【感想・ネタバレ】ウナノハテノガタのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

螺旋シリーズ6冊目。
原始編!

ところどころ謎のワードが出てきて、おそらく海だな、おそらく太陽だなみたいなのがわかってきて楽しいが、それとは別に普通にネズミとかどんぐりとか、現代と同じ用語が出てくるので、どうせなら全部変えろよと思いながらもそれやったら単に全部新しい言語で書けという無茶振りになるし難しいな…

海族には死と生の概念がなく、というか隠されていて、山族は死と生どころか武器などの文化もある。
そして起きまくる地震のせいで彼らが出会い、そして破滅していく。

まあ、海族はいつまでも死の島を隠せる気がしないし、山族は放っといても相打ちやいけにえで滅びそうだし、どっちにせよ滅んでたのではないかという気がする。

武器を知った海族が狩りを楽しみまくるシーンがある意味一番怖かったかも知れない。頭に巨大な岩が落ちてきて半分潰れたような死体になっても、離れ島に置いておけば別の存在として復活すると思い込んでる海族。そして争いという概念がないが、弓で山族を攻撃するのは躊躇せず行う。
でも、怪我をしたら痛いというのはあるわけだし、その痛みが度を超えると死ぬ、というのは気づかざるを得ないのでは… うーん。

単語だけが違うのかと思いきや、主人公とその父親が長老的な存在に背中をさすられて黒い塊を吐き出すという謎の文化というか病気があった。しかも特別なのはそれだけ。アレはなんだったんだろう。役割のストレスによる病気なのか、誰にも言えない秘密を吐き出すメタファー的なものなのか。

最終的には海族側についた山族の知恵で武器が作られ、戦争が起き、人が死にまくってるところに更に地震と津波が来て新天地に旅立つ…のか?
なんかところどころ何が起きてるのかよくわからないイベントがちょいちょい起きてた。
ただ、山族合流からの勢いがすごく、一気に読み終わってしまった。満足度は高い。

巻末座談会として螺旋プロジェクトに関わった8人の作家の対談が載ってるが、ネタバレの予感しかしないので最後に読む。

0
2023年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

螺旋プロジェクトの第1弾。

固有名がなじみのないカタカナで、また古代を表現するために知らない単語で表現しているので最初はメチャ苦戦しました。第2章が終わる頃には慣れましたけど、進んでは戻り、進んでは戻りを繰り返しました。

死の概念がないイソベリと生贄という犠牲を払って生きるヤマノベ。現代の感覚ではどっちもどっちな感じがしますが、この物語を神話、と捉えると、まぁこういう世界観もアリかな、と思いました。

ハイタイステルベの家系、カリガイ・オトガイはマダラコが言うように、イソベリの生贄として生きることを強いられていた。イソベリの掟のようなものを守るために。カリガイは辛かっただろうな、と思いました。マダラコもそれは同じことですが、マダラコはヤマノベで死を理解しているので、逃げ出せたんでしょう。

ウナクジラはどういう役割で登場したのかな?たぶん、ハイタイステルベはイソベリを守るため、って言っていたけど、死を理解させることでイソベリの目の前で朽ち果てていったのかなぁ、と思いました。また、共通シーンの何かが壊れる、の何かはこのウナクジラなのかなって思います。ほかに該当するようなものなかったしな。

超越的な存在はウェレカセリ。途中でエビヌマに沈んだまま出てこなくなって亡くなったのか?っていう謎はあるでんすが。ウェレカセリの残したメッセージを、マダラコとオトガイが読み解くところは、面白かった。ウェレカセリは全部、知っていたんでしょうね。ウェレカセリの喋り方、おもしろい。

最後、残っていたヤマノベたちもイソベリの舟に乗れたのか、その舟の穴は大丈夫だったのか、「ウナノハテノガタ」に向かって行けたのか、マダラコはイソベリたちとうまくやっていけるのか、ヤキノが新たな災いのもとにならないのか・・・。疑問がいっぱい残ったまま、希望のエンディングを迎えた。

苦戦したけど面白かった。

螺旋プロジェクトの第1弾として読みました。別の作品でマダラコとかオトガイとかまた出てきたらエエな、と思います。ウェレカセリはどこかで登場するみたいですね。楽しみです。

