あらすじ
世界の面白い街の経済を地理と歴史で読み解く!
経済の現実から、日本の未来のヒントを探す旅。世界90カ国を踏破した「行動するエコノミスト」である著者がライフワークとする「世界ぶっつけ本番の旅行記」。行ってみて初めて分かる現実とは、テレビやネットに載らない世界経済の意外な姿だった。
・低賃金のイメージが強いアイルランドは、実はイギリスの1.5倍も豊かである!・カリーニングラードなど第二次大戦後からロシアが占拠する軍事拠点があるため、北方領土の返還交渉は望みなし?!・軍隊を持たないパナマが独立を維持できる理由とはなにか?・空気の薄いラパスでは、富裕層ほど空気の濃い低い土地に住む?!土地の魅力あふれる「街」の成り立ち(歴史)と条件(地理)、そして日本との比較を通して、世界経済の今と未来を読み解く!
※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください
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Posted by ブクログ
アゼルバイジャンやケーニヒスベルクといった歴史の交差点のような場所に訪れる。
狙っている土地も面白いのだけどそれ以上に単なる感想ではなくて観察を抽象化し、他所との共通項や、重ならない点の考察になっているところが面白い。個人的にいわゆる観光地よりも歴史的に人物の行き交う場所という所に興味があるのでいつか追体験してみたいものだ。
地政学と言うと戦争の話になりがちなところに違和感を持っていたがその違和感の理由を解き明かしてくれた。
Posted by ブクログ
「航空機の乗り継ぎ時間を利用して、成田山だけを弾丸観光し日本を理解するような覚悟」という、筆者の全力な姿勢が好きです。行先も日本人が普通観光で訪れないような、非常にマイナーで複雑な歴史を持つ地域ばかりであり、旅行超上級者ならではのチョイスです。高校の世界史の授業で何となく地名は知っているけれど、実際にどのような都市なのか一切イメージできないところが紹介されています。有名どころばかりを歩いて世界を知って満足する人生は勿体無いです。コロナ禍で満足して旅に行けない時期だからこそ、改めて地理歴史を学んで知的好奇心を高め、コロナ後に自分流の旅で世界観を広めることができるよう、準備しておきたいと思いました。
Posted by ブクログ
著者が毎日新聞インターネット版に連載している「藻谷浩介の世界『来た・見た・考えた』」の中から選んだ記事をまとめた本の第一弾。
本書で登場するのはカリーニングラード(ロシア飛び地)、イギリス(特にアイルランドと北アイルランド)、旧ソ連コーカサス3カ国(アゼルバイジャン、ジョージア、アルメニア)、スリランカとミャンマー、パナマとボリビア、台湾・韓国・中国の高速鉄道比較など。
地理を高校で選択していたら「興味が沸くけれども、自分が行くとなるとハードル高いなぁ」、という国々がズラリ。興味深い記述を抜粋します。
「ロシアにとってカリーニングラードと比較して重要性のかなり低い北方領土で日本に譲歩してしまうと、ドイツやポーランドとの複雑な利害関係の絡むカリーニングラードの返還問題に飛び火する恐れが出てくるから、ロシアがカリーニングラードより先に北方領土の返還に応じるはずがない」、
「スリランカに多額の貸し付けをして経済的に抑えようとする中国の外交を批難する見方があるが、隣国インドからの脅威から自国を守るために中国の存在を利用するやり方は、日本が中国からの脅威から自国を守るためにアメリカに基地を提供している構図と同じ」、「台湾が高速鉄道建設の際に日本の新幹線技術を導入し、韓国がフランスの新幹線技術を導入したのは日本に対する感情論によるものではなく、台湾の鉄道が狭軌であったため、標準軌の高速鉄道が相互乗り入れしない日本の新幹線技術との親和性が高く、すべて標準機の鉄道網だった韓国では相互乗り入れ方式のフランスの技術との親和性が高かったから」などなど、です。
