あらすじ
優等生がひた走る本線のコースばかりが人生じゃない。ひとつ、どこか、生きるうえで不便な、生きにくい部分を守り育てていくことも、大切なんだ。勝てばいい、これでは下郎の生き方だ……。著者の別名は雀聖・阿佐田哲也。いくたびか人生の裏街道に踏み迷い、勝負の修羅場もくぐり抜けてきた。愚かしくて不格好な人間が生きていくうえでの魂の技術とセオリーを静かに語った名著。(解説・西部邁)
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Posted by ブクログ
これは時代を超えて読まれる本。
座右の書にする。
参考になったことは枚挙に暇がないが、取り急ぎメモしたポイントは以下の通り。
人生を俯瞰して眺める。9勝6敗の勝ち星・負け星を目指す。適当な負け星を拾っておく。
禍福は糾える縄の如し
あたらしい世界に入っていったときは、納得するまで眺める。新しい職場では、まず白紙。能力を隠したり、とぼけたりする必要はないが、要領やテクニックは最初は出さない。小さなところでは先に陣を張った人を尊重する。礼儀、あらゆるものの下につきながらも、眺めてる。他人の様子を実例にする。基本セオリーを多く発見する。
大きなところでは、自分の生地をいくらか配慮しつつ、出していく。どの能力がたぶついており、どの能力が足りていないか。
一段ずつ。少しずつ、昇る。そして自分の決め球で勝負する。
Posted by ブクログ
劣等生に対する人生の生き抜き方を教えてくれる本。戦争、退学、博打打ちなど経験し「どろどろ時代」も過ごしてきた著者が、様々な場所で様々な人を観察してきた経験を基に、人生をしのぎ勝つ方法を教えてくれる。
特に、9勝6敗論、先制点を取得、自分の駄目なところを守り育てる重要性は、いつも目の前のことや自分のことで必死になってしまう自分に対して、とても必要な観点だと感じた。
この本に出会えてよかった。
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とても面白かった。
いままでと違う視点、感性を知れたよう。会うべき時に会うべき人と出会うように、本もまた然りだなと思う。
人生の中には幾つかのフェーズがあって、そのいくつかのフェーズを経ていないとわからない観点のお話だなあと随所随所で思った。
自分の弱さやどうしようもなさ、しょうもなさに気づいて受け入れられているかどうかは人生のすすめかたにおいて大きく影響することだなあと思う。でもそれって、簡単じゃないなって思う。だって若さはそういうことを美しいほど綺麗に拒絶したりして、勝手にだいぶ深い傷を負ったりすることだから。それって誰もが通ることで、ありきたりで格好悪くてどうでもいいねって言いたくて、言えなくて、やっぱりなにより眩しい。だから、この話をやすやすふむふむと受け取れるようになるときはずっとずっと大人になった時だと思う。
そういうことを受け入れられる心の受け皿みたいなものはいつどんなふうに変わっていくかわからないし、ものは捉え方次第だなあと思う。認識次第で世界の色は変わって見えるのだろう。
自分がすごく大きいものなんて、あほくさいこと言ってないでさ。肩の力を抜いてごらんよ。って。
面白い生き方は面白い見方から生まれる。
知的でユーモアがありながら、とても深い味のあるの話である。
ザ生き方をズバズバ指摘する本よりも、こういうわかりそうでわからなくて、わかりたくてわからなくて、多分まだまだ長い人生の秘密が隠し味でつけられているんだろうな〜、また読んだときに一つや二つは気づけるかなあ、みたいな本がやっぱり素敵だと思う。
Posted by ブクログ
色川武大 「 うらおもて人生録 」プロ論であり人生論。若い人 向きに書いているが、若い時には わからない 現場感がある
著者の博打打ち人生から プロとして細く長く生き抜く術を論じた良書。共感する言葉が多々ある
