あらすじ
米大統領選→コロナワクチン→ウクライナ侵攻、次々に連鎖する陰謀論。誤情報をネットで流布する匿名の発信者を追い、デマに翻弄される人々の声を聞く――。高度化する“嘘”の裏側に迫るドキュメント。『読売新聞』長期連載「虚実のはざま」、待望の書籍化。
同じ事柄について話しているのに、「何が事実なのか」という根本的な認識すらも全く異なる人が増えている。虚と実の境界がどんどん曖昧になり、社会で共有されるべき大切な土台が少しずつ浸食されているのではないか。そんな違和感が膨らんでいた。コロナ禍がもたらす負の作用が、それを顕在化させつつあるようにも感じていた。
コロナというパンデミックは、一部の層の人間が利益を得るために計画され、人為的に引き起こされた――。通底していたのは、そんな被害妄想に近いものだった。そして、その陰謀論を信じて疑わない人々の叫びがネット空間に大量に吐き出されていた。
いったいなぜ、多くの人が引き寄せられるのか。私たちは当事者に直接話を聞こうと取材を始めたのだった。 (本文より)
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Posted by ブクログ
大学で勉強していることとドンピシャ。
真面目な人ほどデマに引っかかる。誰でもなりうるのだな。長年築いた関係性もデマが壊しかねない、そんな恐怖を感じた。メディアリテラシー教育の必要性がある一方、やはりその教育を全世代にどのように行なっていくかが難しいところ。
Posted by ブクログ
豊富な事例が書かれている。最後の方で、メディア・リテラシーの研究や実践が紹介されているので、これをもとに卒論のテーマを考えることも可能であろう。ただ、一般読者対象の新聞社の取材なので、参考文献はあるものの、その実践の日本での著書は紹介されているものの論文そのものは紹介されていないので、卒論の場合には自分で論文を探し出して読む必要があるだろう。
Posted by ブクログ
コロナ禍でだいぶ陰謀論が流行ったなというのは肌感覚でわかる。コロナからワクチンからアメリカの大統領選。そしてロシアとウクライナ戦争。
昔よりもネットが発達して情報が蔓延したからより深く広がったと私は思ってる。
陰謀論にハマれば思想を周りに押し付けて攻撃的になり、孤立し、さらに陰謀論グループと結束する悪循環。
本人に理論的な説明をして説得を試みても効果は全くない。
陰謀論から目覚める方法というのはそこまで確立されていなくて近いのは宗教からの洗脳に近い。確かにそうだろうな…自分含め身近な人がどっぷりハマったら絶望的。
周りでも多少影響されてるなくらいの人はいるけど熱烈にハマってる人はいなかったのが幸い。
リテラシーの大切さが書かれているけど学校で教えなきゃいけないことがどんどん増えて大変だな…と。確かに若いうちからネットに慣れてればリテラシーが育まれるかと言われると全くそうではないもんね。
Posted by ブクログ
考える手がかりにはなったが、それが学校でのリテラシー教育やプラットフォーマーに透明化求めること、ニセ情報の金脈・広告断つことでは…あまりに綺麗事で実現は難しい。それにしても、陰謀論に取り憑かれ過激な言動に走る人、こんなにいるんだ…距離や立場こえてさまざまな人と交流できるネット。どうすれば「クリックさせた者勝ち」に立ち向かえるのか。「不確かな情報に惑わされる大きな要因が“不安”」「曖昧さに耐える力」「問題是正させる制度作れるかが鍵」「国の規制は“表現の自由”との関係で慎重に」「情報の終焉」は近い⁈一方で、本人はフェイクでなく真実と思い込んで“おかしいことはおかしい」と声上げてる訳だ…ヤジ問題読んだあとだけに、考え整理つかないまま…。