あらすじ
大正末期、貧しい農家に生まれた少女・絵子は、農作業の合間に本を読むのが生きがいだったが、女学校に進むことは到底叶わず、家を追い出されて女工として働いていた。ある日、市内に初めて開業した百貨店「えびす屋」に足を踏み入れ、ひょんなことから支配人と出会う。えびす屋では付属の劇場のため「少女歌劇団」の団員を募集していて、絵子は「お話係」として雇ってもらうことになった。ひときわ輝くキヨという娘役と仲良くなるが、実は、彼女は男の子であることを隠していて――。福井市にかつて実在した百貨店の「少女歌劇部」に着想を得て、一途に生きる少女の自我の目覚めと、戦争に傾く時代を描く長編小説。
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Posted by ブクログ
文庫本で320ページです、1200ページくらい必要ではと思うほど詰まっています。絵子の脚本も1本きりではなく、南総里見八犬伝みたいな好きな小説を元にしたものを書けたに違いありません。朝子もまい子ももっとやりたいことができたに違いありません。つらい話ばかりではなく、笑える話も出てきたでしょう。
女性が主な登場人物ですが、男性の登場人物では桜井興産社長の桜井三郎とえびす屋支配人の鍋川新吉が目立っていました。桜井はわかりやすいクズ野郎で鍋川は一言でいうと変態でこの2人のエピソードももっと読みたかったです。
なぜ戦争が起こってしまうのかわからないですが、どの国民も考えの違いがあるとはいえこころの何処かで早く終われと思っていたのがよくわかりました。
Posted by ブクログ
今よりもっと女の生き方が制限されていた時代。それに上手くハマれない人の話。
最後まで重くて、いつまでも上向かない…最後の最後にちょっと希望が持てたのかな?分からないけど、そうだといいな
Posted by ブクログ
本特集の雑誌で、この本を知り、購入しました。
まるで朝ドラのような物語でした。1人の少女の半生が描かれています。
戦前の、どこかほの暗く、明るい未来もなく、苦しい中にもどうにか生きていく…そんな印象を受けました。
少しだけ、桜木紫乃さんの描く小説に近い作品だと感じました。
Posted by ブクログ
☆3.4
絵子は女として以前に、まず人間として生きづらそう。
そんな絵子が見る女たちの生活はやはり苦しさがあって、彼女たちへの思いもきっと自ら言語化できるようなものじゃなかった。
それでも振り絞って書いたものを積み重ねていく未来を見たいと思った。
読んでいて苦しくなる気持ちがあったとしても、読むのをやめられない、やめてはいけないと手を動かす何かを感じた作品でした。
Posted by ブクログ
女性の人権がまだまだ確立しない
時代に生きた絵子を中心とした女性達の
時代に翻弄されながらも
迷い、悩み、自立して行こうとする
姿が時に痛ましく心が揺さぶられる。
若き絵子が目にしたえびす屋は、煌めきと
希望が詰まった宝箱であったのだろう。
そこに現れたた少女歌劇団のキヨ。
出会いはまた、絵子を夢の扉の先を
具現化し脚本を描くミューズになった。
また戦争が始まり絵子の青春も幻の様に
消えて行く。
何となくキヨ兄弟の出自や移民の話は
何故だか中途半端で、この物語には
不要な感じがした。
絵子の行動が全て中途半端で、最後も
夢か幻か?何とも言えないモヤつとした
最後だった。