あらすじ
マラソン・駅伝中継での、選手の人柄に迫る解説に定評がある増田明美さん。一度聞いたら忘れられない、あの「こまかすぎる」名解説はいかにして生まれるのか。相手との信頼関係の築き方、情報収集の極意、選手につけるニックネームに込めた思いまで――その舞台裏を初公開。さらには、20年以上続けている大阪芸術大学での講義や、朝ドラ『ひよっこ』のナレーション、『読売新聞』「人生案内」回答者など、幅広い仕事で培ったコミュニケーション術に迫る。
〈目次より〉
【プロローグ】途中棄権で終わった選手生活
走る楽しさを教えてくれた宗兄弟/ロサンゼルスオリンピックの記憶/ゼロからの再起、そして引退レース
【第1章】取材する力――人の心を開く
●マラソン解説者デビュー
最初の解説で大失敗/取材の原点「会いたい人に会いにいく」/選手は何をいちばん伝えてほしいのか?
●信頼関係を築き、寄り添う
口調や言葉遣いを相手に合わせて/監督からいかに話を聞き出すか/ニックネームに込めた思い/中学時代から取材した鈴木亜由子選手/誰かの靴を履く
●スポーツライターの心得
取材相手はとことん調べる/忘れられない大失敗/汗かき、恥かき、手紙書き
【第2章】伝える力――人の心を摑む
●人生の師からの教え
崖っぷちからのスタート/嫌われた理由/自分を笑える強さが大切/楽しんでいれば、それがそのまま伝わる/話し上手は聞き上手から/小出さんから学んだ「人間力」
●大学の講義で試される
芸術大学でスポーツを教える/飽きさせない工夫が勝負/高橋尚子さん、野口みずきさんのすごい食べっぷり/宮本武蔵の教え
●スポーツの力を信じて
開発途上国の暮らしぶりを伝える/ラオスの山岳地帯で一緒に走った日/支援の"バトンリレー"をつないで/朝ドラ『ひよっこ』のナレーション/たくさんの「心のひだ」を持つ
【第3章】つなげる力――人の絆を育む
●支えることの喜び
「心のレベル」という教え/言い訳をしない、と決めた/応援される選手に/素直な言葉は愛される/パラスポーツとの出会い/残されたものを最大限に生かせ/心のぜい肉を落とす
●一歩一歩、前へ向かって
私が憧れるロールモデル/「人生案内」で社会を知る/結婚は、呼吸が楽な人と/座右の銘は「知好楽」
【エピローグ】次のステージに向かって
マラソン解説にひと区切り/人のために生きること/人生のチャレンジは続く
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「こまかすぎる」解説でおなじみの増田明美さんが、自身の経験を通して培ったコミュニケーション術を語った本。
マラソン解説だけでなく、さまざまな場面で活躍されている増田明美さんの半生が書かれています。ほっこりしながら楽しく読める本です。
Posted by ブクログ
国民からの注目と批判を受けたアスリート時代。
どん底から抜け出し、新たな世界に飛び出しても人が離れていく日々。紆余曲折ありながら、名物マラソン解説、朝ドラナレーション、大学講師等々…どのようにして今の彼女があるのか。綺麗な部分ではなく、泥臭さを赤裸々に語っているからこそ、言葉の一つひとつにすごく惹かれた。
うまく行ったら誰かのおかげ、うまくいかない時はすぐ後ろの自分を客観視して糧にする。
そして何をするにも知好楽の精神で。
そんな物事や自分の見方や捉え方、すごく真似したい。彼女のような歳の重ね方をしていきたいと思った。
Posted by ブクログ
細かすぎる解説のきっかけを知りたいと思い手に取りました。
相手に興味を持って事前の情報収集が大切とありました。inputですね。そして選手に興味を持ってもらうためにニックネームをつけることはoutputであり、マーケティングでの超一言に通じるものがあります。
また、ニックネームをつける際のポイントは、競技者としてすごいところ、人として素敵なところを表現することとあり、今後の参考にしていきたいです。
Posted by ブクログ
かつては長距離&マラソンの第一人者。
現在は「こまかすぎる」名解説で注目の著者が、
人生の歩みと、仕事におけるコミュニケーション術を語る。
プロローグ 途中棄権で終わった選手生活
第1章 取材する力 ― 人の心を開く
第2章 伝える力 ― 人の心を摑む
第3章 つなげる ― 人の絆を育む
エピローグ 新たなステージで夢を走り続ける
スポーツ選手の率直な気持ちを、
自分の体験を通じて伝えていきたい。“人”を伝えたい。
そんな思いを、自らの経験を糧にして語る、エッセイです。
監督や選手の思いを伝えるため取材相手をとことん調べ、
練習環境の進歩と選手のモチベーションの変化を知り、
選手そのものを表現したい、取材する力。
マラソン解説やスポーツライター、ラジオのパーソナリティ、
「ひよっこ」のナレーション、ボランティア活動等の
経験から培われた、伝える力。
多くの出会いには気遣いを。つなげる力は人との絆を育むこと。
選手時代から今日までのエピソードに、滝田監督や小出監督、
永六輔さん、様々な人や本、何よりも夫との出会いを交え、
前向きにチャレンジしてゆく姿を愉しく語っています。
まだまだ人生のマラソンロードを楽しみつつ、走るんだなぁ。
生活の中で感じたプラスを声に出す習慣と
「知好楽」の考えは、自分の心に留めておきたいです。