【感想・ネタバレ】第三の極地――エヴェレスト、その夢と死と謎のレビュー

あらすじ

──今も昔も人々の熱狂の渦のなかに聳え立つ、それがエヴェレストだ。

《ページを捲る手が止まらない、山岳ノンフィクションの新たな傑作》

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「そこにそれがあるから」
1924年6月、マロリーとアーヴィンは世界一の頂を目指し、二度と戻らなかった。
百年来の謎を解き明かすため、ベテランクライマーはかの地へ向かう。
そこで目にしたのは、この山に魅せられた人々の、それぞれの人生の物語だった。

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南極、北極に次ぐ「第三の極地」、ヒマラヤ山脈。
そこに鎮座する世界一の頂、エヴェレストに渦巻く熱狂と混乱、そして百年前の謎。

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【目次】
■プロローグ
■第一部 熱狂への道
・第一章………死者に囲まれて
・第二章………モスクワ・ルール
・第三章………上流社会
・第四章………製品テスト界のはみだし者
・第五章………忌まわしき異端
■第二部 山に登る
・第六章………雪の住処へ
・第七章………奇跡のハイウェー
・第八章………ファニの襲来
・第九章………エヴェレストの急変
■第三部 すべてを越えて
・第十章………カムの闘い
・第十一章……イギリスの空気
・第十二章……遥かなる頂
・第十三章……極限での捜索
・第十四章……帰郷

■謝辞
■訳者あとがき
■資料に関する註
■索引
■著者によるペーパーバック版のためのあとがき

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ボリュームが多くかなり読み応えがありました。これがフィクションではないのですからすごい話ですね。 
アーヴィンは間違いなく中国に保管されていると思います!

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2023年07月22日

Posted by ブクログ

エベレストの最大の謎に望む、クライマー達の軌跡が書かれており、事実が解明されていく過程が魅惑だった。山の好きな方には是非お勧めしたいノンフィクションです!

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2023年07月16日

Posted by ブクログ

著者は、登山家でロッククライマー。1924年にエベレスト初登頂を目指したイギリスの登山家マロリーとアーヴィンの足跡をたどりながら、アーヴィンの遺品を探索するためにエベレストを目指したノンフィクション。 自身のエベレスト体験と過去の挑戦者たちの歴史、登頂した人、還らなかった人たちの話、エベレストの登山環境、現代の登山など様々な事例を紹介しながら、著者自身の体験、エベレスト登山について考察しており大変面白く読めた。
以前、エベレスト登頂を目指した栗城さんを追ったノンフィクションを読んだが、この本を読むと準備を怠らない経験豊富な登山家であっても、不運に見舞われることもあるし、観光ツアーで登る人、名声を求めてチャレンジする素人登山者たちが事故で命を落とすことも多い。 現在でも頂上付近には、放置された200体以上の遺体があるらしい。 エベレストは人間にとって南極や北極同様に極限の環境であり、登頂には天候などの幸運に恵まれる必要がある。著者の登山の本来の目的は遺品探しだったが、運よく登頂することができた。エベレストを知る一人である。酸素ボンベを使って登頂した彼の過酷な経験を読むと、栗城さんの無酸素単独登頂という目標が、いかに無謀だったのかがよくわかる。おそらく何十回チャレンジしても結果は同じだったと思う。著者はマロリーの時代、1920年代の登山と自分の経験を重ね合わせているが、自分は栗城さんの登山と照らし合わせながら読んだ。過酷なエベレスト登山の世界を知りたい人には、この本は第一級のノンフィクションであり、必読書と言っても良いと思う。

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2023年06月09日

Posted by ブクログ

長距離移動を伴う泊まりがけの仕事が入ったので旅のお供にと購入。いつものことだけど亜紀書房の海外ノンフィクションはハズレがない。
本書は登山家である著者が「1924年にエヴェレスト山頂付近で消息を絶ったひとりの若きイギリス人登山家の遺体を捜索する」というナショジオのドキュメンタリー制作(2019年)に参加したときの顛末をつぶさに記したもの。
膨大な資料をもとに、1924年のイギリス登山隊の苦戦の様子と、2019年の自らの旅程や現代のエヴェレストを取り巻くさまざまな事情・問題を自由自在に行き来して描く巧みな構成に舌を巻く。
そして真に迫る筆致でぐいぐい読ませる。タフな一冊。

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2023年03月31日

Posted by ブクログ

 表紙写真の近景は、著者である。では遠景はというと、エベレスト頂上だ。しかし異様である。晴れているとはいえ、世界最高峰のエヴェレストに、行列ができている。実はこれ、大変な問題となっている。

 ごみが増える、とかそんな問題ではない。エヴェレストが、さして登山経験&技術のない登山者にも、ツアーとして魅力的な素材となったため、混雑が起きている。経験の少ない登山者は足がすくんで動かない。思わぬ高地での体の反応によって、思うように体が動かない。こうした人たちが行列の中に一人でもいると、さして広くもない登山道が混雑し、そのために多くの死が起こっている。簡単に登れるといっても、やはり山の天気は変わりやすい。天気予報は100%ではない。安心しすぎは禁物なのである。

 夢枕獏小説『神々の山嶺』では、登山家ジョージ・マロリーの同行者であるアンドリュー・アーヴィンが持っていたカメラが見つかっていた。しかし実際は、マロリーの遺体だけが1999年に発見され、アーヴィンの遺体と彼が持っていたカメラは未だ見つかっていない。

 なぜカメラの行方がこれほど関心を持たれているかといえば、そのカメラに、もしかしたらマロリー登頂の瞬間が撮影されているのでは?と思われたからだ。もしそうであれば、エベレスト北壁の登頂の歴史は書き換わる。但し、ぽつぽつと発見された遺品の場所や、マロリーの遺体の状況からみて、登頂はされていないというのが大方の意見である。

 とはいえ、マロリーのおひざ元であるイギリスとしては、北極と南極到達の栄誉を他国に奪われ、第三の極地到達を狙っていたのだから、そう簡単には諦められない。遺体発見まで何度も遠征隊が差し向けられた。巻末に最新情報が載っているが、どうやらカメラに収められていたフィルムをダメにしたため、遺体もろともどこかに某国が隠したのではないか?説が浮上している。某国の隠蔽体質を考えると、いかにもありそうだ。

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2025年11月26日

Posted by ブクログ

1924年、人類初のエヴェレスト登頂を目指すイギリス遠征隊のジョージ・マロリーとアンドリュー・アーヴィンの2人は、登頂中に行方不明となる。問題は、2人の死は山頂到達前なのか、後なのか。それが明らかにならない限り、人類初のエヴェレスト山頂到達者は確定しない。

そして、1999年にマロリーの遺体が発見。が、彼が山頂に到達したかは、未だ不明。それなら、もう一人のアーヴィンの遺体と彼が持っているはずのカメラを探し出すべき。そんな登山界の期待を受けて、結成されたのが、2019年アーヴィン捜索隊。

本書はアーヴィン捜索隊に参加した著者による捜索ドキュメンタリーであり、それと並行して、エヴェレスト登頂史も描かれる。

残念ながら、アーヴィン捜索隊は目的を果たすことができなかったが、それもまた登山史の一つ。こうした積み重ねで人類は未開の地を征服してきたのだ。

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2023年10月18日

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