あらすじ
近代化する社会の中で、消えゆく「山怪」たちを追う!
現代の遠野物語として話題になった「山怪」シリーズ、新章が始まる。
北は北海道から南は宮崎県まで。
山に生きる人々が遭遇した奇妙で不思議な、ときに恐ろしい体験とは。
■内容
はじめに 消えゆく山怪を追う
I妖しの森
(高尾山)蛸杉仙人/呼ばれる人/白い着物の女
(奥多摩)小さなキツネが住みつく家/闇女
(秩父丹波山系)白い犬と不思議な人/守られる人/大蛇と火の玉
(西上州)大漁に気をつけろ/恐ろしいヤマカガシ/楽しい遠足/二度と行かない/電報配達人/妙義山中之嶽神社
(奥利根)白目を剥く女/彷徨えるテント/何故そんな所にいるの?
(越後・魚沼)蛇が飛ぶ跳ぶ/奇妙な人?たち/異獣/あなたはどなた/肖像画
(信州・戸隠)テントの中と外/時空のゆがみ
Ⅱ静寂の山
(北海道・松前半島)羆撃ちの経験/松前半島の狐狸/行者と石版/熊穴ホテル/変わらぬ叫び声
(白神山地・目屋)罠と黒蛇/マタギvs狸/西目屋村/神様の地/足のある魚
(白神山地・藤里町)謎の電話/田んぼの中、雪の中/下りか?登りか?/山奥の出来事/頭を蹴飛ばすタマシイ/ゴミソと川流れ
(南蔵王・七ヶ宿町)狐と蜻蛉爺/小さなおじさん/錫杖の音と裏山の騒ぎ/友の帰還
(奥会津)マタギの体験/会津の狐
(飯豊連峰)飯豊連峰に潜むモノ/何でも大きい?/山の現場
Ⅲ背中合わせの異界
(飛騨・東白川村)不幸のツチノコ?
(但馬・豊岡)笑う鹿/演歌おばさん
(中国山地)棺桶と火の玉/神様と呪いの木/悪いモノ
(土佐)優しい狸/山師の体験/川にエンコ、山にはへんど/山の呼び声
(九州中央高地)騒ぐ水/人魂が飛び交う村/カリボコの森/悪意無き悪戯/きゃあぼう吹き
(山怪拾遺)山怪は何でも狐のせい?/狼を探す男/何者?
おわりに コロナと山怪・取材困難に陥る
■著者について
田中 康弘(たなか・やすひろ)
1959年、長崎県佐世保市生まれ。
礼文島から西表島までの日本全国を放浪取材するフリーランスカメラマン。
農林水産業の現 場、特にマタギ等の狩猟に関する取材多数。
著作に、『シカ・イノシシ利用大全』(農文協)、『ニッポンの肉食 マタギから食肉処理施設まで』(筑摩書房)、『山怪 山人が語る不思議な話』シリーズ『鍛冶屋炎の仕事』『完本 マタギ 矛盾なき労働と食文化』(山と溪谷社)などがある。
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Posted by ブクログ
コロナ禍での取材や出版は大変だったと思います。
語り部が減っている中でこれだけの話を集めて本にまとめるのはすごいなと感じました。
山で何かに悪戯される話が、地域によって狐だったり河童だったりカリコボーズだったりするのが面白い。
Posted by ブクログ
山怪シリーズ第四作。
コロナ禍を前後した取材を経て出版された労作とのことです。地方…特に山間地を巡るのは大変だっただろうと思います。県外の実家に帰省するのすら年単位で憚られたので…。
現代で実在の方々からうかがう山の不思議な話。
人魂や狐狸の話を中心に、説明のつかない体験が語られています。
次回作で完結とのこと。寂しい気持ちです。
Posted by ブクログ
山の不思議な話集。
柳田國男の『遠野物語』と似ているが、話の採集が最近らしく使われる言葉も現代だし、メールやGPSなんかも登場するのが面白い。
その不思議な現象がなんなのかはわからないまま話が終わったり、「そうそう、こんなこともあった」と連想される話が付け加えられたりするところがすっきりせず、ちょっと怖い独特の後味になっている。
