あらすじ
前作『Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』(東洋経済新報社、2019)がベストセラーとなった著者、クリスティーン・ポラスの最新作。本書では、パンデミック後に常態化した在宅勤務、またデジタル化により急速に人と人との交流が減り、ビジネスおよびメンタル面での弊害が大きくなる中、「コミュニティ」こそが、この状況を打開するものだと提案します。統計によれば、職場に「コミュニティ」を感じないと答えた人は65%、同僚とのつながりを感じないと答えた人は76%。一方で、職場で「コミュニティ意識」を感じることのできた人の74%が「よりやる気が出た」、81%が「離職をしない」と答えています。コミュニティ=(必ずしも職場に限らず)同じ目的意識を持った人とのつながりが、デジタル化、孤独が深刻化する現代のビジネス、生き方において最も重要であることを示しています。Part1では、職場のコミュニティづくりに焦点をあて、リーダー層や貢献度を高めたい一社員として、情報共有、人材管理、会社の風土づくり、意味・意義の提供、社員のウェルビーイングという多方面の観点からコミュニティ意識を向上する方法を提案します。Part2では、個人がコミュニティ意識を育て上向きな循環をつくることが、職場および周囲に前向きな影響を与える(逆にネガティブであればネガティブが伝播する)ことを前提とし、自己認識の変革、栄養・睡眠管理、休息、マインドセットの作り方、SNSの付き合い方を改善することにより、コミュニティを構成する一人としての貢献を高める方法を紹介します。私たちは自分の居場所を感じたいと強く願っているにもかかわらず、多くの人が孤立感を感じています。テクノロジーの発達と現代の職場慣習により、人々は常に連絡が取れる状態でありながら、さらに疎遠になりつつあります。そして、人との交流が少なくなるにつれて、幸福度も低下しています。このことは、メンタルヘルスの危機に火をつけ、何年にもわたって影響を及ぼし、人々はより孤独になり、組織の生産性や利益も低下させるでしょう。クリスティーン・ポラスが研究の中で発見した解決策、それはコミュニティです。ポラスは、ビジネス、ヘルスケア、ホスピタリティ、スポーツなど、無数の業界を網羅する彼女ならではの深い調査と把握力で、6大陸に住む何十万人もの人々の経験を統計から推定し、変化の可能性を示しています。人々を結びつけ、情報を共有し、自主性を発揮させ、敬意を払う環境を整え、率直さを実践し、意味を与え、個人の幸福度を高めることで、誰もがコミュニティを真に繁栄させることができるのです。ポラスの知見の応用は無限であり、ストーリーやケーススタディはポジティブで高揚感を与えてくれるものです。職場、PTA、スポーツ、礼拝所など、それぞれのコミュニティが結束し、発展していくためのヒントを与えてくれるのです。
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Posted by ブクログ
『あなたがどれだけ親身になってくれるかを知るまでは、あなたにどれだけ知識があろうと誰も気にかけないものだ。』セオドア・ルーズベルト
この本は大きく2部に分かれていた。
1部では、より良いコミュニティがなぜ必要なのかと、それを形成するためには特にリーダーはどういう心持ちであらねばならないかについて書かれていた。学ぶことが多い内容だった。
コミュニティは解放され、団結され、困難に立ち向かう時によりよく、この本でいう「ウェルビーイング」がもたらされるなどあったが、特に強調されるべきなのは、人として尊重され、尊敬され、率直さを感じられた時に、その人に、またはそのコミュニティに対して良い感情を抱くということだ。
一言でいうならば、リーダーはコミュニティのメンバーに対して、「親身になる」ことがとても重要だと言える。近年、あらゆるコミュニティで成果や効率が最優先事項とされ、人間として生きることのとても大切な部分が抜け落ちているのではないかという指摘通り、人間は人間として尊重されることが実は何よりも代え難い大切なものなんだと、この本を通じてより強く感じることができた。今こそ原点に帰るべきだし、リーダーという立場なら自分が率先してコミュニティの人同士が尊重できる場を作ることに専念することが何よりも重要になるだろう。相手の心に寄り添うこと、私はあなたの味方だと宣言し安心させること、そのために礼儀を重んじること、謙虚、正直であること。基本的な人間関係が、人を信じることが、今までに得られなかった大きなものを共に手に入れるチャンスなのである。
また面白いと思ったのは、ふれあいこそ絆を強めるということだ。肩を組んだり、背中を現実に叩いて触れ合う瞬間は、人を励まし、信頼を呼び、帰属意識を強めることがわかっている。
そしてコミュニティ間の信頼があれば、実は生産性やスピードも早めていくことが分かっている。
人と直接ふれあい、みんながみんな尊重され、信頼し、居場所となれるコミュニティ作りは、大変だが非常に意義のあることだ。そんなコミュニティを作って行こう。
2部ではそのためにコミュニティを構築していく人たちが何を意識するべきかについて書かれていた。その人は、常に自己認識のための努力を怠らず、エクササイズで幸福感や認知能力を高め、メンバーと積極的に食事を共にし、よく眠り、逆境をチャンスと捉え、誰よりも前を向くことを徹底している。