共感点
*プロはフォームの世界
*9勝6敗を狙う
*運をコントロールする〜運は 公私を問わず 生涯で通算すると、プラスマイナスゼロになる
*生きているだけでも、かなり運を使っている
プロはフォームの世界
*プロは強弱を問題にしない〜プロに弱い者はいない
*プロは ほぼ一生を通して メシが食えねばならない
*選手の目標は 年間打率であり、通算打率
*フォームは 今日まで 守ってきた核
*明日を考えず一回の勝負ならプロより強いアマもいる
*フォームに 既製品はない〜自分で手縫いで作る
9勝6敗を狙う
*6敗が難しい〜適当な負けを選ぶ(大負けを避ける)
*運をコントロールする〜運は生涯でプラマイゼロ
*実力はコンスタントに戦える部分〜運はコンスタントではない
*生きているだけでも かなり運を使っている
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名著。
2020年8月18日讀賣新聞朝刊に「没後30年 底知れぬ魅力」と色川武大の記事が出ていた。人気だそうだ。
ほぼ日の読書会第1回課題図書。以前から「麻雀放浪記」とか、「友は野末に: 九つの短篇 」は読んだことがあった。「霧中の読書」 荒川 洋治 がこの本を絶賛していて、まずこれから読めと、言われて、読んでみた。
暖かい気持ちになれた。劣等生でもいいんだ。
「9勝6敗を狙え。8勝7敗では寂しい。10勝を狙うと無理がでる」有名な文章である。
新聞連載であった。
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いいですか。9勝6敗をコンスタントに維持するのが大事なのです。
そっか、全勝を目指さなくていいんだ、っとホッとされた作品でした。この他にも生き方の指南が色々とあり、それらにはどれも温かみがあります。
Posted by ブクログ
近所のおっちゃんみたいなゴツゴツとした話し言葉で綴られる文章のひとつひとつに、良くあるHOW TO本や自己啓発本とも違い「この人は、ほんとうのことを言っている」と感じるのは、勝ち続けることの危うさや上手く負けることの大事さをもしっかりと説いてくれているからだと思う。
Posted by ブクログ
ソフトな文体だが内容は極めて高度。なんというか…すべての人間に共通する「人生の原理原則」が全編に亘って書かれていると言っても過言ではない。著者が持っている経験はとても特殊なもので、接点を持つ人はそれほど多くはないかもしれない。しかしその特殊な経験から抽出された「生き方のセオリー」とでもいうものは思わず唸ってしまうほどの説得力がある。
色川さんの語る体験は、戦後の特殊な状況とも相俟ってドラマ化されてもいいようなドタバタ劇で、この部分だけを読んでもエッセイとして十分な価値がある。しかしノンビリと語られる個々のエピソードは事実の羅列だけで終わることはなく、そこから引き出された教訓を丁寧かつ厳しく読者に伝える。小難しい文体で本書の事実を省いた箇所を書籍化すれば一冊の「思想書」として通用するのではないかという気すらしてくる。ギャンブル、放浪といった追い込まれた状況が深い考察を促し、やがて結晶化して強固な「思想」となっていくのだろうか。
この世に存在する物事には常に二面性があり、それを同じ割合で両取りできるということはほとんどない。そこに「選択」というものが生じ、その結果が今後を左右することとなる。こうした構造はギャンブルそのものであり「博打的な思考」とでもいうものは生きていく上で必須のものではないかと思われる。賭博を一般的に禁止することは、こうした考え方を否定し「選択」というものを奪おうとしているのではないか、という穿った観方ができないでもない。
「全勝ではなく九勝六敗」「一歩前進・二歩後退ではなく一歩後退・二歩前進」のようにギャンブラー故にか、数字の用い方が秀逸。また、この充実した内容からすれば最早どうでもいいことではあるが、挿絵もなかなかいい味わいがある。
