あらすじ
『櫂』『陽暉楼』に『天璋院篤姫』。逆境を生き抜く女性を描き、一世を風靡した国民的作家・宮尾登美子。実父との軋轢、二人の母
への想い、壮絶な満洲の記憶に、借金に苦しんだ下積み時代。作品世界に惚れ込み、先輩作家としても慕い続けた著者が、その波瀾万
丈な生涯を新たな視点で辿る。〈解説〉綿矢りさ
【目次】
前書き
第一章 誕生会
第二章 ある噂
第三章 富田屋の跡
第四章 南国
第五章 同級生
第六章 学歴
第七章 『櫂』の世界
第八章 農家の嫁
第九章 二人の母
第十章 兄と妹
第十一章 満洲の少年
第十二章 『朱夏』の村
第十三章 テレビ出演
第十四章 借金二人三脚
第十五章 事 業
第十六章 家 出
第十七章 再婚
第十八章 太宰治賞受賞
第十九章 直木賞
第二十章 映画化
第二十一章 女流作家たち
第二十二章 きのね
第二十三章 最後の小説
第二十四章 帰郷
最終章 続・仁淀川
解説 「綴る女」を綴る女 綿矢りさ
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Posted by ブクログ
林真理子さんが、宮尾登美子さんのファンだったことは知っていましたが、プライベートでも親しくしていたとは驚きでした。
宮尾さんの生前に、評伝を書くことの了解も得ていたそうです。
しかし尊敬する先輩作家であっても、単なる提灯評伝に終わらないところが、林真理子さんのすごいところです。
緻密な取材と調査を続けて、宮尾さんの謎に迫って行くところは圧巻でした。
私も宮尾さんは大好きでしたが、ある時期からパタリとつまらなくなって、その失速の原因を知りたいと思っていました。
この評伝では、もっともっと大きなスケールで、宮尾さんに迫っていましたが、私なりの答えを見つけることができました。
さらに林さんの文学論や、出版、エンターテインメント業界に対する洞察も読めて、満足度300%の本でした。
後期作品に対するシビアな評価もありましたが、それでも全く嫌な気持ちにならないのは、林さんの宮尾作品と著者に対する敬愛が貫かれているからだと思います。
何度も繰り返し読みたくなる本です。