あらすじ
自助努力を強要し,弱い個人たちを分断する政治から,かけがえのない存在として人びとがつながり合う政治へ.ホロコースト,人種差別,貧困…….過去から現在に至る構造的・歴史的不正義の責任を引き受け,政治を変革する可能性を問う.急逝した著者のためにマーサ・ヌスバウムが寄稿した序文も収録.解説=土屋和代
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Posted by ブクログ
この本は、アイリス・マリオン・ヤングの晩年の最後の著作で、私の考えでは政治的に非常に重要な意味を持ってくるテクストだと思う。参照先はデリダ、アレント、レヴィナス、フランツ・ファノンなど、錚々たる面々で、フェミニズム的な主体性の問題、あらゆる差別や政治的選択の自己責任などが網羅的に論じられる。
政治的選択は本当に自己責任なのか。(言ってしまえば視野の狭い)生活保護で生活しているような貧しい人たちの政治的選択は自己責任にしていいのか。きわどい問題を論じている。私には、この本は良い意味で、他人事ではなかった。政治の問題を、自分のこととして考えるいいきっかけになる本だと思う。
Posted by ブクログ
わぁ、文庫出たんだ。解説とかついてるだろうな。お金できたら買う。
単行本は出た時買って読んだ。周囲に悪意のない、むしろ善意の人がいても、生活のさまざまな局面で貧困に陥ることがある仕掛け?がしみじみと理解できる。
この本は講義してた時期、何度も紹介した。学部生にはちょっと大変な本だと思うけど、こういうこと(自己責任論の問題)を考える回路を、持ってもらいたいんだよね、みんなに。
この本はアイリス・ヤングの遺作となり、同僚の先生が編集なさったとのこと。