あらすじ
現実と乖離した「夢追い型」が多い日本の高等教育機関(大学、専門学校)は教育困難校から進学するケースが多く、格差拡大装置となりつつある。進学したがゆえに貧困のループから抜け出せない負の連鎖が生じている。気鋭のジャーナリストが現場から報告。
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Posted by ブクログ
まずは気になった箇所から。
P119 「お金を気にすることなく仕事に集中できるのに、基礎学力もなく仕事が出来ない生徒を量産し、地元の企業に就職させる。地元企業はその子たちにお金を払って仕事を教えている」商工会の方の高校への印象。
p 123 最近注目されているヤングケアラーに対しても「親の面倒を見るな、それは親と社会の責任だ」「親の問題を子どもから切り離し、子どもは子どもの人生を歩めるように支援することが社会の共通認識になるときが今後くる」のか?
p201 ①大学に入ったのは就職に有利、みんなが行く②余計なことはしない、成績はギリギリでOK③④話を聞く、書くことが嫌い⑤学力を伸ばす気はない⑥社会や他人は気にしない⑦「ま、いっか」で通す、約束マナーを守らず、自己の行動に責任を取ろうとしない⑧学生は「お客様」だと思っている 学力下位の大学の学生の印象。
大学全入時代と言われる現在、何故大学に行くのか、という疑問を持ち、この本を読んだ。大卒の方が給料がいい、職業選択の幅が広がる等の理由はあるのだろう。しかし全ての大学卒業生にその恩恵はあるのか。学生を金を落としてくれる存在としてしか見ていない、そういった大学に税金である私学助成金が投入されていいのか。そのように考えたことがある人は私だけではないはず。企業ではそもそも学力の高い人間を求めているのか。高卒募集の職種であれば、どちらかというと真面目さ、勤勉さを求めているだろう。求められる人格や学力をどのように伸ばすかが、今最も必要な教育ではないか。学力の高さを求めているが、企業が求めている学力の高さと大学受験に必要な学力の高さは違っている。そして社会の風潮だろうか、学生も保護者も周囲をみて自分の期待する生活の幸福度や満足度を6割~8割でよし、という気持ちが欠けているように思える。