Posted by ブクログ
シリーズ第4弾。
あからさまな幽霊譚はほとんどなくなり、狐狸に化かされる類やほんのりと不思議感が漂うエピソード等が大部分という印象。
スーツ姿の男や普段着の女性、あるいは年端もいかない子供といった、闇に包まれた山奥に到底いるはずがない存在を見てしまうという体験談は、似たような話を幾度読んでも、やはり怖い。
通い慣れた山中でなぜか迷ってしまう、という怪異も然り。
個人的には、こういった話は読むだけにして、決して経験はしたくないものだ…と強く思う。
Posted by ブクログ
ページデザインがいつもと違うなと思ったら、
マタギの話じゃなくて日本の山地に住まう人の話だった。
面白いのは全国で同じような話が聞かれる事。
インターネットもスマホもない時代にどうやって伝播していったんだろう。
Posted by ブクログ
この本と出逢ったきっかけはYouTubeの「オカルトエンタメ大学」というチャンネルで著者の田中さんが山怪話をしていた回をたまたま見たからでした。
個人的にオカルト話は半信半疑であり、どのような方が話しているのかで判断します。失礼ながら“いかにも”な感じの人が語る話は話半分で聞くのですが、田中さんはスマートな見た目で話も上手く、ついついYouTubeに惹き込まれてしまいました。惹き込まれてしまったからには本も読もうと手に取った次第です。
本はいろんな話が書いてあり、それぞれがとても簡潔に書いてあります。引っ張る前置きも溜めもなく聞いた話を淡々とという感じです。なのでそれが少し物足りなく感じたのですが、それは話を盛って欲しいというわけではなくYouTubeの話し方と文章を比較すると圧倒的にYouTubeの話の方が面白く感じたからだと思います。
また、話が簡潔だからこそページを埋める文字の数が少ないのも読書をしている物足りなさに繋がりました。もう少し書面を埋めてほしかったなと思います。
とはいえYouTubeとこの本で田舎の土地巡りをしたくなりました。春になったら計画立てて見ようかなと思っています。記載されているエピソードが日本の何処の話なのか日本地図を一枚載せて頂けると有難かったなと勝手な要望も出てしまう1冊でした。
Posted by ブクログ
実話なので何気ない話が多い。特におちもない話が淡々と続く。
最後の後書きを読んで、この本がコロナ禍を乗り越えて世に出たと知る。それが一番感慨深かったかな。
Posted by ブクログ
山にまつわる不思議な話。
よく知る山なのに、気が付いたら知らない場所を歩いている。
ひとりしかいない場所で、突然誰かに話しかけられる。
ありえないものの影を見る。
そうやって語る人たちは人里に帰ってこられたから語ることができる。
逆に、山から戻れなくなった人もいる。
人里とは一線を画す山は、人の領域ではない。
そのことを頭の片隅に、山を楽しみたい。
Posted by ブクログ
幽霊なの?っていうお話もありましたが、ほぼ狐狸達のお話で、なんか怖かったり迷惑を被ったりされてはいるけど、そこに住んでいる人達が羨ましく思ってしまう私は疲れているのかもしれない、という感想です。
Posted by ブクログ
「遠野物語」の昔から
人々は 不思議な物語のそばで
暮らしている
私の親しいアフリカに産まれ、育ち、
すっかり日本の暮らしになじんだ知人に
「遠野物語」の中の話、
「山の怪」の話をすると
当たり前のように
かの国の暮らしの中にある
この世ならぬモノたちの話を
語ってくれる
豊かな暮らしとは
不思議な話が
すぐそばにある 暮らし
を 言うのだと思う