【感想・ネタバレ】日本の保守とリベラル 思考の座標軸を立て直すのレビュー

あらすじ

近年、日本政治においても、「右」と「左」ではなく、「保守」と「リベラル」という対立図式が語られることが多くなった。しかし、混乱した言論状況のなか、保守とは何か、あるいはリベラルとは何か、という共通理解があるとは言えない。本書は、欧米の政治思想史を参照しつつ、近現代の日本に保守とリベラル、それぞれの系譜を辿り、読み解く試みである。福沢諭吉、伊藤博文以来の知的営為を未来につなげ、真の「自由」を考える。

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Posted by ブクログ

著者の著作は時々手を取っているが、その中でも現実に具体的に触れている程度が非常に高く感じた。

概念についての論考から始まり、その考え方の具体例をそれぞれの論客を取り上げて整理した上で、現代史から実世界を論じている。どちらの思想に対しても目配りが効いていると思う。そして、思想というものの重要性をとても認識させられる一冊である。政治世界だけでなく、現実世界をどう解釈するのか、という点において自分自身の考え方を相対的にできるように意識できるように、これまでの考え方の束としての思想に触れていきたい。
取り上げている論客への道標でもありつつ、確かな読み応えを味わえる読み物であるといえよう。

なお、丸山の章だけ専門的記述が多くなっているように感じたが、初出の場所によるものと思われる。このことによって論旨が損なわれるものではないだろう。

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

日本における保守、リベラルの近代〜現代の流れを知ることができた。

これ一冊で保守とリベラルについて完全に知れるという感じではなく、入門書という感じがした。

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2025年08月16日

Posted by ブクログ


昔保守と革新、今保守とリベラル、ってことでこの本が生まれたのだろう。
アメリカのそれもねじれていると聞くが、日本はなお酷い。
今の自民党を保守と言えるか?
防衛費倍増といっても、アメリカの中古の武器を買うだけ。
2倍にするならその使途はまずは人件費だろう。
自衛隊員の待遇を良くし、人数を増やさなければ武器だけあっても闘えない。
アメリカの言いなりになっているだけの日本の政府と自民党。
そんなのは保守ではない。
反日統一教会との癒着でもそれは明らか。

それよりこの本の主題はリベラルにある。
立憲民主がリベラルかどうかはこの際置いておく。

日本最初のリベラリストは福沢諭吉である。

この定義に目が覚めた。
そう、独立自尊。
福沢先生の教えはまさにリベラルだったのだ。
といって、個人主義だけではない。
福沢の頭には国家主義も内在している。
個人が強くなって、国家も強くなる。

保守リベラル。これは同居できるものなのだ。

続いて丸山眞男が出てくるのも頷ける。
中学時代に丸山の「日本の思想」を読まされ、正直難易度高すぎだったが、
福沢の考えを丸山は研究していたのだ。つながっている。

そういうことを再認識させてくれた。

自民の保守の系譜は3つに分かれると。
大平、宏池会、保守本流
福田、安倍派、保守傍流  
田中、?、?

リベラリスト。いいね。

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2023年10月03日

Posted by ブクログ

そのタイトルのとおり、日本の「保守」と「リベラル」について、その言葉遣いから捉えなおした本。

何となく、章と章の繋がりがとっかかりにくかったのと、福沢諭吉や丸山眞男、福田恆存等の思想家の考えが、結論にどう寄与しているのかが読み取りきれなかった。

そもそも、彼ら思想家についての前提知識が不足している自分にとっては、ものすごく読みにくかった。私が悪いのだが。

ただ、この本自体、途中の章などは書下ろしではなく、他の論考を再編集しているので、それもあって読みにくかったんじゃないかと思っている。章と章の変わり目に、突然話題がぶつ切れになったり、筆者の中で完結しているであろう議論が解説しきらないままでてきたり・・・。再三言うが、私の知識不足ということが大きいので、この論考自体をどうこう言う資格はないと思っている。


だが、筆者が最初に定義している、保守とリベラルについては、非常に重要な定義だと思う。
そのまま描くが、
保守:抽象的な理念に基づいて現実を根底から変革するのではなく、むしろ伝統のなかで培われた制度や慣習を重視し、そのような制度や慣習を通じて歴史的に形成された自由を発展させ、秩序ある漸進的改革を目指す思想や政治運動
リベラリズム:他者の恣意的な意志ではなく、自分自身の意志に従うという意味での自由の理念を中核に、寛容や正義の原則を重視し、多様な価値観を持つ諸個人が共に生きるための社会やその制度づくりを目指す思想や政治運動
ということ。

今この社会における「保守」と「リベラル」という言葉は、言葉だけ一人歩きしているというのはまさにその通りだと思う。なぜ「保守」の反対が「革新」でなく「リベラル」なのか?その経緯を踏まえずに、「我々はリベラル勢力だ」と喧伝することは、足元で大事な価値観を置き去りにしたまま結集することになるだろう。勿論保守然り。

ただ、じゃあこの混沌とした社会に「保守」「リベラル」の定義をちゃんとしようよ!って言っても無駄というか、あまり意味はないんだと思う。
もはや、この社会において、「保守」と「リベラル」は、錦の御旗のように、単なるシンボルとして掲げられる以外の役割を持っていないのではないか。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

6.7 アメリカの影響、ヨーロッパの状況
10 保守主義とリベラリズムの定義

26 保守主義は伝統主義や復古主義とは異なる
37鳥尾小弥太
44重臣リベラリズム(西園寺公望、牧野伸顕)→戦後保守主義(吉田茂)
49 結成された自民党は自由主義的なハト派から国家主義的なタカ派まで幅広い政治的立場
50 国家主導の統制経済や計画経済の日本民主党

61 スペインから生まれたリベラリズム(フランスのナポレオンによる侵攻に対する抵抗)
62 日本独自のコンテクスト
68 コンスタンのルソー批判
76 石橋の経済的リベラリズム
95 憲法をめぐる立場

102 福沢諭吉の訳語

124 国家のエゴイズム
126 福田恆存の近代の個の自覚

132 丸山眞男の主体像
139 懸賞論文
154 ナショナリズム
159 交通

194 産業社会論


237 経済成長までの日本保守は追いつき型近代化で欧米の導入をし続けたにすぎない

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2023年04月21日

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