Posted by ブクログ
【本の内容】
優等生がひた走る本線のコースばかりが人生じゃない。
ひとつ、どこか、生きるうえで不便な、生きにくい部分を守り育てていくことも、大切なんだ。
勝てばいい、これでは下郎の生き方だ…。
著者の別名は雀聖・阿佐田哲也。
いくたびか人生の裏街道に踏み迷い、勝負の修羅場もくぐり抜けてきた。
愚かしくて不格好な人間が生きていくうえでの魂の技術とセオリーを静かに語った名著。
[ 目次 ]
さて、なにからの章
男女共学じゃないからの章
俺の中学時代の章
何を眺めるかの章
嫁に行った晩の章
だまされながらだますの章
つけ合わせに能力をの章
野良猫の兄弟の章
桜島を眺めての章〔ほか〕
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
あとがきで西部邁氏が看破した通り、これは愛情あふれる「劣等生向けの教育書」でした。
私も五十を過ぎたので、いくらか人生を学んだと思います。
その中で、ここに描かれているのは生きづらさを感じる人たちに生き甲斐を感じさせるような、作者の経験だけでなく、溢れるような愛情の詰まった本だなと感じました。
もし我が子が人生に行き詰まった時に読めるよう、本棚にストックしておこうと思います。
Posted by ブクログ
色川武大さんの生き方に痺れた。
時代も違えば環境も性格も違うが、死線を潜り抜けてきた生き方がかっこいい。
全く同じに生きることはできないが、生き方の参考、学びになった。
Posted by ブクログ
劣等生に向けて生きていく上での技術をつらつら語る。みないな内容でしたね。
文体のせいか、年配の方に酒場で話しかけられてるような印象を受けました。
色んな人を好きになること。
勝負や運に対する考え方。
弱点の活かし方。
その他もろもろのお話しを、色川さん自身の体験に基づいて書かれている感じですかね。
博打場での経験を例にして、勝負や運について書かれている部分は独特な視点があって面白かったです。
私自身が劣等感を抱えてきたタイプなので、自分のマイナスな面や弱点を見つめ直しながら読みました。
正直、よくわからない部分もあったのですが、時がたったらまた読み返してみたいですね。
全体として下地には愛があり、不思議と優しさを感じ言葉があり、読後少しばかり劣等感を受け入れられるような気がした一冊でした。
Posted by ブクログ
色川武大(1929~89年)氏は、小説家、エッセイスト、雀士。中央公論新人賞、直木賞、川端康成文学賞等を受賞。阿佐田哲也名義での麻雀小説作家としても知られる。
本書は、学校生活に馴染めず、中学中退のまま、担ぎ屋、闇屋、街頭の立ち売り、プロの賭博師等の職を転々とし、アウトローの生活を送った後、ライターとして数々の実績を残した著者が、「学校の成績でいえば十番以内のエリートよりも、それ以下の成績の若者を念頭において」、「生きていくうえでの技術」を語ったエッセイ集である。初出は毎日新聞への連載で、1984年に単行本として出版され、1987年に文庫化された。
通読してみると、苦労人の著者らしく、とても味わい深いエッセイが並んでいるのだが、白眉はやはり、著者が賭博(特に麻雀)の世界で学んだ人生哲学の部分だろう。例えば以下のようなものである。
◆プロはフォームが最重要・・・「フォームというのは、これだけをきちんと守っていれば、いつも六分四分で有利な条件を自分のものにできる、そう信じることができるもの、それをいうんだな。・・・プロは、六分四分のうち、四分の不利が現れたときも平気なんだ。四分はわるくても、六分は必ずいいはずだ、と確信してるんだね。・・・フォームというものはけっして全勝を狙うためのものではないんだ。六分四分、たとえわずかでも、いつも、どんなときでも、これを守っていれば勝ち越せるという方法、それをつかむことなんだ。」
