あらすじ
どれほど科学技術が発達しようと治らない病気はある。だからこそ人間は病気に強い関心を抱き、さまざまな意味づけを行ってきた。民俗医療や治療儀礼、宗教・民間信仰・シャーマニズムは、どのように病気とかかわってきたのか。本書では「病マケ」と呼ばれる家筋への差別構造、奄美のユタによる治療実態、明治期のコレラが引き起こした社会的混乱など、豊富で多様な民族誌的事例も踏まえつつ、文化と社会における病気に焦点をあて、総合的な文化人類学理論を構築しようとする。「医療人類学」を切り拓いてきた著者による先駆的名著。
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Posted by ブクログ
病気を理解する上での切り口は、西洋医学のメスによるものだけはない。我々現代の日本人は、病気を単なる「機械の故障」のように扱いがちだが、文化人類学的な切り口から見れば、もっと多くの意味をもつものだった。
本書は1984年に刊行されたものを2022年に文庫化。しかし、古びた印象はなく、その時間の重みが、むしろ説得力をもたせている(学術的には古くなった面もあるのだろうが、素人にはわからない。その点は、文庫版解説でフォローされている)。
過去の日本における痘瘡やコレラに対する対応など、コロナ禍の現在と比べることで、興味深く読める内容も多い。