【感想・ネタバレ】マイ遍路―札所住職が歩いた四国八十八ヶ所―(新潮新書)のレビュー

あらすじ

四国にある八十八の霊場を巡礼するお遍路。本書は、そのひとつ第五十七番札所・栄福寺の住職が、六十八日をかけてじっくりと歩いた記録である。四万十川や石鎚山など美しくも厳しい大自然、深奥幽玄なる寺院、弘法大師の見た風景、巡礼者を温かく迎える人々……。それらは人生観を大きく揺さぶる経験として、多くの人々を魅了する。装備やルートまで、お坊さんが身をもって案内する、日本が誇る文化遺産「四国遍路」の世界。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 著者の本は10年ほど前に『ボクは坊さん』を読んでいる。
 その本は、あまりに軽い内容に、刺さらなかった印象がある。その著者と気づいていれば読んでなかったかも。近所の旅の書店の店主のススメで(「愛媛に行くにあたって、四国巡礼に関するおススメは何か?」と訊いた)、読んでみたもの。

 前著は2010年頃の本。それから十数年を経て、著者も成長したか。本書は、比較的、ひっかかることなくすんなり読めた。ま、紀行文は、誰が書いてもそれなりに面白いもの。

 前著同様、弘法大師の言葉を時に引用し、現生での行い、心情に照らし、教えを理解し、感じていこうというもの。今を生きることの苦しみや焦りといったものが、歩くという単調な行為のみならず、大師の教えとともに昇華されている感がある。

 一般のお遍路ガイドブックのほうが、おそらく最短距離で目的には達するだろうが ― モデルコース、名刹の縁起、旅館情報 etc.の情報のこと ― 今回の読書の目的は、遍路に出かけるための準備ではなかったので、本書くらい、ゆるっと体感的に語られたものが、マッチした。

 2019年4月から、2020年12月までの期間、8回に分けて行脚した記録。折しも、コロナ禍が世界的に蔓延していく時期に重なってはいるが、そのことに関して、仏教的な視点での考察が少なかったのは(ないわけではない)、残念な気がする、というか惜しい。
 まぁ、お手軽さが著者の持ち味か。

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2024年05月02日

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