◆九勝六敗を狙え・・・「九勝六敗の、六敗の方がむずかしい。適当な負け星を選定するということは、つまり、大負け越しになるような負け星を避けていく、ということでもあるんだね。」
◆運は結局ゼロ・・・「運というものは、通算してみると、結局、ゼロなんだ。ゼロというより、原点、といった方がいいかな。・・・本来はプラスマイナスゼロでも、一瞬一瞬はゼロではない運を、どう利用し、どう使っていくかということだな。だから、星勘定をして、運の使い方に対する自分の作戦をたてていく必要があるわけだね。」
◆実力は負けないためのもの・・・「実力の部分では毅然と、運の部分では用心ぶかく、手さぐりでおずおずと。・・・実力というものは、負けないためにあるのです。負け越さないために、実力を習練するのです。」
更に、著者が亡くなった年齢に近づいた私にとっては、次のような一節が特に心に沁みた。「年をとるにつれて運がツクということが、すくなくなってくるんだね。そのうえ、身の回りには、負け越しにつながるような大黒星がぐるりととりまいているんだ。健康の面でも、事故運の面でも、人間関係もそうだし、仕事もだんだんむずかしくなる。もう、負けをひきこんでバランスをとるなんて、キザなことをいっていられない。一生懸命、白星をひろっていかないと勝ち越すのもむずかしい。俺の今の年齢になったら、八勝七敗なんて、奇蹟に近いね。若いときの十三勝二敗くらいと同じことだ。だからもう今は、内容的には七勝八敗、六勝九敗目標。それ以上の大負け越しをしないようにということになる。」
(尚、丁半博打の必勝法「一一三の法則」は目から鱗であった)
昭和最後の「無頼派」ともいわれる著者ならではの、優しさに溢れた人生論である。
(2023年1月了)
Posted by ブクログ
1.著者;色川氏は、小説家・随筆家・雀士です。学校生活に馴染めず、学校をさぼって、映画・寄席・喜劇に熱中しました。人生哲学は、「ツキの流れを読んでそれに従う」「欲張りすぎず、九勝六敗を狙う」と言われています。著書の「黒い布」は、三島由紀夫・伊藤整・武田泰淳に激賞され、中央公論新人賞を受賞。「離婚」で直木賞、他にも泉鏡花賞・川端康成賞・読売文学賞を受賞。また、“阿佐田哲也”名で発表した「麻雀放浪記」で脚光を浴び、麻雀ブームの火付けとなりました。
2.本書;アウトローの道を進んだ色川氏のエッセーです。「1.“さて、なにから”の章」~「55.“おしまいに”の章」までの55章構成です。若者向け人生論を説いています。勝負師らしく、著名な人生論にはない言霊の数々に共感します。「もう手おくれかな」「まず負け星から」・・・。
3.個別感想(気に留めた記述を3点に絞り込み、私の感想と共に記述);
(1)『“学歴というもの”の章』より、「昔だったら、手に職をつけにくい条件の者が必死で勉強したんだけどね。今は皆、免状を取ろうとするね。・・学歴を得たからって、それで終わりじゃないんだ。学歴はパスポーなだけで、入り口を入って、実生活は別にあるわけだから、学歴さえあれば人間が空っぽでいいというものでもない」
●感想⇒確かに、猫も杓子も大学進学する時代です。大卒でなければ希望の職に就けない人、取り敢えず進学する人もいて、動機は人それぞれでしょう。高校生では、世の中が十分に見えていないので、止むを得ないと思います。問題は入学してからです。充電期間として、勉学は言うに及ばず、部活やアルバイトで人間修養するべきです。読書もいいでしょう。親は学資を出すのは良いとして、遊びの為の車を与える等は言語道断。若い頃に、何らかの挫折を味わう事も場合によっては必要です。某メーカーでの話です。職場の新人を現場応援に出したそうです。二日程して、応援先の責任者から連絡があり、「連れて帰ってくれ」と。理由を聞くと、「仕事が出来ない事を言っているのではない。現場の若手に学歴差別的発言をした」と言います。若手に仕事を教えて貰っている時に、「僕は、(大卒で)こんな仕事(現場仕事)をする為に入社したのではない」と。著者が言うような「学歴さえあれば人間が空っぽでいいというものでもない」の事例です。本人は親の庇護の下で、叱られた事もなく、苦労知らずに育ってきたのでしょう。プライドが高過ぎるのです。成人の性根を直すことは難しく、三つ子の魂百まで。
