラーなど他の思想も取り入れつつ、わかりやすく解説されていて、読みながらすっと理解できた。 特に印象に残ったのは、第2章での「他者との共生」の話。具体的には
1. 他者と共生する理由
2. 無知から生まれる過ちへの向き合い方
3. 怒りから解放されることの重要性
の三つの視点でまとめられている。 とくに「怒りから解放されること」の話は理解できた。でも本書では「怒りは善ではないことを真に知ることで自由になれる」としているけど、正直、今みたいにポピュリズムが広がっている社会で、これを多くの人に理解してもらうのは難しい気がする。個人的には、草薙龍瞬の『反応しない練習』にある「怒りに反応しない」という考え方のほうが、しっくりきた。 全体として、この本は自分を振り返りながら他者との関係を考えるきっかけになる一冊だった。読んでいると、自分の心の持ち方や人との向き合い方を自然に考えさせられる。
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著者の岸見さんはベストセラー『嫌われる勇気』の著者でもあり、アドラー心理学に興味がある人には本書も面白く感じられるかもしれない。『嫌われる勇気』が説く「他者の期待に縛られず、自分の信じる道を生きる」という考え方と、ストア哲学には共通する部分が多い。
最も印象に残ったのは、「一日ごとに終わりは近い」という言葉。これは、自分が好きなTHA BLUE HERBのBOSS THE MC(ILL-BOSSTINO)が『Matchstick Spit』という楽曲で使っていたフレーズと重なる。「人生は一回 それも短い 一日ごとに終わりは近い だけどもっと学びたい 見てみたい 聞いてみたい 近づきたい」。この歌詞を思い出したとき、マルクス・アウレリウスの哲学とヒップホップが同じ地点にたどり着いていることに驚いた。どの時代に生きても、限られた時間をどう使うかが、人間にとっての本質的な問いなのだろう。
何かを後回しにするのではなく、「今」をどう生きるか。その意識を持つだけで、日々の選択が変わってくる。クソッタレな日々の中、忘れない様に常にこの曲を聴くたびに思い出せる。
「他人の魂の中に自分の幸福を預けるな」という考え方にも共感した。人の目を気にし、評価に振り回されることは誰にでもあるが、それに左右される生き方は虚しい。
自分の価値観を大切にし、納得のいく人生を歩むことこそが重要だと改めて感じた。これも私の好きな「赤木しげる」の名言
「いいじゃないか...三流で...! 熱い三流なら上等よ...!」
と通ずるものを感じて思い出した。
この本をきっかけに、ストア哲学をさらに深く知りたくなった。次は、セネカの『人生の短さについて』や、岩波文庫版の『自省録』にも直接触れてみたい。
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マルクス・アウレリウスの人生や彼を取り巻く状況を解説とともに自省録からの言葉が抜き出されている方式。彼の思想が後世の哲学者にどのような思想をもたらしたかまで言及されていて良かった。
ただし、自省録の訳出が少し難しいと感じる人もいるだろう。
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■評価
★★★★☆
■感想
◯嫌われる勇気の著者の岸見先生が、アドラー心理学の切り口から自省録を解説する本。
◯自省録は誰かに向けて書かれた本ではなく、野営のテントの中で自分を戒めるように書いたと考えると、ものすごく味わい深い本である。自分を奮い立たせようとして、文字に起こした姿が眼に浮かぶ。自己の内面と向き合って、強い言葉で戒めて、人としてあるべき自身と理想を示す姿は、2000年以上経っても読み継がれるものとして残っている理由がよくわかる。
◯救いを神に求めるのではなく、自らが理想とする哲学に求めた姿。これまで多くの人に勇気を与え2000年もの間、読み継がれてきた本。こんな本とも出会えるから、歴史や哲学書を知ることはよく生きることに本当に役立つ。
◯古典を読むことの重要性を感じさせられる一冊だった。長く残っているものにはそれなりの理由があるし、数々の人々を勇気づけたり、楽しませてくれたものだと思う。現在は古典がたくさん読める状態にあるので、これに触れないのは単純に損だと思った。
◯自省録は手に置いておきたい本だと感じた。
Posted by ブクログ
生や死を考える上でとても参考になる。マルクス・アウレリウスの自省録を読みたくなった。本書を読んでも、本書の意味すら十分に理解できていないが、アウレリウスの訳本を読めばまた違った理解ができるのではないか。以下の記載が心に残った。▼事物は魂に触れることなく、お前の外に静かにある。苦悩はお前の内なる判断からだけ生じる。▼災いはどこにあるのか。災いについてお前の思いなす部分があるところにだ。▼アウレリウスは怒りは抑えるもの、コントロールするものと考えているのではなく、怒りはためにならない(善ではない)ことを真に知れば、怒りから自由になると考えているのです。▼各人はつかの間のこの今だけを生きている。それ以外は既に生き終えてしまったか、不確かなものだ。▼人は「協力するために生まれてきた」。
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NHKの100分で名著シリーズは大好きでよく見てたので本も買ってみた。動画と解説本と原作を読むことでより一層古典が理解しやすくなるし、非常に良いコンテンツだと思う。
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自省録のガイドブック。岸見先生が執筆してることからも分かるように、アドラーとの共通点(権内・権外、共同体感覚)もあって、面白く読めた。善悪無記は、仏教にも通ずるのかなと思った、中には、その境遇からか堪え忍ぶような事を勧める記述もあって、その辺りはまだ今の自分にはしっくりこない感覚。
次は、実際の自省録を読んでみたい。
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失うことを恐れないように
私は宇宙という国家に属している。
世界市民 コスモポリタニズム
自分に起こり織り込まれたもの(運命)を愛し、歓迎すること。
運命と自由意志
災いは運命
再生は自由意志
他者、天災、社会を変えることは出来ない。
自分の認識を変える。
自分の内と対話する。哲学。
再生とは人間の尊厳である。
生死は、自然の流れに組み込まれている。
恐れる必要はない、美しい循環であるのだ。
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2世紀のローマ皇帝であり哲学者でもあったマルクス・アウレリウスの『自省録』を、『嫌われる勇気』の著者・岸見先生がアドラー心理学の視点から解説した一冊。
皇帝でありながら哲学を求め続けたアウレリウスの内省は、もともと誰かに読ませるためではなく、自らを律するために綴られたものでした。その言葉からは「幸福は自分の心のあり方次第である」という強いメッセージが伝わってきます。地位や肩書きが人の価値を決めるのではなく、また他者の言動が直接自分を傷つけるのではなく、苦悩は自分の内なる判断から生じるのだという指摘は深く心に残りました。
また、他者を「同胞」として見ることの大切さや、怒りや憎しみから自由になることの重要性も繰り返し語られています。人は無知ゆえに過ちを犯すのであり、それを理解すれば寛容さや共生の姿勢が生まれるのだと説く言葉には、現代社会に通じる力強さがあります。日々の忙しさや人間関係の悩みの中でも、アウレリウスの哲学は心の安らぎと指針を与えてくれると感じました。
Posted by ブクログ
自省録の要点をコンパクトに解説してくれていて初心者でも読みやすいです!原典を読む前の入り口としてとても役に立つと思います!すぐわかり本と侮るなかれ。短時間で古典の概要を掴むにはもってこいの本です。100分de名著全冊読めば、基礎的な教養は身につくんじゃないでしょうか。
Posted by ブクログ
自省録はアウレリウスが他人に向けて書いているのではなく自分のために書いているところがミソなんだと思う。そうでなければ、居酒屋での親父の説教みたいなもんだから身に染みることもなかっただろう。理想だけど実行困難、だから自省し書き続けて奮い立たせていたのだろう。