あらすじ
遺品博物館は、その名のとおり遺品を収蔵する博物館です。古今東西、さまざまな遺品を蒐集しております。選定基準については諸事情によりお話しできません。ただ、その方の人生において重要な物語に関わるものを選ぶことになっております……生前に約束した遺品の寄贈を受けるため、契約者の遺族の元を訪れる遺品博物館の学芸員、吉田・T・吉夫。この男が収蔵品として選ぶのは、死者自身の人生のみならず、遺された人々の人生にとっても重要な意味を持つ品々だった。彼が遺品と引き換えにもたらすのは、救済か、破局か――。熟練の技巧がえぐり出す、死者と生者を繋ぐ八つの謎物語。/【目次】川の様子を見に行く/ふたりの秘密のために/燃やしても過去は消えない/不器用なダンスを踊ろう/何かを集めずにはいられない/空に金魚を泳がせる/時を戻す魔法/大切なものは人それぞれ/解説=三島政幸
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
過度な期待をせずに読みました。故人の生涯のストーリーともなる遺品を集める遺品博物館。その収集を行っている謎の吉田T吉夫という人物。どのストーリーも、大きな事件が起こるわけではなく、1人の亡くなった人と、その人に関わっていた人がいるだけで、ストーリー自体はなんてことはないもの。しかし、遺品の収集を通じて明らかにされる隠された事実が意外なもので、そこがこの本の面白いところです。中でも『不器用なダンスを踊ろう』は、良かったです。地味ではありますが、秀作だと思います。
Posted by ブクログ
遺品を集めた遺品博物館。その学芸員の吉田・T・吉夫。
彼の訪れは隠された秘密や謎を暴いていく。
ホラーっチックな展開ですが、ミステリとしても楽しく読めました。
Posted by ブクログ
著名人・一般人を問わず、亡くなった方の遺品を所蔵する遺品博物館
収蔵するのは1点だけ、選定は学芸員が行い、選定基準は非公開、1つだけ言えるのはその人の人生において重要な物語にまつわるモノ
この選定と受け取りに現れる学芸員「吉田・T・吉夫」は、30代にも50代にも見える特徴のあるようなないような不思議な人だ
吉田・T・吉夫が淡々と遺品選定のために調査した内容から、故人と残された人と遺品にまつわる悲喜こもごもを紐解いていく
連作短編集になっていて読みやすい
学芸員の名前と博物館そのもののエピソードがあると良いな