あらすじ
「初めてのスピード。初めてのシャブ。どうってことなかった。ただ、なんとなくウキウキしてるような、ただそれだけ。……なのに、気がつくともう朝の9時近くだった」。コカイン、ハシシ、スピード、LSD……。取材ライターの“オレ”が巻き込まれた、薬物使用者の壮絶でクレイジーな世界。ありとあらゆる薬物にはまり、幻覚、幻聴に苛まれ、精神と肉体を病み尽くした悪夢の4年間を、狂気と正気の間を往復しつつポップな文体で綴る。新感覚スラップスティック・ノンフィクション。
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Posted by ブクログ
すごかった。文章がすごい。キレてて、ものすごくカッコイイし、汚いけどキレイ。大昔にバロウズ読んだときのことをうっすら思い出した。ホントのことが見えてくるのをちょっと覗かせてもらえる感じ。神経が鋭がる感じ。
Posted by ブクログ
青春小説を読んでるような…と言ったらだいぶ誤解を受けそうだけど。
読んでいる時はめちゃくちゃ楽しい。笑える。
後半で一気にダウンする。アップダウンの差が激しすぎる。そして語られる陰鬱な結末。
途中まで読んでる時は面白おかしく読んでいて、つられてギャグみたいでこちらも笑えてきて、そんな面白い非日常が砂で作っただけのものでしかないと後半で気付かされる構成。
読み終わって2時間してふと思い出した時に猛烈に怖さが押し寄せてくる。
途中の、吹き出したあのシーンが薬物で作られた幻覚なのだからとてつもなく怖いと思う。
不謹慎だけど途中まで薬物に少し興味を持ってしまった。
笑い転げた彼らは確実に破滅に向かっていたのかしら。薬物でラリってる場面で同じように笑った自分が正直怖い。彼らだけを異常者と呼べない。
ただあの瞬間だけは、誰よりも濃い今を生きていたのかも知れない。
薬物取材のつもりが…ミイラ取りがミイラに…。
明確に意思を持って「ドラッグはダメだよ」とか、「薬物やめますか?人間やめますか?」よりも、面白おかしく笑える分こちらのほうが怖さが伝わる。
読んでて楽しかったもん。こりゃ薬物は無くならないわけだ。
この本の読後感自体がドラッグの追体験のようなのもまた面白い。
副作用のないドラッグ『スピード』(本のタイトル)
Posted by ブクログ
東京で麻薬ルポに挑んだライター石丸元章が取材という建て前でジャンキーになり、好きなようにキメまくって、逆に麻薬中毒者Aとして取材される立場に成り下がるばかりか、あとがきを書いている時点で拘置所にいるというすばらしいオチがつく記録。
石丸の麻薬に対する考え方は、社会的なモラルの枠組みからは絶対に語られない。石丸にしても中島らもにしても、それからバロウズにしたってそうで、彼ら表現者にしてみたら敗退的ライフスタイルそのものが存在意義のようなところがあるから、こちら側からすると”腹をくくった人たち”としての憧憬こそあれ、尊敬はできない。
この人はそういう尊敬してしまうわけにはいかない偉人の一人である。
Posted by ブクログ
覚醒剤手記。
この後この人逮捕されるけど、こんな文章を世の中に出したのは、この人が初めてじゃないかな・・・
超リアルにSをやってる人達が見られる。