【感想・ネタバレ】成瀬は天下を取りにいくのレビュー

滋賀県大津に住む中学2年生の成瀬あかりは、一言でいうと少し変わった女の子だ。
あるときは「シャボン玉を極める」と言って天才シャボン玉少女として地方ローカル番組に出演したり、またあるときは「2百歳まで生きる」と至極真面目な顔で言い切り卒業文集に将来の夢として書いたりする。
とにかく自由奔放でマイペース、他人の目線を気にするといったこととは無縁の女の子なのだ。
そんな成瀬と幼馴染である島崎みゆきは、ある日彼女にとある頼み事をされる。
市民に愛されたデパート・西武大津店が8月31日をもって閉店するのだが、地方ローカル番組「ぐるりんワイド」では、8月は毎日西武大津店から生中継をするらしい。
成瀬は「そこに毎日映るから、テレビをチェックしてほしい」というのだった…。

この小説はなんといっても物語に入り込みやすい!
主人公は私たちが生きる現代の日本に一緒に生きていて、私たちと同じようにコロナ禍で退屈な思いをしたり、近所の慣れ親しんだ商業施設が潰れて悲しんだりする。
そんなありふれた日常の中において、成瀬が起こす突拍子もない言動は、どこかかっこよくて憧れを抱かざるをえない。
「こんな行動に意味があるんだろうか」とか「これをやってみたいけど成功する根拠もない」とか、ネガティブな考えが吹き飛ぶ1冊。
きっとあなたも成瀬が好きになって、彼女の一挙一動から目が離せなくなるはず!
個性的な1冊を探しているあなたに絶対に読んで欲しい、オススメ作品です。

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Posted by ブクログ

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成瀬はなんでもおもいついたら、やってみないと気がすまない女の子。地元大津の西武デパートが閉店になるとしるや、毎日中継されるテレビ番組に写りに行く。それに巻き込まれる幼なじみの島崎。その島崎と、ゼゼカラというコンビを組んでM-1グランプリ予選に出場したり、高校入学と同時に丸坊主にして3年間でどれだけ伸びるか実験したり、200歳まで生きると宣言したり、ハチャメチャな生き方そのものだけど、何にでも一生懸命である。勉強も部活もピカイチで、朝起きるルーティンもAIみたい。そんな成瀬も島崎が引っ越しするときくや、いつもの自分が乱れていく人間味もみせる。スピンオフ的な階段は走らないなどもあり全体的に面白かった。

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2024年05月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好きなフレーズと感じたことを

・「暗くて寒かったら、今頃もっと寂しいから」
暗い、寒い⇔明るい、温かい
逆のような、明るくてあったかければ、それが寂しくないというわけではないが、暗いことと寒いことはどこか寂しさを助長する

・「スマホでTwitterを開くと」
こうやって読むとスムーズに読めるけど、これからの文学には「Xを開くと」になるのか、それとも「X(旧Twitter)を開くと」になるのか、「呟くアプリのX」とか、何か冠するようになるのか

・「スマホを持っていない」
「行けたら行く」に通じる断り文句のように思われてるが、それが一般に言われるようになりすぎていて、本当にその意で使う人が肩身の狭い思いというか、嫌なように見えてしまうような気もする

・「思いのほか短く説明できてしまい、成瀬の抱える気持ちとは釣り合わないように感じた」
語彙の無力感というか、理由だけじゃない、表現方法で補填ができるわけでもないというか、無常感

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2024年05月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

たくさん種を蒔けば、いつかどれかの芽が出るかもしれない。

脇目を振らず何事にも突っ込んでいける成瀬。
こんなに強くありたかったし、こんな青春憧れすぎた。時間の大切さって本当に過ぎ去ってから感じるのに、大事に積み上げてる成瀬すごい。
読んだあとになんだかスッキリとする青春小説で、とっても良かった。けど、個人的にはこの本は自分が学生のときに読んでたほうが面白い!ってなった気もする。

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2024年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

職場で薦められて。
拍子抜けしたけどそれがいい、というのがまとめ感想。

最初はもっと大きな展開があって登場人物が派手な立ち回りをするのかと思ってたがそういうのもないし、
章ごとに視点も年代も変わるし、全部がつながって大きな展開があるのかと思ったがそれもない。

なんで読み終わるまでにそう感じちゃったのかというと、アオリで「かつてなく最高の主人公、現る!」とか言ってたり、イラスト表紙だったり(コミカライズもされて動きが多くなってるけど小説はもっと抑えられている) があるのかなと思うが、実際のところは淡々とした日常が成瀬の個性で彩りが加わる、ぐらい。

というのが嫌だったというわけではなくて、個人的にはこれぐらいの温度感がとても現実に寄り添っているし想像の余地を残すから心地よかった。ただ売り方がちょっと中身と違うのでは、、まあこうやって派手にしないと売れないから、、とか思ってたのだけど、中高生に人気らしいというのを見てそこにリーチするならこの売り方になるよなと納得した。

まああとは滋賀県民には刺さるんだろうな、、職場の人も滋賀県民だし、、推薦コメントで三浦しをんさんが「青春は琵琶湖の形をしている」って意味不明なコメントをしてるけどこれもきっと滋賀県民なら同意するんだろうな(たぶん違


というわけで思てたんと違かったけどとても読後感のすっきりとしたすがすがしい作品でした。

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2024年05月27日

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