あらすじ
武力だけでは権力を維持できなかった。正統性なき政権の、支配の正当性とは何か。
700年におよぶ”武士の政権”について、私たちはどれほど本当に知っているだろうか。「清和源氏でなければ征夷大将軍になれなかった」「”鎌倉幕府”は後世の学術用語で、当時は使われていなかった」などの数々の誤解を正すところから始め、古典から最前線までの学説も総括。「京都を食糧で満たす」ことが正当性の根拠となった古代の「都市王権」から、「法の支配」も意識された鎌倉・室町期を経て、「伝統としての権力」が強調される江戸時代までをたどりながら、支配の正当性がその折々にどうアップデートされてきたのかを、歴史学・政治学・社会学・哲学の垣根を越えて描き出す。日本史を見る眼が一変する、かつてないスケールの歴史書!
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Posted by ブクログ
鎌倉幕府の成立が1192年から1180年代のどこかに変更になったことに興味があった。
なんと、将軍の存在が幕府に必須条件でないからだと記載があり驚きとともになるほどでもあった。
書籍として後半の主張は少しわかりにくかったが、このような見方を示されたことに今後の考え方に役立つと思った。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 平家政権と「いくつもの幕府」
第2章 鎌倉幕府、正しくは東関幕府~正統性なき北条氏の正当性
第3章 足利将軍家の時代~二つの変動期と正当性の変容
第4章 織豊政権~近世の始動と中世の終焉
第5章 江戸幕府は完成形なのか~生存の近世化
<内容>
「幕府」について、副題のように「正当性」を問いながら、学説の流れをまとめていったもの。むろん、自説の主張のために打破していくだが、その筆致の圧力がすごい。言い方を変えると口が悪い。コテコテの関西人だと思う書き方だ。その論理は筋が通っている。基本、中世の泰斗、佐藤進一説推しである。