(2)『“嫁に行った晩”の章』より、「一番大切なのは、生地がずるくないこと。これから成人しようという人たち、まず要領だ、なんて思ったら、それははじめからマイナー指向になっちゃってるんだよ。まず、誠意だ。これが正攻法だ。そうして誠意や優しさや一本気な善意がスケールにつながるんだ。だから、人格形成期に、まずスケールを大きくしていくことを考えよう」
●感想⇒要領が良いという事は、悪い事ではありません。しかし、要領だけで世渡りは出来ません。要領だけの人間に、重要な仕事を任せられないと思います。そういう人は、得てして仕事をなめてかかり、雑になります。自信過剰なのです。鈍間でも愚直に、正直な人の方が信頼できます。また、若い時は失敗を恐れずに、何事も果敢に挑戦してほしいと思います。他人を見る眼を持った人は必ずいます。豊田佐吉の名言、「障子を開けてみよ、外は広いぞ」。
(3)『“球威をつける法”の章』より、「友人は、障害児という、自分の外の、しかし身近なものを、生き方の軸にしている。俺は、小さい頃の感性、というか、思考の癖を、自分のモラルのようなものに置き換えて、やっぱりそのことが生き方の軸になっている。・・人間は、結局、ここだけは死んでも譲れないぞ、という線を守っていくしかないんだ。その、ここだけは、ゆずれないぞ、という線を、いいかえれば、自分の生き方の軸を、なるべく早く造れるといいんだがな」
●感想⇒“軸”は難しく考えないで、何でもよいと思います。著書では、「障害児を抱えた親が、何よりも長生きをポイントに置くようになった」と言います。子供を守る事が生き甲斐なのです。気の毒な人生と思う人がいるかもしれません。私には真似る事の難しい、大変立派な軸と思います。「お前の軸は何か」と問われれば、「事実の前には謙虚にありたい、嘘をつかない事」で、キーワードは“誠実と感謝”です。十分には実践出来ていませんが、今後も行動を律したいと考えます。
4.まとめ;色川氏は、“はじめに”で、「私は不良少年の出で、どこから見ても劣等生です」「この本も、学校の成績でいえば十番以内のエリートよりも、それ以下の成績の若者を念頭において記しだしました」「思想めいた、或いは道徳めいたことの示唆がこの本に欠落しているという御批判もありましょう」「この世の原理原則、不確実でないと思える部分については、一生懸命に記さなければならない」と書いています。わたしの読後感は、『①若者全員と子育て中の母親にも読んでもらたい ②道徳めいた本を凌駕する人生訓の数々 ③物事の原理原則を逸脱してはいけない』です。机上の理論ではなく経験に裏打ちされた本書は、自己啓発本にはない、思いやりと優しさがあります。某新聞のコラムの一節にありました。「自分に嫌気が差した時に決まって手に取る本(うらおもて人生録)。毎度すがるような思いでこの本を開く。確実にこの本は新しい一歩を踏み出す力を与えてくれる」。( 以 上 )
★明けましておめでとうございます。昨年は、皆様に“いいね”や“コメント”を頂き、有難うございました。このレビューが私の書初めです。本年もよろしくお願い致します。
Posted by ブクログ
自らを劣等生と称し、阿佐田哲也名義で麻雀放浪記等を手掛ける元博打打ちの著者が、自らの経験から得た人生に対する聡明なしのぎ方を記した、暖かみと愛を感じる人生録。
Posted by ブクログ
とても読みやすいけれど、なんとなく流して読んでしまうと頭に入ってこない内容なので、何度か読んだ方がいいと思った。またその価値がある本だと思う。
