【感想・ネタバレ】ペストの夜 下のレビュー

あらすじ

ミンゲル島では日に日にペスト感染が拡大し、島民は島から逃げ出そうとしていた。感染拡大を懸念し、海上封鎖を進める西欧列強諸国とイスタンブルの中央政府。そんな中、疫学者に続いて彼の助手までもが殺される。ますます孤立を深める島に取り残されてしまったパーキーゼ姫とヌーリー医師。二人が目撃する島の運命と、殺人事件の真犯人とは――? トルコ初のノーベル文学賞作家、オルハン・パムクが5年ぶりに放つ待望の新作!

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Posted by ブクログ

地中海の架空の島、ミンゲル島でのペストの流行。封じ込めのために各国に海上封鎖されて閉じ込められた中で毎日死者が増えていく。八方塞がりの中で有効な手を打てないオスマン帝国からの島の独立というもう一つの大きな動きがあり、しかし、その主役たちも次々にペストや政争に倒れていきます。スケールの大きな歴史小説のようなのですが、残念なことに末期頃のオスマン帝国の歴史に詳しくなく、小説がどういうふうに史実とオーバーラップしているのか分からなくて、その知識があればさらに面白く読めたような気がします。

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2025年05月25日

Posted by ブクログ

オスマン帝国末期の架空の島を舞台に、ペストの惨禍と島の独立が描かれる。語り手は女性の歴史家という想定なんだけれど、下巻を読む頃には、私の中では語り手がオルハン・パムクになっていた。
疫病をめぐる諸々については、20世紀初頭の物語ではあるけれど、コロナ禍を経験した21世紀の読者にはとても身近に感じられるかもしれない。消毒と隔離、外出禁止という政策はまったく同じ。イスラム教とギリシャ正教の対立という宗教的な要素や、クレタ難民、欧州諸国の海上封鎖、帝国からの独立という筋書きがトルコらしいところ。
個人的にトルコの歴史には疎いので、どのあたりが史実とフィクションの境目なのかよくわからないまま読み進んだけれど、大まかに、帝国末期の様子が反映されているのだろうと思いつつ楽しんだ。

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2025年02月19日

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