【感想・ネタバレ】死刑囚メグミのレビュー

あらすじ

覚醒剤密輸の罪により、マレーシアで死刑判決を受けた小河恵。何故、海外でこんな事態に陥ってしまったのか? 東北の小さな町に生まれ、東京に出て准看護婦をしていた恵は、借金返済のために夜はホステスをして稼ぐようになっていた。そんなとき、病院の同僚、鹿沼好江からある人物を紹介され、生活が一変する……。究極のバタフライエフェクト小説が登場!

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Posted by ブクログ

石井光太『死刑囚メグミ』光文社文庫。

いつものようなノンフィクションではなく、フィクション小説であるが、実際に起きた事件の取材に基づいた作品なのだろう。

異国で死刑判決を受けた小河恵の過酷な過去と運命。運命は自ら切り開くものと言うが、自らの力ではどうにも出来ないこともあるのだ。

純粋であるが故に人に騙され、利用され、捨てられた哀しい女性の物語。

彼女だけでなく、登場人物の誰もが不幸を背負っており、その不幸が互いに影響し合っていくのだ。バタフライエフェクト……ブラジルで蝶が羽ばたけば、テキサスで竜巻を引き起こす……

しかし、捨てる神がいれば、拾う神もいる。最後に希望を見せてくれた所で、このフィクション小説は成功したと言えよう。


3億円分もの覚醒剤をスーツケースに入れて密輸したとしてマレーシアのクアラルンプール空港で逮捕された32歳の小河恵に死刑判決が下される。

彼女はスーツケースに覚醒剤が入っていたことを知らず、スーツケースは見知らぬアラブ人から預けられたと主張するが受け入れられなかった。

ある日、東亜新聞バンコク支社の記者である東木幸介の元に五所川原時代の中学校の恩師から連絡が入る。マレーシアで逮捕された小河恵は幸介の同級生であるので、何とか力になって欲しいと言うのだ。

彼女は誰かに騙されたのか。それとも……

少しずつ明らかになる小河恵の過去。早くに父親を肺癌で亡くし、母娘で五所川原という田舎町で貧しくも慎ましい生活を送っていた恵が見舞われる不幸の連続。

親族の起こしたある事件が切っ掛けで不登校になる恵。

それでも、中学校卒業後に准看護学校を卒業し、東京で准看護婦となった恵は劇団を主催する男に騙され、借金まみれになる。

やむを得ずキャバクラでアルバイトをする恵にさらなる不幸が襲い掛かる。恵の数少ない指名客が店に借金を残したまま飛んだのだ。

借金の底なし沼に突き落とされた恵に同僚の鹿沼好江が近付き、とある会社の社長を紹介される。一時は華やかで夢のような生活を送る恵だったが、それは儚い夢のまた夢だった。

本体価格1,100円
★★★★★

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2023年03月18日

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