【感想・ネタバレ】論語のこころのレビュー

あらすじ

『論語』は、どうして時代を超えて読み継がれてきたのでしょうか。それは『論語』が封建的、教条的な道徳の教科書などではなく、人間をありのままに見とおし、人間にとっての幸福とは何かという視点にもとづいて道徳を論じることで、読む者の人生の指針となってきたことにあります。そしてその叡智は継承され、また未来へと伝えられてゆくべきものといえるでしょう。
中国哲学史研究の泰斗として知られる著者が、『論語』の精髄を紹介する一冊が本書です。『論語』から125の章段を選んで11の柱で体系化し、各章の冒頭に付した解説によってポイントを押さえ、学術文庫版『論語 全訳注』に準拠する各章段では「原文」「現代語訳」、解釈を助ける「参考」と読み進めることで理解を深めるような構成になっています。そして最終章では孔子の略伝と時代背景に言及し、『論語』を綜合的に把握できるように配慮されています。これは、『論語』に興味をもつ独習者にとっての格好な水先案内であると同時に、『論語』の魅力を誰か(とくに年少者)に伝えようとする際の理想的な手引きとなることを意図したものです。
儒教の本質は「生命の連続」と説く著者の思索が全面的に反映した本書は、現代を生きる多くの日本人にとって実践的な示唆に富んだ「『論語』入門」となるでしょう。

〔原本:『すらすら読める論語』(2005年、小社刊)をもとに増補再編集〕

●主な内容
第一章 『論語』の名句
第二章 『論語』を読む楽しさ
第三章 自分の幸せだけでいいのか
第四章 他者の幸福を求めて
第五章 「学ぶ」とは何か
第六章 教養人と知識人
第七章 人間を磨く
第八章 若者との対話
第九章 人生用心ノート
第十章 孔子像
第十一章 愛と死と孝と
第十二章 孔子の生涯とその時代と

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Posted by ブクログ

とにかく分かりやすいです。日本語に取り入れられている論語であっても、前後にある話はあまり知りませんでした。読み終わった後でも「もう一回!」と思ってしまうほど面白いので、誰かに贈るのもいいと思います。

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2021年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『すらすら読める論語』に大幅な加筆を施し再編集したもの。
論語は学校教科書で触れた程度で、日本人たるもの四書くらいは読むべしという著者の想いには遠く及ばないが、論語や孔子の生涯と時代、日本への影響も含めて、各省の冒頭部分の説明が分かりやすかった。
論語の本文についても、テーマごとにピックアップした125文の原文、書き下し文、現代語訳、そして参考の解説では別解釈も含めて丁寧に、かつ分かりやすく編まれている。
著者の個人的見解というか、アクの強さも端々に感じられるが、それも潔いと好感を持った。
君子、小人、民の違い、日本仏教と儒教との関わりなど、初めて教えてもらった。
15-223

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2015年10月25日

Posted by ブクログ

今さらながらだが、もちろん論語を通読したことはない。

書かれている内容も、おそらく酒見賢一を読んでいなければ、判然としないものも多かったかもしれない。

最後のほうの死生観とか、素直に読んでみるところとか、確かにその通りだなーと。

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2015年10月25日

Posted by ブクログ

日本をはじめ、東北アジアの人々に長く愛読されてきた中国古典『論語』。
孔子の名句などを引きながら、同書が論じる道徳、人生の知恵をわかりやすく解説する。

『論語』の大部分は、孔子と弟子、あるいは弟子たちの間の話が語り継がれ、書き継がれたもの。孔子の頃は話し言葉による表現が主であったため、文献は対話・語録・講義といった形式をとる。

孔子は人間を、物事がきちんとわかる人と、わからない人とに区別した。その後者を〈民〉とし、彼らには高度なことを教えることはできないと述べた。

孔子のいう民は、己の幸福を第一に求める。彼らは今の幸福な生活を失うまいとして、利己主義に走る。また、道徳的であることを忘れ、法を犯さなければ何をしてもいいと考える。

孔子は何よりも徳性(人格・人間性・人間的常識・人生観等)を重んじた。
こうした徳性や道徳を重視するのが儒教であり、人間社会の規範(礼)を守れ、と説く。

『論語』は〈理不尽の世〉を生きていく上で用心すべきことを説いている。その代表例が「君子三戒」。
・青年期の用心は「色に在あり」:
若者は血気盛んであるが、知性や徳性が乏しく、性欲が行動の前面に出てしまう。
・壮年期の用心は「闘いに在り」:
壮年期になり、自信や見識ができてくると、財産や地位をめぐって競争となる。
・老年期の用心は「得(物欲)に在り」:
老年になると友人や財産を失い、人を信じず、物だけを信じることになる。

『論語』の言葉には、古今東西における普遍性がある。
だからこそ、東北アジア地域(中国・朝鮮半島・日本・ベトナム北部)で多くの人が同書を愛読し、知恵を共有してきた。

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2020年06月06日

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