藻谷氏のインタビュー記事も掲載されており、その中で最も腑に落ちたのは「地理は未来に続く歴史の現時点での断面であり、歴史はその時代時代の地理が積み重なっているという点で、”地理は歴史の微分、歴史は地理の積分”と考えられる」、「暗記勉強ばかりしてきた日本の知識人に不足しているのは、類推を通じて情報に横串をさすことだ。過去の出来事からその構造を理解すれば、未来の出来事も予測できる」という部分でした。
地図帳を片手に読んでいると、「なるほど!」と思える部分が次々と出てきます。地理好きな人、是非読んでみてください。
Posted by ブクログ
「二時間だけ入国して成田山新勝寺に立ち寄った外国人が、それだけの経験から日本を語る」というような覚悟と気合
人は知識だけで頭でっかちになりがち。
それを強く理解させてくれる旅行ノンフィクション。
旅は「地理」と「歴史」の味わい方で、大きく跳ねる。
というよりも、地理と歴史を感じれなければ、薄い時間と経験だけに。
人類の歴史そのものが、国境を複雑怪奇にしている。
歴史の闇が、いまだに各地で残りまくっている。
人が見ただけで解ったフリをするのが理解できた気がする。
ちゃんと国境を知れば知るほど、解決出来ない問題が心に入って来るからだ。
旅をする時に用意や準備をしていく。
だけど。
行きたいとこ・知りたいことを、ただなぞるだけの旅だけの、何と多いコトか。
行き当たりばったりがイイとは言わないけど、感動や思い出に残る旅の時間にするヒントが、たくさん隠されていて、面白かった!
「世界は行かなきゃわからない」
Posted by ブクログ
日本が地政学的に恵まれていることがわかった。
島国だし資源に乏しいし人口が無駄に多いから攻められづらい。
=単一民族国家を長年保てた。
=多民族/多宗教であることが引き起こす種々の問題に惑わされづらい。
=ひたすら「合理」を追求できる環境
Posted by ブクログ
人間が、どんな場所で、どのように生きているのかということを、実際にその場所へ行って肌で感じることで、今自分たちが生きている場所の「来し方行く末」を展望することができる。この本は、そんな視点や考え方を持つことの大切さを教えてくれる。
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【ぶらりと観察】時に一風変わった歩き方で世界各地を巡りに巡った著者が,訪れたいくつかの国・地域に関してまとめた旅行記。本作においては,コーカサス地方やカリーニングラード等,あまり多くの邦人が訪れない国・地域を取り上げています。著者は,大ヒットを記録した『デフレの正体』等で知られる藻谷浩介。
さらりと読めると同時にじっくりと考える上でのヒントを提供してくれる作品。著者が地域再生等の問題に興味を置いていることもあり,日本と比較すると一風変わった地域の問題をさらに一風変わった眺め方で切り取っているように感じました。
〜常に双方からの目,さらには第三者の目を持たなければ,物事の全体像は見えない。そしてそのためには,国外に出ていろんなことに気づき,現地の視点から日本と世界を眺め直してみることが必要だ。〜
ネットで連載もされているようです☆5つ
Posted by ブクログ
実際に訪問したからこそ分かる世界各地域の特徴を述べている本。徒歩が好き、乗り物が好き、街に行ってみるのが好き、など観光地ではなく各地の日常生活を知ることが著者の旅の目的であるようで、非常に共感できる。昨今の世界情勢をふまえた考察も大変興味深い。続編も大いに期待したい。
Posted by ブクログ
