【感想・ネタバレ】「諜報の神様」と呼ばれた男 情報士官・小野寺信の流儀のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年05月11日

連合国がおそれた、インテリジェント・オフィサー 小野寺信を描いたドキュメンタリーです。

すさまじかった。読後、まず、思い浮かんできたのは、漢の軍師、張良でした。

まさに情報こそが国家の生死を決する大事であることが、伝わってきます。
教科書では無味乾燥に、無関係に並ぶ、戦争や事件が裏で巧妙につなが...続きを読むっていることが感じられました。
遠く離れた北欧・東欧の国々について、感謝の念が沸き上がるとともに、戦後日本が国土を保ちえた幸運を感じました。

気になったことは以下です。

■インテリジェント・オフィサーの条件
・人種、国籍、年齢、宗教を超えた、あらゆる人たちとの誠実な人間関係
・祖国を失った人たちを友人としてサポートしたこと
・卓抜した言語力、ドイツ語、ロシア語
・オシント 情報分析の天才
・守秘義務を守ろうとした小野寺氏は本物のインテリジェント・オフィサーとして尊敬を集めた

■ソ連の脅威に対する周辺国の友情 ポーランド、そして、エストニア、フィンランド、ハンガリー、ドイツ
・満州でみたものは近代化したソ連軍であった。ソ連侮れず、ソ連とどう対峙するのかが、彼の脳裏へ組み込まれていく。
・フィン族はアジアの血が含まれていること、ソ連の脅威下にあることが日本に共感を生む
・地下に潜ったポーランド情報将校を救った小野寺の男気が、欧州へのインテリジェント網へとつながっていく
・オシント:米核兵器の開発を予測、小野寺の先見が、東欧にインテリジェンスへ伝達されてる

■中国蒋介石と、ナチスドイツ、スターリンのソ連の脅威
・同盟国をもかく乱するナチスドイツの情報戦
・バルバロッサ、ナチスドイツのソ連侵攻を読む、対中国戦を終了させて、早期にソ連に向き合う工作は頓挫、中国での小野寺機関は解散へ
・蒋介石から小野寺へ送られた自筆の「和平信義」のカフスボタン

■小野寺をつないだ、ポーラントとの数奇な運命
・日露戦争の明石機関がロシア革命の背後に
・ポーランド孤児の救出をポーランドはわすれていなかった。
・「偉大なるサムライ」へ、連合国側となったポーランドから、敵味方を越えて、枢軸国である日本へインテリジェンスの親密な協力が

■杉原千畝は部下
・リトアニアのカウナスは、独ソ最前線の情報基地
・ポーランド将校を逃がすためのルートが、命のビザへ、6000人を超すユダヤ難民が日本経由でアメリカへ
・背後には、東欧にめぐらされた小野寺機関の支援があった

■日本の命運を決めたヤルタ会談
・日本の運命がきめられたのは、45年5月の2週間のわずかな時期であった。
・ポーランドの長年の厚意によってもたらされた、貴重な情報「ドイツ降伏後3カ月後にソ連参戦の報」は、大本営中枢部に伝わっていないかった
・だが、北海道を守ることができた。

■バックチャネル、スウェーデン王室の配慮
・スウェーデン国王の日本皇室への配慮、勝っているときにすでに和平工作の示唆が
・大戦中、中立国のスウェーデンは日本の情報活動を黙認してくれていた。
・和平には陛下を動かす以外に道はない。小野寺は、独自にスウェーデン王室ルートへ接近。
・小野寺の意をくんで、スウェーデン国王からアメリカ大統領トルーマンへ降伏、「国体護持」を伝えて頂いていた
・さらに、英国王室へも和平調停のきらいがあった

目次

文庫版まえがき 現代日本のインテリジェンス強化のために
序章 インテリジェンスの極意を探る
第1章 枢軸国と連合国の秘められた友情
第2章 インテリジェンス・マスターの誕生
第3章 リガ、上海、二都物語
第4章 大輪が開花したストックホルム時代
第5章 ドイツ、ハンガリーと枢軸諜報機関
第6章 知らぜざる日本とポーランド秘密諜報協力
第7章 オシントでも大きな成果
第8章 バックチャネルとしての和平工作
あとがき
主要な参考文献

ISBN:9784569902975
出版社:PHP研究所
判型:文庫
ページ数:432ページ
定価:1000円(本体)
発行年月日:2023年02月
発売日:2023年02月15日第1版第1刷

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