大人が読むと、強くうなずける部分があるので、子供に読ませたいと思うけれど、果たして中学生ぐらいの子が理解できるかどうかは分からない。
Posted by ブクログ
自らを劣等生と位置づける著者のその同じ生きにくさを抱える若者への暖かい言葉の数々。本音で家族や友人に語るような調子で語っていてとても親近感が湧いた。物の考え方が所謂世間で言われている事の逆であったり、人間心理を見事に捉えていたり、ああやはり勝負師として生きて来た人なんだなあと思った。特に運の良い悪いを自分の代だけではなく二代三代先まで遡って捉えるという発想は凄いと思った。考え方のスケールが大きいなと思う。また改めて読み返したい一冊となって。
Posted by ブクログ
人に関する興味を根底に、すべての人がうまく共存ができるようにしていくためには、つまり劣等生も優等生も含めて「どう生きるか」ということを実体験から描いている。
キーワードとしては、フォームを持ち、つねに勝ちすぎず、負けすぎず、これを貿易という形で続ける。連勝も連敗も通常ではないし、また勝ち方も器量的な勝ち方か、負け方も怪我をしすぎないものか。
また、新しい場所での溶け込み方も指摘がある。まずは、白紙状態でいき、うまく弱点を笑いに使う。そうすることで場に馴染む。
ある程度のレベルにいくと、能力に差はないので、いかに先を制するか、相手にミスをさせるか、の世界に突入するので、運の使いどころなどを意識する必要がある。実力とはあくまでも負けないためにある。
随所で述べているが、人生はマラソンであり、常の勝ち負けではどのポイントの勝ち負けなのか分からない。そういったところからも自分を客観的に認識する、ということも必要。
自分も含めて人に興味がないとなかなかむずかしいが、これは案外に思考の切り替えであり、現状に良い具合に満足すること。そうすると、冷静になれるのではないか。
筆者の戦争体験がはさまってのことであるため、むずかしいかもしれないが、代替品としてはそのようなところだろう。
度量や迫力をきっと感じるであろう、ということが文章伝いに伝わってくる。
Posted by ブクログ
麻雀小説で有名な阿佐田哲也。
彼の色川武夫名義でのエッセイと言うか、もっと重い「言葉」。
「もう俺先が短いんだよ」
「くだらん男なんだよ」
と言いながら、「人に何か教えようとしようとは思ってはなく」「おれ自身の事を話すだけ」というスタンスで世の‘劣等生達’に‘生き抜く技術’を語ってくれる。
お人柄が出てそうな飾り気ない口調と、自分の‘つかんだもの’しか話してないように思える誠実さに心打たれる。
『雀聖』と呼ばれるくらいの稀代の雀士の豪快なイメージとは違って、子供の頃は引っ込み思案で友達との遊びにも入れず、ちょっと離れた場所でじっと見つめていたのだそうだ。
何をしていたのかというと‘観察’して‘感情移入’していた。
じっと‘観察’していると友達の‘個性’が分かってきてだんだん好きになってくる。それは周りの大人達に対しても同様で
ゴミ屋さん、電車の運転手さんも好きになっていく。
イメージとは違うと思ったが、もしかしたらそれが色川さんの人生の基盤なのかもと思った。
‘観察’と‘対象者に対する好意’。
「相手を立ち直れないほどに負かしちゃいかん。」
「上手に勝て、上手に負けろ」
「長所と短所は布の表生地と裏生地のようなもの」
「生きる『権利』なんてないんだよ。自分は周りになんとか
許してもらって生きている」
「生きていくのに不便な『欠点』をひとつだけ、一生大事に育てていく。あとの欠点は直そうと努力する。」
「持ってる運の『バランスシート』を考えながら生きていく」
帯で糸井重里さんも書いているが、「親でも、先生でもない人からしてもらえる話」なのである。今となっては遠い戦中、戦後を生き抜いてきた‘劣等生’。