日本の地方問題の論客は世界の辺境の国の首都を飛び回る旅客でもありました。『「成田空港で国際線から国際線に乗り換えた際に、二時間だけ入国して成田山新勝寺に立ち寄った外国人が、それだけの経験から日本を語る」というような覚悟と気合で、足と頭をフル回転して、本を味読するように町を読み取っているのです。』という、観光でもビジネスでもない体感旅。本書に登場するのは、うっすら国名、首都名知っていたとしてもどこにあるか?どんな国か?まったく知らなかった未知の国々、都市たちです。カリーニングラードなんて、すいません、全然知りませんでした。でも、カリーニングラードを知らずしてロシアとの北方領土交渉、語るなかれ、とか、なるほど!です。そうなんです。まったくイメージのない国の実情が日本のこれからに繋がっていることにびっくりと納得の連続です。最近、鳥の目で世界を見たり歴史を語ったりする読書が続いていますが、今回は虫の目で見る気分になりました。当然、複眼の世界観。いやー、世界は広く多様で、そして自分の中での日本の居場所もかなり相対化されました。
Posted by ブクログ
著者の藻谷浩介(1964年~)は、日本政策投資銀行勤務を経て、日本総合研究所調査部主席研究員を務める、地域エコノミスト。2010年発表の『デフレの正体』は2011年新書大賞第2位となり、販売部数は50万部を超え、また、2013年のNHK広島取材班との共著『里山資本主義』もベストセラーとなっている。
本書は、著者がこれまでに訪れた世界90ヶ国での見聞・考察を、2017年4月から毎日新聞社のインターネットサイト「経済プレミア」に週刊連載している、「藻谷浩介の世界『来た・見た・考えた』」を書籍化したもの。
取り上げられた国・地域は、ロシアのカリーニングラード、アイルランドと英国(北アイルランド、ウェールズ、スコットランド、イングランド)、コーカサス3国(アゼルバイジャン、ジョージア、アルメニア)、スリランカとミャンマー、台湾と韓国と中国(の高速鉄道)、アンカレジ、パナマ、ラパスと、実にマイナーな場所であるが、それは著者の旅が「自分の目で見た「二十一世紀地政学」を書く」という明確な意図を持ったものであることによる。
そして、そのアプローチの方法は、「観光都市よりも先に首都、博物館や史跡よりも駅や広場や商店街」、「何を見るべきかなどの予習はせずに、歩いて行く方向を直感で決め、歩きながら見たままを感じる」というものであり、それにより「ガイドブック通りに名所を巡るよりも、より多くのことに気付」くという。
私は著者と同年代の会社員で、これまで公私併せて40ほどの国を訪れる機会があったが、もちろん美しい自然や歴史的な建造物を見る楽しみはあるものの、一方で、歳を重ねるごとに、著者が「多くの人は聞いたこともないような国の話も書いてきました。ですがどの国も、日本と同じく二十一世紀に存在する人間社会です」という、“世界各地の人間社会”がどのように存在し、そこで人々はどのような生活を送り、更に、それを我々はどのように捉え、考えるべきなのか、に強く関心を抱くようになっており、「まずは現地をみて考え、現地に身を置いて議論しないことには始まらない」という著者のポリシーには強く共感を覚える。
旅行者向けの観光ガイドとも、物書きの紀行エッセイとも、ジャーナリストのルポルタージュとも異なるアプローチで、今知るべき世界の一部を垣間見ることのできる面白い一冊と思う。ぜひ続編も出版して欲しい。
(2018年3月了)
Posted by ブクログ
教養と経験を自由自在に結びつけた知的好奇心をくすぐる素晴らしい旅行記。
知識が本当の意味で自分の地肉になっていないと、ここまで縦横無尽な文章を書くことは不可能だと思う。
また、なんていうか考え方が柔軟で凝り固まっていない感じがする。押し付けられていない感じがする。
Posted by ブクログ
なかなか鋭い視点で、目からうろこ、実際に見ての洞察力に敬服。ただ、写真がカラーを白黒にしたための調整がなく、みな夕暮れ夜景の写真になっていて、惜しい。
Posted by ブクログ
「まちあるきの達人」による旅行記だ。バルト海沿いのロシアの飛び地、イギリス、コーカサス三国、南米、インド周辺…、観光でもない従来の覇権主義的な地政学的観点でもないこの作者さんさんならではの見方で観察した世界とは?読み応えあり!