引き続き螺旋プロジェクトを読んでいきます。

0
2023年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

螺旋プロジェクトの原始時代編。
自分が読んだ順では、昭和後期~平成~近未来の2冊に次いで3冊目。前の2冊は今の自分のいる時代と地続きのお話として読める。でも他の物語を読み終えてみると(まだ全4冊だけだが)、伊坂さんが目指した、「火の鳥」のような時代を超えた一連の作品になっているのが分かる。「火の鳥」は何度も読んだなあ。クマソの話、不死になった宇宙飛行士の話、仏像彫りの話・・・

さて、この「ウナノハテノガタ」。よく書けたなあ、が感想。背景設定、キャラクター、シナリオ、構成、演出、情景描写、言語(音)使い・・・どれも非常にレベルが高い。実写化、アニメ化には向かない描写が多いが、逆にこの時代っぽいリアリティを醸し出していると思う。大地震や津波を持ってくる辺り、日本という地域を意識させる演出にもなってる。
毛皮も爪も無くバランスの悪い体を持つ人間は自然に対して本来ひ弱。ケガもすれば火傷もするし、それは簡単には治らない。でも、マンモスや大きな鳥を絶滅させるくらいの変な方向性の力も持ってる。やっぱりでも自然の力にはかなわない。したたかに生き残ってきているはいるけど。災害の後に生まれるのは、諦念なのか、希望なのか。

文化や宗教。子孫たちがここシオダマリで住み続けられるようイソベリが作り出した物語、とウェレカセリは言った。始まりはちょっとした知恵や工夫の集合だったのだろうけど、情報を知る者の優位性が強化されるにつれ、知らざる者を支配するための、為政者のツールになっていったんだろうな。

0
2022年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

螺旋プロジェクト(私の中で)2冊目。

まず、なんだかすごいものを読んだなぁという感想。
記号のような言葉も、読み進めていくと文脈から意味を持つ単語に変わる過程が、言葉の生まれた過程そのもののようでまずそこに感動した。よく書いたなこれっていう。

死について対照的なイソベリとヤマノベ。
死の概念というのは隠されると、怪我を恐れない大胆な行動になるのか?本能は作用しないのか?とか人間の姿じゃなくなる(イソベリ魚になる)のは悲しくないのか?など、疑問は少々ありながらも、それを超える世界観。生々しいありありとした描写が良い。

死(死後)について誰も分からないのは現代もこの時代も変わらないという人間のちっぽけさに反して、一歩前に進もうとしたオトガイのラストシーンが生を際立たせていた。「死にがいを求めて生きているの」に続いての2冊目だったので、より生と死について考えさせられた。

他の螺旋プロジェクトも楽しみだ。
どうでもいいけどハイタイステルベという単語が自分の中でしばらく流行語になる予感。

0
2023年01月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ずっと気になっていた螺旋プロジェクト、時系列で読んでみたいなーと思っていたので、もっとも古い時代を描いた本作が単行本化されたタイミングで手にとってみた。

ほとんど海族の視点から物語がすすみ、おだやかだった彼らの暮らしに山族が接触したあたりから少しずつキナくささが増していく。

終盤の壁画を読み解くあたりから皆で島に渡るまでの流れはとても面白かったと同時に、平和で穏やかにみえていた海族の皆が、死の概念がないが故に、危険に対して無頓着で実は体がボロボロだった、というのが明らかになる過程はちょっとしたディストピア小説のようでゾクゾクした。

この後、どのように海族、山族の対立がさまざまな時代設定でさまざまな作家さんに描かれるのか、期待はますます膨らむ!

0
2022年12月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

螺旋プロジェクト1冊目。

勝手に海と山の両サイドから物語を描くものと思ってたけど固定概念だった。ほぼ、海サイドのみで展開するのは新鮮。

ただ、時代設定に関してはかなり貧乏くじ引いちゃってるでしょ、この作者さん。

言葉が明確に通じない時代性や古めかしさを表現するために太陽をオオキボシと呼んだり、神秘的な役割?にハイタイステルベと名付けたりと雰囲気を出してるのはいいけど、そのせいで「これってなんのことだっけ?」みたいな部分が多くて内容がすんなり入ってこない。

理解力の無い読者ですまぬ、大森兄弟さん。

0
2022年12月01日

「小説」ランキング