個人的には「人生負けたときは潔く負けたと認めよう」が心に残った。
「どんな場合でも、こうすれば楽勝できる、そういう無責任な嘘は、俺は絶対につかない」
Posted by ブクログ
著者の人間的魅力がにじみ出てくる作品。
作品、といっても、若い人……特に劣等生……に対して、いかに人生を生きていくか、を自らの体験を踏まえて説いている。
著者の体験だから、博打は出てくるし、己のだらしなさもおおっぴらにされている。
そして思った以上に精神論にはならず、むしろ理論的というか、見方によっては計算高い処世術と受け取られる箇所もちらほら。
また「こう思う」ではなく「~なんだよ」とはっきりと言い切っていることも多く、その点で反感を覚える人もいるかも知れない。
僕は全く反感を覚えなかったし、逆に「そうそう、そうなんですよね、色川さん」と思わず相槌を打ちたくなるような事柄ばかりだった。
著者の人間的魅力だけでなく、劣等生である僕自身も随分と歳をとり、著者の年齢に近づいてきたからかも知れない。
一度でいいから話をしてみたかった、出来れば一緒にお酒を飲みかわしたかった、と本気で思える人です。
Posted by ブクログ
劣等生の為の生き方を説く本書。
今までには聞いたこともない内容も多くあり、とても新鮮に読むことができた。
著者自身が自分を劣等生として認識しており底辺から人生をどのように戦ってきたのかがベースにある為、非常に説得力のある内容になっている。
これは何度も読み直したい本だなと思う。
Posted by ブクログ
運についての考え方が著者の人生観に如実に反映されていた。
勝負の世界において、連勝はしないという考え方もおもしろいなぁーとおもう。
著者の経験を通した身近なアドバイスは、現代の抽象的、科学的な手法より、すっと心に入ってきた。
2915.10.25 船橋 喫茶あずみ
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素晴らしい人生の教えての数々。
人は一人ひとり個性や能力が違うのに万人に伝えてくれようとしてくれていた。
連載を一冊にまとめた本。
最初に劣等生向けと書いてあるが、優等生こそが読むべき珠玉の本。
普通は速読をするのだが、この本だけは黙読してしまった。
Posted by ブクログ
色川さんはやさしい人だなと思った。押し付けるでもなく、自分が感じて考えた経験を読者のことを思って伝えてくれている。色んな考え方があって、それを知ることは楽しいことだと、より強く思えるようになりました。
色川さんが亡くなったのが1989年。自分が生まれた年だ。自分が生まれるよりも前に生きた方の本を読むことができる今の環境もありがたいなと感じる。
Posted by ブクログ
長年読もうと思いつつ初めて読んだ色川武大。自らの劣等生としての半生を踏まえつつ、自身と同じような劣等生に対して平易に語られる独自の人生論。
麻雀という博打の世界で身を立てていた著者らしく、人生論の中心になるのは”9勝6敗こそ理想”という勝負論である。そしてその勝ち方や負け方にも、生き馬の目を抜かれるような博打の場で磨かれた独自の哲学があり、めっぽう面白い。
Posted by ブクログ
本人いわく劣等生へおくることば。
就職前によみたかったなぁ。
C0195
note
色川 武大(いろかわ ぶだい)、阿佐田 哲也(あさだ てつや)、井上 志摩夫(いのうえ しまお)、雀風子。
Posted by ブクログ
マジメなアウトロー、人生の教訓。
わたしはこの著者のことをあまり知らなかったけど、いわゆる”優等生”じゃなかったこと、そして、愛することの大切さを知っていて、しかもそれを実践していることは、ありありとわかる。次の世代に対する著者の視線は優しい。この人の生き方を真似したって、わたしの人生は生きられないけれど、著者のくれたことばを大切にして生きることはできる。