Posted by ブクログ
ベルファスト 20世紀初頭 タイタニック造船
造船や航空機産業の拠点
暗記勉強ばかりしていた日本の知識人に不足しているのは、知識というテキスト情報ではなく、類推を通じて情報の縱橫に串を指し、全体の構造を把握する訓練です
歴史は繰り返すと言うのは、まったく同じことが繰り返されるということではなく、同じ構造がくり返し再現されるということです。過去の出来事から構造を理解すれば、未来の出来事も予測できるわけです
文化は辺境に残ると言われる
台湾新幹線 2時間弱 5500 ビジネス 8100
新幹線なら10,000 15,000
NY-DC 3時間以上かかって二等でも3万
日本人が、日本の優れた新幹線システムと力めば利組むほど外国人は買わないだろう。言えば言うほど、あのマメでクソ真面目な日本人でしか運用できないシステムと聞こえてしまう、というのである。その点中国で広汎に定時運行しているシステムと聞けば、自分たちにも使えるかもしれないという印象を与えやすい
商売は客の側から考えなくてもは、売れるものも売れなくなることは自覚しておいていいだろう
日本人は人口集積は産業集積の結果だと、思い違いをし、仕事があるからと称して高いに集まりたがる。そうではなくて21世紀の地球では、人口集積は個人の消費の結果としても形成されるものなのだ
ヘロドトスがいったとおり、地理と歴史は表裏一体なのだ
パナマ運河の競争相手 米国に4本、カナダに1本ある大陸横断鉄道
地政学 歴史に照らし、ある地理条件の場所ではどういう人間活動のパターンが繰り返さえる傾向にあるかを発見する学問です
アナロジー類推を用いて、表層的な事象に縦横に駆使を指し、背後にある構造を把握するのです
歴史は繰り返すというのは、まったく同じことが繰り返されるということではなく、同じ構造がくり返し再現されるということです。過去の出来事から類推し、地政学的な構造を理解することで、今起きていることがより本質的に理解できますし、未来の出来事も予測できます
日本の地政学的位置 良くも悪くも(多くの場合には圧倒的に良い意味で)他の世界から放置されやすい場所です
核の傘論ろは、米国が原爆を落とした現在を正当化するために無理に作っている議論、現実主義的な考え方の対局にあるイデオロギーだと言う面が多分にあります。
戦争が得でなくなった今の時代に戦争をするのは、経済的にな損得で行動しない人たち 3種類 1 宗教的熱狂で動く人 2 多民族混沌の場所において、自民族以外の暴力的な追い出しを目指す民族主義者 3 自己の権力の維持強化のために経済的な損も辞さずに紛争を仕掛ける権力者
ちなみに日本はその中国(+香港)から3兆円の経常収支黒字を稼いだ勝者の上にたつ勝者
Posted by ブクログ
面白いコンセプトだと思う。短い滞在期間でその国を論じるという割り切り方がすごい。しかも、馴染みの国ばかりで、興味深くもある。一方で、それだけ短い滞在期間であるならば、実際にはいかなくても本書を書けたのではないかという気がしないでもない。読み手の好みが大きく分かれる本だと思う。
Posted by ブクログ
ただ旅をするだけじゃもったいない、その土地の空気を感じ、歴史を調べ歩くことで何倍にも濃厚な時間になると実感。もう一度世界史を学び直しながらまた読みたいかも。
Posted by ブクログ
旅行が「趣味」を超絶している著者。ほんの短時間立ち寄った印象で、街角が照射する国際情勢や地域経済を独断をまじえて解説する。著者によれば、地政学とは、ある地理的条件の下でどういう人間行動のパターンがあるのか、共通点を通して社会や経済の構造を把握するもの。今は軍事よりも、経済力や技術力、文化力、人口圧力、宗教などのソフトパワーが重要な地政学の要素になっている。これらを行使するのは企業や資産家、芸術家、個人。ハードパワーには無縁でも、ソフトパワーの中核である資金力を持つ小国が存在感を放つケースもある。例えばドバイ、シンガポール、ルクセンブルク、スイスなど。土地が重要な意味を持ったのは農業社会において。現在は土地よりも資本や技術、人材が重要。中国の21世紀型覇権主義の本質は、経済力というソフトパワーの行使にある。その主戦場は東南アジアや南アジア、中南部アフリカ。日本はどうたち振る舞うのか。強みは何か。
Posted by ブクログ
地政学と聞くと何だか固そうに聞こえますが、ほぼ旅行記に筆者の歴史や地政学的な補足が入った内容です。旅行記として読むのであれば、あまり日本人になじみのない国を訪れたりしているので面白いですが、地政学として読むとやや物足りないかもしれません。