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Posted by ブクログ
著者の本は10年ほど前に『ボクは坊さん』を読んでいる。
その本は、あまりに軽い内容に、刺さらなかった印象がある。その著者と気づいていれば読んでなかったかも。近所の旅の書店の店主のススメで(「愛媛に行くにあたって、四国巡礼に関するおススメは何か?」と訊いた)、読んでみたもの。
前著は2010年頃の本。それから十数年を経て、著者も成長したか。本書は、比較的、ひっかかることなくすんなり読めた。ま、紀行文は、誰が書いてもそれなりに面白いもの。
前著同様、弘法大師の言葉を時に引用し、現生での行い、心情に照らし、教えを理解し、感じていこうというもの。今を生きることの苦しみや焦りといったものが、歩くという単調な行為のみならず、大師の教えとともに昇華されている感がある。
一般のお遍路ガイドブックのほうが、おそらく最短距離で目的には達するだろうが ― モデルコース、名刹の縁起、旅館情報 etc.の情報のこと ― 今回の読書の目的は、遍路に出かけるための準備ではなかったので、本書くらい、ゆるっと体感的に語られたものが、マッチした。
2019年4月から、2020年12月までの期間、8回に分けて行脚した記録。折しも、コロナ禍が世界的に蔓延していく時期に重なってはいるが、そのことに関して、仏教的な視点での考察が少なかったのは(ないわけではない)、残念な気がする、というか惜しい。
まぁ、お手軽さが著者の持ち味か。