【感想・ネタバレ】西山太吉 最後の告白のレビュー

あらすじ

2022年5月に返還50周年を迎えたものの、今も米軍基地問題で揺れ続ける沖縄。
その原因について「沖縄返還で日米同盟の姿、そして日本の国の形が根底から変わってしまったからです」と、元毎日新聞記者の西山太吉は語る。
西山は政府の機密資料「沖縄返還密約文書」を日本でただ一人、取材の形でスクープしたジャーナリストだ。
さらに、西山は続ける。
「岸信介の安保改定、佐藤栄作の沖縄返還、安倍晋三の安保法制定、この一族に共通する
政治手法と我欲が、国民にウソをつき、自民党をここまで劣化させた元凶だ」
統一教会問題でその名が取り沙汰された岸信介と安倍晋三。
この一族が日米同盟や沖縄返還で見せた政治手法と我欲とは何か、そして自民党を劣化させているとはどういうことなのか?
その真意を西山が評論家・佐高信に語る中で見えてきた、日本政治の衝撃の裏面史とは。

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Posted by ブクログ

2023年2月24日、ひとりの元新聞記者がこの世を去った。

西山太吉は毎日新聞に籍を置き、1971年に沖縄返還時の日米の
密約を暴露した。

世紀の大スクープではあったが、情報の入手先が外務省の女性
事務官だったことから後の裁判で「男女間のスキャンダル」に
矮小化され、本来であれば全力で彼を守らねばならなかった
日本のメディアは、守るどころか彼を放逐した。

「国家の嘘」と闘い続けた西山が、佐高信を相手に沖縄密約を
はじめ、昭和から今に続く政治と政治家について語った対談集だ。

毎日新聞の記者時代に大平正芳と深い付き合いのあった西山だけ
に、宏池会擁護が多い。だが、自民党を語る上で宏池会と清和会の
相違を理解できずには語れないのだろう。

だが、バランス感覚を保った宏池会も今では骨抜きになっている。
だから、宏池会に繋がりながらも考えをまったく体現していない
岸田首相のことなんて、気持ちのいいくらいに糞味噌である。

そして、西山がすっぱ抜いた沖縄密約が今でも日米関係に大きな
影響を及ぼしているのが分かる。

酷いよな。民主党政権時代、時の外相・岡田克也指示のもと、
アメリカの公文書館で実際に密約文書が発見されている。
なのに、日本には該当文書がないんだぜ。

何故なら、都合に悪い文書はぜ~~~~んぶ、焼却しちゃったから。
太平洋戦争敗戦後と何も変わっちゃいないのよ、日本政府は。

あの時も、米軍上陸前に不都合な文書を大量処分してるものね。
あ、それは新聞社もだったけど。

西山が語るように、政治家も官僚もジャーナリストも、みんな
小物になっていやしないか。

忖度と捏造と改竄が当たり前に行われるなった国は、良心的で
あったひとりの官僚を殺してしまったのだから。

昭和回顧的な部分もあるが、若い世代にこそ読んで欲しい
1冊である。

国を相手に闘ったジャーナリストに最大の敬意をっ!

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2023年11月03日

Posted by ブクログ

沖縄返還密約文書をスクープした西山太吉に佐高信が迫る。この事件に限らず、国家はこうして国民を騙してきたのだなと思った。
西山太吉は上梓後、2月に亡くなったとのこと。正に最後の告白となった。

0
2023年06月02日

Posted by ブクログ

本書は、沖縄返還で県民、国民を欺き、記者西山太吉の人生を破壊した自民党政府を糾弾する。さらに対米従属の政府のしたことと終わらせず「売国奴」として画策した政治家官僚個人の責任をも白日のもとに晒している。
森友問題同様に名前も顔もある個人が平然と悪さをしていることを決して忘れない。
西山さんにエールを送る。

0
2023年01月28日

Posted by ブクログ

沖縄密約の西山太吉記者と、ノンフィクション作家佐高信さんの対談本。2022年12月に発刊されているが、西山太吉さんはその後2023年2月に亡くなられており、まさに最後の告白である。
沖縄密約についての告白というよりは、自民党政権や宏池会、清和研の考え方についての西山さんの考察といった趣だった。

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2024年11月26日

Posted by ブクログ

 ずっと歴史上の出来事のように思っていたが、通読して、その本質が何だったのかを理解できた。
 前半の政治家評が、はっとする。今の政治家の力量の無さを確認できる。
 明らかにする。ジャーナリストの意地が伝わる。

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2023年04月17日

Posted by ブクログ

もともと気にはなっていたけど、書評でも何度か目にするにつけ、これは読んどかないと、と。上梓後間もなく、鬼籍に入られたということだけど、この対談時点では、自身の寿命もネタにしてしまえるくらいに元気そうなのに、分からないものですね。さておき、いわゆる”冤罪”の犠牲者として生きることを余儀なくされた氏から、直接本書のような発言を得られた意義は大きい。さすが佐高さん、って感じ。にしても改めて、一族を挙げての隠蔽体質にはあらためてうんざり。その影響が色濃く残る今の政界では、ハト派の保守本流としての宏池会と言われても全然ピンとこないし、岸田さんからは、その気概なんて欠片も感じられない訳で。

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2023年05月22日

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