あらすじ
〈超常気象〉――果たして耳慣れない単語と思われるでしょうか? 異常高温、異常低温。文明がもたらしてしまった地球温暖化。気象災害の規模も大きくなってきました。ならば、「異常気象」すらも異化するほどの〈超常気象〉をイメージすることも、このような時代を生き抜くためには意義があることではないでしょうか。あるいは、私たちは〈超常気象〉のただなかにいるのかもしれません。(編集序文より)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
本屋で再開したときには嬉しさに震えてしまった異形コレクション。引っ越す都合でこれまでのコレクションは泣く泣く手放してしまったが、また新たな異形たちに出会える!と嬉しくなった
気象をテーマにしたホラーというと、私の想像力では人体の一部が降ってくる、止まない雨や雪、出られない霧、ぐらいです。
気象のホラーって、1部区域に国規模にしろ逃げ場のない感じが恐ろしい。降り注ぐ怪異、まとわりつく恐怖を多彩な作家が巧みに紡ぎだした短編たちに、私も囚われ絡み取られてしまった
元人気アイドルの体の一部が降ってくる『星の降る村』、雨に濡れた土と木と葉の香りの記憶を蘇らせてくれる、一途で献身でエロスな『とこしえの雨』、Hey Siri!『件の天気予報』、自分が殺した相手が降ってくる地域限定現象『業雨の降る街』、この霧からも自分の罪からも逃げられない『赤い霧』、わたしが雨で腐るまで撮ってもいい『金魚姫の物語』、自分に悪意向ける相手に雷がおち、雨と共に降ってきた骨が寂しさを埋め、恨みを持って死んだ人間の霊体を核とする霊体性低気圧【祟り神】が発生『三種の低気圧』、親方空から女の子が!子供が降ってくる《街》『堕天児すくい』、今降ってる雨も宇宙のヤツら1枚噛んでるとすると…『成層圏の墓標』、蜘蛛の糸で地獄に下る仏陀『地獄の長い午後』、迷い込んだ山は8月なのに雪。終わりのこない白い世界『千年雪』、旧校舎で懐かしい気象天文部の部員との再会『彩られた窓』、儀式、魔術、室町ゴシック『怪雨は三度降る 』、見上げたこの空は本物か、偽物か…『虚空』
なにより怖かった、否、嫌だったのはやっぱりこの人の作品…
平山夢明『いつか やさしい首が……』
まず子供の日記のような文体が嫌、降ってくるものの正体と原因がずっと謎なのも嫌、だんだん荒んでいく地域の中、懸命に強く生きようとする人が救われないのが嫌、なにより終わり方が絶望的すぎて嫌
異形コレクションでも平山氏の作品は毎回確実な爪痕を刻んでくれるが、今回もエグいのをざっくりいただいた。読み終えて1週間たつが、まだ引きずっている……