【感想・ネタバレ】たとえばこんな言葉でものレビュー

あらすじ

河合実友は高校3年生。父親が単身赴任でいないため一人暮らしをしているが隣人・桐沢旭と恋人同士になった今では、お互いの家を行き来する毎日。一回り以上も年上で多忙な桐沢を気遣い、言いたいことを我慢してしまう実友に桐沢は甘えるよう言い聞かせる。好きになればなるほど怖くてなにも言えなくなる――そう思い甘えられない実友は……!?

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

 河合実友は高校3年生。父親が北海道に単身赴任でないため一人暮らしをしているが、隣人・桐沢旭と恋人同士になった今では、お互いの家を行き来する毎日が続いていた。
 旭と恋人同士になり、精神的な支えができたことで実友は徐々に疎遠だった父親との仲にも変化が訪れようとしていて、最近、再婚相手ができ、北海道に定住を考えるようになった父親が実友に「北海道に来ないか」と言い出し始める。
 実友は、一瞬、恋人である桐沢に相談しようと思い立つが、一回り以上も年上で多忙な桐沢を気遣い、また、「こんなことも自分で決められない」と思われてしまうのが怖くて、結局相談できずにいた。
 そうやって言いたいことを我慢してしまう実友に気が付いている桐沢は、実友に対して甘えるよう言い聞かせるが、実友は、好きになればなるほど嫌われたり、幻滅されるのが怖くてなにも言えなくなってしまう。
 そんな実友に対して、時間は止まってはくれなくて、ようやく改善の方向へと向かっている父親との関係も壊したくなくて、本当のことを言うこともできないまま、学校では進路を決めろ、とせっつかれ、桐沢は忙しいようで、なかなか捕まえられなくて……
 桐沢と実友の仲は微妙にすれ違い始める。

 個人的に、実友の気持ちがとってもよくわかる話だったと思います。
「甘えろ」って言われたって、今まで甘えたことなんかなかったから、どうやって甘えたらいいのかなんてわからないし、どこまで甘えていいかもわからない。
 おまけに、相手が年上だったりするものだから、甘えてばっかりになってしまうのは嫌で、でも、対等になるのも難しいから、せめて自分のことで迷惑をかけないようにしないといけない……と、思ってしまうのも自然な事、だと思います。
 それから、今まで放っておいたくせに、急に実友に対して「北海道にこい」なんて言う父親を「勝手だ」と断罪してしまうのは簡単な事だけど、それをしなかったこの作者さんは偉いと思う。
 確かに、冷静に見れば「勝手」なんだけど、そんなこと言われても自分の「父親」であることには変わりがないわけだから、悪く言われるのは嫌だし、自分をよく見せたいと思うのは普通のことなんだと思います。
 その辺りをうまく書いてあるこの小説はいい話だと思います。

 最後はちゃんと実友が自分の気持ちを伝えてハッピーエンドでした。
 全部にいい顔なんてできないわけだから、何かを自分で選ばなきゃいけない。時には、わがままだって言わないといけないんだよね。

0
2011年10月16日

「BL小説」ランキング