【感想・ネタバレ】東大8年生 自分時間の歩き方のレビュー

あらすじ

鳥取の田舎から東京大学に進学した著者は、都会生活にも人生にも戸惑うなか、恩師との運命的な出会いをきっかけに、世の中の価値観に順応せず「自分の時間を生きる」ことを決意。
自分の感覚に素直に生きた結果、東大に8年間在籍することになるが、メキシコでのタコス屋見習い、地元・鳥取での「寺子屋」づくり、ブラジルの名門サッカークラブの広報、ネイマール選手の通訳など、想像もしていなかった経験を重ねていく。
現在は4カ国語を使いこなし、おもにプロサッカー選手に語学や異文化コミュニケーションを教えながら、浦和で自由に楽しく子育て中心の生活を送っている。そんな一風変わった生き方を歩んできた著者が、「自分時間の歩き方」を実体験とともに伝える痛快エッセイ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

一般人には無いスケールの大きさというか、いきあたりばったりというか。ライターさんが書いていないから、その隙間を埋め切れていないところはあるけれど(何があったのか?どうしてそうなのか?)。端正でないからこそエネルギーの漲りが感じられる。
 こういう本に出会えると、毎日が同じ事の繰り返しだなと思っても、それが自分かとすがすがしく再確認できる。
 それにしても、小松美彦さんは、こういう方だったのかと知ることができたことも喜ばしいことだった。

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2023年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

単純にエッセイとして面白かった。

頭はいいのに、東大8年生っていうポンコツぶりだったり、駄目っぷりを先生に馬鹿正直に相談してみたり、メキシコに国費留学生として行けたのに途中で留学生待遇をキャンセルして帰国・再度タコス屋になるために渡墨するとか。YouTubeで若き日のサントス所属のネイマールに魅了され、「勢い」でブラジルに渡り、すぐにではないけどその後の生業につなげていくとか。

何かアホだな~と。マジかよ、と。

そういう筆者の素直さみたいなものが、文字から伝わってくるような気がしました。

だからこそ、あたかも物語の主人公を応援する可能ような気持ちで、読中、素のままで生きる筆者を応援していた気がします。

・・・
ただ、やはりこういう生き方、つまり「自分時間の歩き方」は、一部の意志の強い方、あるいは地方のけがれなき世界でないと難しいのかも、と思いました(すみません、地方に結構幻想を持っていると思います)。

或いは、家族という責任を負っていない身軽な方か。

先ず頭に思い浮かぶ障害といえば、中学受験な気がします。私も中高一貫校に行き、大学進学したので気持ちは分からなくはないのですが、良い(中)学校・良い大学・良い会社からの安定した生活、という世間軸に縛られた方向に固定されてしまうのは今一つ健全でない気がします。

というか、「いい学校」からの「いい会社」っていう流れはレッド・オーシャンな気がします。

むしろ、実際の社会人生活では学生時代の勉強は(相応に役に立つけど)やはり実践的ではなく、面白いやつ・人たらし・お金稼ぎが上手なやつ、とかこういうスキルをうまく使うことで成功してゆく気がします。もちろんそれだけではないけど。

社会で生き抜くスキルは学校では教わらないし、その上自分で考えるスキルもエスカレーター的な人生では学ぶ機会は多くない気がします。私がイマイチな(というかダメな)出世具合だったからかもしれませんが、エスカレーター式の育て方はちょっと危険な気がしてきています。

親となった今では、このレール上を歩ませることで相応の安定を子どもたちに供給できるということは理解できます。でも、私見で言えば、言わば「自分軸」を子どもたちに自ら育てる余地はこの方向にはあまりないと思います。令和は違うかもしれないけど。

・・・
そうそう、忘れないうちに書いておかないと。

一つ、筆者の成功というか、ここまで上手く人生の波を乗りこなせた要因の一つに、人のやさしさに恵まれた、というのがあると思います。

それがメキシコの知人だったり、彼女さんだったり、地元の知り合いだったり、親だったり。

で、東京生まれ・東京育ちの私としては、東京(あるいは「都市圏」と言い換えても良いかもしれません)ではそういう人のやさしさは希薄な気がします。「自分時間」を刻むには、周囲との摩擦や冷たい目に耐えねばなりませんが、都会ではなかなか難しい気がします。

逆に、都会を離れ、辺境へ。辺境まで行かずとも地方、外国、などに赴くと、人のやさしさは逆に増えてくる気がします。

アジアの方と結婚し、アジアの辺境に住む今、そのようなことをつらつらと考えてしまいます。もちろん住む場所や仕事を、服を着替えるようにして変えることはできないのですが、どうも近年、都市・中心というものについてはややネガティブな気持ちを抱いているかもしれません。

・・・
ということでタカサカモト氏の非常に面白いエッセイでした。本書の魅力を私が十分にお伝えできてない旨、お詫びしたいくらいです(まあ単なる備忘ですから)。

帯には遠藤航選手、原口元気選手の推薦がある通り、現在筆者はプロサッカー選手へのコンサルティングみたいな仕事をされている様子ですが、筆者がサッカー関連の仕事についたことは、ある意味「なりゆき」みたいな気がします。

彼の10代20代の呻吟と手探りこそが本作のもっとも素敵で読むべきパートかなあと思います。

うちの子どもたちにもちょっと読ませてみたくなりました。とはいえ私大で留年(8年生まで!?)されるときついですが笑

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2025年11月15日

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