あらすじ
そっちには行くな。
二度と戻れなくなるぞ。
過去のトラウマに囚われ、殻にとじ籠もっていた大学生・直希。
直希の目がとらえる世界は不思議にあふれ、彼を悩ませてきた。
彼の目の秘密を知る若き大学教授・氷住(ひずみ)灯子のもとで、不思議な事象を解き明かしていく。
はたしてY研究所とは? 氷住教授とは?
――珠玉の短編連作集。
茂鳥直希は大学に受かり、田舎から上京した。直希は幼い頃から不思議なものが見え、そのために周囲から孤立し、傷つき、人とどのように接して良いかもわからなかった。直希はこの大学進学を機に、友人をつくれるようになりたいと考えていた。直希が大学近くでバイト先を探していたところ、偶然「Y研究室 雑用係募集」という学内のバイト先を見つける。超常現象を研究しているという大学非公認の《Y研究室》。離れ校舎地下にあるY研究室はチグハグなインテリアに、洗い物が溜まったシンク。研究室の主、大学教授で傍若無人な振る舞いをみせる氷住灯子は、そのまま直希を採用する。研究室には、どうにも相談できない悩み(霊や超常現象)を持つ人が直希を通じてふらりと相談にやってくる。直希の目には、それらの悩みには必ずといっていいほど、黒い靄のようなものが見えていた。過去に死にかけたことがある直希。そして直希の目の秘密を知る氷住教授とは一体――
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
表紙イラストがポップで、表紙や章タイトルの文字やノンブルの位置もなかなか攻めている感じで好印象。文字が小さすぎず読みやすい。内容はライトでサラッと読める。続きがありそうな終わり方で、シリーズ化されたら続きを読んでみたい。
Posted by ブクログ
子供の頃から見えない物が見えていた茂鳥直希。田舎から東京の大学へ進学し、学生課でアルバイトを探していたら『Y研究室 雑用係募集』とあり、怪しく思いながらもその指定された研究室へと向かう。そこは超常現象を研究する所だった…
幼少期のトラウマから、見える事を隠してきた直希にとって、氷住は頼れるべき人なんでしょうが、飄々とした性格で何とも掴みどころのない人ですが、度々振り回されてしまうけれど、師弟コンビとしては申し分ない気がしました。
お気に入りは「顔を奪われた女」。
自分が叶えられなかった夢を娘に託し、それをさり気なく誘導する姿が恐ろしかったです。顔が奪われて自我がなくなる程の強い怨念が恐ろしい。母だけかと思っていたけど、もう一人の強い怨念があったのは驚きでした。
そして、子供の頃の恩人がやはり氷住だったのも納得でした。